lucky seventh
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2005年11月29日(火) 白の青薔薇。

あなたのために咲き 誇りましょう

けれど、たとえあなたと言えど 私を手折ることは許しはしないの。

どうか、それだけは覚えておいて。


私は ばら。
白の 青薔薇。

存在しえない存在だからこそ
人を魅了してやまず、そして 故に触れるものをその棘で傷つける。

ただ1人のために咲き、
その矜持ゆえにただ1人にさえ摘み取ることは許さない。


私は ばら。
白の 青薔薇。




リンにしてガンプ
そして、友の剣。



2005年11月26日(土) 零崎文織の人形芝居 開幕前

むかしむかしある所に、それはそれは美しい人形士の青年がおりました。
誰もがその美しい人形士に恋に落ちたけれど、
けれど、人形士は誰も好きにはなりませんでした。
人形士はそれでいいと思いました。
自分は誰にも恋せず、ましてや誰も愛さないければいいと。
しかし、転機は突然訪れました。
人形士の前に人形のような半人前の人形遣いの少女が現れたのです。












「どうか、私をあなたの手で立派な人形にしてください」

その時、もうその目から逃れられないと青年 時宮時鳥は思った。







そして、人形士は人形のような人形遣いに恋をしてしまいました。


2005年11月18日(金) dia ダイア


私は 裁かれるのを待ってるのかもしれない。


そう言って、自分の手のひらを見て

彼の人は、そっと目を閉じ、呟くように言った。














◇dia ダイア◇◇












彼の人は日本からきた 特別科目の先生だった。





片につくかつかないかの黒髪に、奥二重の黒い瞳。
すっと背筋を伸ばして立つ姿は小さな花のようだった。
少し小柄だけれど、それでも背の高さは、
やっぱり子供の僕らにはまだまだ大きくて、
そう言うと、先生は穏やかに微笑みながら これからよ。と、
頭をなでながら言ってくれた。


その温かくて、小さな手に 僕らは惹かれていた。


学校では僕らは互いに負けないように、
常に互いの存在を強く意識させられた。
馴れ合うと、不思議な目や時折、非難の混ざった目を向けられた。
居心地ははっきりいってあまりよくなかった。
だから人の目から隠れるように、僕らは共に過ごしていた。
けれど、ある日それは唐突に見つかってしまった。
空き部屋だったその場所に、異国の人がいた。
目が合って、びっくりしていると、
先生は 僕らを微笑ましそうに見た。

こんにちわ。

ほんの少し低く、落ち着いたソプラノアルトの声。
それが先生と僕らの出会いだった。
僕らと先生はすぐに親しくなった。
先生は 他の人と違って、
仲の良い僕らを見ていても何も言ってこなかった。

切磋琢磨してるのね。

ある時、先生は僕らを見てそう評したことがあった。
僕らはその言葉で、一緒に居ることを認めてもらったような気がした。


先生の名は ダイアと言った。

こちらの言葉で書くと dia
宝石のダイアからも貰ったのよ。

そう教えてくれた。


dia NAを足すと月の女神と同じ名だったから、
僕らは先生のことを ディアと呼んだ。
ディア それは親愛なる者ということ。
本当は ディアナなんて名前はこじつけだったけど、
無駄にいい頭を回して、僕らだけの特別な呼び名で、
僕らだけが特別な先生の愛称が欲しかったから、
僕らはそんな意味をこめて、ディア。と、
先生の名を呼んだ。


そう呼ぶと、先生は少しくすぎったそうに 笑った。
僕らはその笑顔が大好きだった。


ディア
ディア


そう呼びながら、放課後は先生の部屋に行くのが日課になっていた。
先生の傍は心地よくて、安心できた。


2005年11月04日(金) かなしいぐらいに わたし でした。

かなしいぐらいに わたし でした。

















血が飛び散った。
あたしの身体から硬質な刃が生え、
身にまとった着物を鮮血の華のように染めた。

あぁ、あたしは死ぬんだ。

もう、抵抗する力はなかった。
敵に刺された瞬間、
あたしの手の中から剣を落とさないようにするだけで精一杯で、
もう、反撃する力は残っていなかった。

よくやった 方かな?

最期まで、武士(もののふ)として死ねる。
この手に この剣がある限り。

あたし、頑張ったよ。

何ともいえないような倦怠感と、
志半ばで、途絶えた自分の不甲斐なさ
そしてここまで立ち続けた自分への、満足感。
中途半端なあたしに、なんて相応しい最期なんだと思った。
思って、あたしは目をとじた。
永遠に眠るために。


だけど、最期の
とどめの一太刀はやってこなかった。


目を開くと、そこには わたしがいた。
コンドルで適当に髪をまとめ、
楽しそうに 友人たちと談笑する わたしが、いた。

涙があふれた。


もう、思い出さなくなって久しい記憶。
懐かしくて、
そして、最期に思い出せて幸せだった記憶。


変わってしまったと、思った。
ここに着て、あたしは 変わってしまった思った。
己の赤に染まった手を見て、痛切した。
否、していたはずだった。



けれど、そこに移るわたしは
かわらず、かなしいぐらいに あたし でした。


2005年11月02日(水) 君が いた。

あの日、ふりかえれば空は真っ赤な茜色だった。

見たこともないようなグラデーションは、

いっこく、いっこくと流れては、淡い紫の帯を 深い藍のリボンを

広げては、折り 流しては、引き戻すかのようで、目を奪われた。











○君が いた。○














ただ立っていた。
立ち尽くしていた。
お腹が減ったから、ちょっとそこまでと思ってコンビニ行こうとしていた。
上だけは部屋着のままで下だけジーンズに履き替えて、サンダルで財布だけ持って。

お腹が減った。
空腹で、どうしようもなく飢えていた。

いつものことだ。


「何、食べようかな。」

仄かに笑むその笑顔は、きっと他人から見たら薄ら笑いにしか見えないだろう。
そんなことをぼんやりと考えた。

いつもお腹が減っている。
けど、コンビニに言って商品が陳列されているのを見ると、
とたんにそれが遠のいていく。
何も食べたくない。
何もいれたくなく。

だから、今考える。


「何、しよっか?」

取りとめもなく、取り合えず。




飽食の時代。
それだけがこの世に生まれて、
ここに生まれたことへの最大の 至上の幸福。


なんて容易く、難しく、
そして、贅沢な幸福なのだろう。







食べれるものはありますか?
どれだけ食べて、どれだけ捨てる?
つりあいはいつも片方へ
あぁ、あぁ、世界はなんて なんて



















「ねぇ、茜。
 僕たちはどうして、こんなにも理不尽で不条理で
 それでも、美しいと世界を思ってしまうんだろうね?」


君は いた。
君は いない。

君が いた。
君が いない。

私はドコ?










あの日、ふりかえれば空は真っ赤な茜色だった。

見たこともないようなグラデーションは、

いっこく、いっこくと流れては、淡い紫の帯を 深い藍のリボンを

広げては、折り 流しては、引き戻すかのようで、目を奪われた。













見上げた、空の端っこに君がいればいい。
コンビニへ、歩く私を君がそこから見ていてくれたのなら、
私は、きっとそれだけでお腹がいっぱいになれるから。

どうかこの、飢えを
君のまなざしで、
君が溶けた大地で、満たしてください。


ナナナ

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