lucky seventh
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2006年02月22日(水) 誰もいない場所

握りしめた拳がイタイよ。

どうして??

どうして!!!!


君のためなら

君を取り戻すためならナンだってできるよ。




























「どいて。」

その声に、目の前の少女が驚いたように目を瞬いた。

「あ、ごめんなさい。」

そこは教室の出入り口で、少女の立っている場所はちょうどそこを
塞ぐような形で立っていた。
謝罪の言葉と同時に、目の前の少女はどいた。
声をかけた少女は、目の前を引いた少女が
始めから何もなかったかのように教室へと入っていった。

「なぁに?アレ!!感じ悪ーい。」

「ユーちゃん!!」

ユーと呼ばれた少女の言葉に先ほどどいた少女は慌てたように咎めた。
思いのほか大きな声ではかれた言葉が少女に届いてしまうかと思ったからだ。
クラスメートの 暁 ユカリに対するクラスの総評は概ね同じだ。
鉄面皮。
どちらかと言うと愛嬌のある顔なのに、その表情は常に微動だにしない。
たまに喋ると、その口から出る言葉は歯に衣を着せぬもので
少女と喋ったものは大抵、あまりいい印象を持たない。
けれど、クラスメート。
されど、クラスメート。
揉め事を起こすことはあまり喜ばしくない。
あれでいて少女は外部校から交換生としてやってきた特待生、
言うなれば、お客さまなのだ。
お客さまにそれ相応のおもてなしと言うものが必要である。


2006年02月16日(木) *徒花***

白いワンピースをウェディングドレスに見立て、

手首から流れる血は、まるでバージンロードのように。

厳正なる祈りをささげ、瞳をとじる。


あぁ、神様!!
幸せに目覚める我が友らに、この日を刻み込ませて。










*徒花***












今頃、あの二人は新婚初夜を迎えているんだろう。
幸せそうに、式では笑っていた 私の友達。
今日は二人を引き合わせたキューピッド役として仲人をして、
今度はシイナが幸せになるんだよって、ブーケを貰った。
けれど、私は上手に笑えていただろうか?


本当は、ずっとずっと前から彼のことが好きだった。
けど、言葉さえかけることも出来ずに、
ただ見つめることしかできなかった。
手が届かなくてもよかった。
それはまだ、形にならない淡い想いででしかなかったから。
彼女と、私とが歩いていたあの日ふいに交わした言葉が、始まり。

それは終わりの始まりで、初まりの終わりだった。

彼女が彼に恋をしたと、私に言った。
私は、言えなかった。
私は、彼が好きだと言えなかった。
だって、何となくわかってしまったから、
きっと二人は上手くいくって。
昔から、当たって欲しくない勘だけはよく当たる。

それからとんとん拍子に二人は付き合い、
そして今日と言う日を迎えた。
ほらね、思っていた通り。
卒業してすぐに二人は結婚を決めた。


私の友達は美しかった。
白いドレスに身を包み、この世の祝福を一身に受けて微笑むその姿は
まるで永遠のように思えた。
その笑顔の先には、彼がいるんだ。
これから二人は手を取り合って、生きていく。
そして、私は今までのように二人にはもう会えない。

二人の縁結びとしての役目ももう終わり。
私はいらない。

絵に描いたような幸せの光景の中に、私が入る余地はない。




神様の前で、永遠の愛を誓い キスを交わす。

















おめでとう。って言うのはもういいよね。
私ね。もう、疲れちゃったんだ。
だからね、さよねらを言わせて。
幸せの真ん中にいると、不幸が際立って見えるでしょう。



ねぇ、愛しい友よ。恋した人よ。
幸せの中で目覚めたあなた達に、どうかささやかな不幸を。私の死で飾らせて。









白いワンピースをウェディングドレスに見立て、

手首から流れる血は、まるでバージンロードのように。

厳正なる祈りをささげ、瞳をとじる。


あぁ、神様!!
幸せに目覚める我が友らに、この日を刻み込ませて。










私はきっと、この日のために生きてきたから。


2006年02月01日(水) 満開の桜の木の下で 君は死んだ日の夢を見る。

言葉はいつだって片道だけの一方通行で

けして、伝わらないし聞こえない。


そうして、すれ違って間違って 君は死んだ。













満開の桜の木の下で 君は死んだ日の夢を見る。
















たくさんの
たくさんの人が死を悼んでくれた。
たった一人の少年のために
おおくの
おおくの人が涙し、忘れないよと叫んでくれた。

だから、少年は漠然と分かった。
自分は幸せな人生を生きたと、
自分の生きた証しが、今ここに繰り広げられた コレ、なんだと。
一粒だけの雨がこぼれた。
決して、ベットの上ではこぼすことのなかった 涙。
苦しみも、悲しみも
喜びも、嬉しさも

すべてがこもった一筋の涙は、やがて地に落ち
式場に降り注ぎ すべての涙を流す雨となった。


その日、1人の少年が死んだ。
たくさんの人に囲まれ、おおくの人に見送られて。




けれど、そう 彼は死んだけれど彼女は生きていた。
いつまでも、いつまでも生きていた。









それは誰もが忘れ去った彼女の物語り。
少年と、厳密には少年達と約束を交わした1人の少女は、
その約束のため 永劫にも等しい時間を生きていく。


ナナナ

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