lucky seventh
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2004年08月29日(日) |
信じることのむずかしさ |
だって、否定するのに疲れちゃったんだもん。
*信じることのむずかしさ*
「だって、否定することに疲れちゃったんだもん。」
ボロボロのヨレヨレになって、アイツはくしゃりと笑った。 信頼して、志を同じくした仲間に殴られたアイツの顔に浮かぶ表情は、 真っ白な紙をぐしゃぐしゃに丸めたようなそんな笑いだった。
「違うって俺は言ったよ…だけど、誰も信じてくれなかった。」
そう言って笑うアイツはまるで、 ぐしゃぐしゃにし過ぎて擦り切れそうな紙のように 今にも破けてしまいそうだった。 すべてが公なになるのが遅すぎた。
「だから、…もういいよ…」
その知らせを聞いた時、誰1人として疑わなかった。 アイツのきらきらした瞳が、急に濁ったように見えてきた。 欺かれたんだと、 嵌められたんだと、 アイツは何も変わっていなかったのに、信じることができなかった。
弱々しく、違うと言ったアイツ それを汚らわしいものでも見るかのように否定した。 否定して、違わないとそう言った。 その瞬間、アイツはすべてを諦めた。 観念したのかと、笑うとアイツは瞳を閉じたて笑いやがった。
「そうだね。」
それがアイツの最後の言葉だった。 アイツにとってココが最後の居場所だった。 居場所を失ったアイツには、 もうどこも行くあてがないことを知っていたのに、
明くる日、アイツは眠るように死んでいた。 その表情はいつも笑っていたアイツには珍しく、 何の表情も浮かんではいなかった。
信じることは、なんて難しいのだろう。 信じる続けることは、なんて難しいのだろう。
アイツが死んで、それを知った。 だけど、すべては遅すぎた。
2004年08月28日(土) |
愚かなるものに忠実なる世界を |
ある日、神様は僕に世界を壊す力をお与えになった。
・愚かなるものに忠実なる世界を・
ある晩、夢のお告げで神様の使いが言った。
最後の審判が下さられる時がきた。 世界を見定めよ。
と。誰かに話したら、それこそどこぞの新興宗教の回してかと言われるだろう。 しかし、僕は断じてそんなものには入っていない。 むしろ僕はそう言ったものに対して嫌悪を抱いていると言っても過言ではない。 別に宗教に対して批判する気はない、 ただ僕はとても心の弱い人間だと自分で思っている。 そんな僕が入会したら最後、身も心も捧げてしまうだろう。恐ろしい…。
あぁ、コレはきっと夢だ。 ここまでストレスがたまっていたなんて…
休暇は大事だよね。休暇は。 どうやら、昨日は気分転換のために寄り道して、まったりクレープを食べたが それもどうやら息抜きにはならならかったようだ。 疲れた時には甘いもの、糖だよと・う! と、思ったのだけれど、足りなかったらしい。 僕は真剣になって今日は授業をさぼろうかと考えた。 このままじゃ、僕は危ない人になってしまうと確信したからだ。
取り合えず、起きろ僕! これは夢・幻だ!!(夢なんだけどもね…)
だけど、時として現実(?)は残酷らしい。 目が覚めない。夢なのに。 目の前で恐ろしいほど神々しく輝く光の渦を見つめながら、 なんて(無駄に)リアルなんだ。と思ったのは心の中に閉まっておく。 何がしたいか分からない光を見て、これ1個あればソーラーパネルとか余裕? とか、肌焼けたらヤだなぁとか考えて暇を潰してみた。 が、しかし。 無言だ。 僕は意を決して話しかけて見ることにした。
「誰か入ってませんか?」
… …… あ、誰かいませんか?の間違いだ!?
… ……。
どうでもいいけど、早く覚めないかなこの夢。
僕は何だか無性に家に帰りたくなってきた。 (いや、家で寝てるんだけどもさ!!)
2004年08月25日(水) |
とどかない、ゆびのさき |
「そう」
言われた言葉に、彼女は悲しそうに頷くだけ。
:とどかない、ゆびのさき
染まることのナイ、闇のように黒い髪。 ジャスミン色の瞳はジェルソミーナの名前と同じ。
「分かった」
くもる瞳も、震える声も、 すべてが真実だと語っていた。
「私をおいていくのいくのね、サラザール」
ただそう言って笑うジェルソミーナの青冷めた顔が、 現実なんだと思い知らされた。
「ジェルソミーナ、いい加減食べるだんだ」
黄金のように輝く、美しい髪がジェルソミーナの前で揺れる。 つねに穏やかな色を称えたブルーグリーンの瞳も、 今はほんのスコシの怒りとそれ以上に気づかう色が潜んでいる。
「このままでは倒れてしまう」
だけど、ジェルソミーナはそれに静かに否定して、首を横にふる。 食べれないの…。 か細い声で、蚊の鳴くような声で、そう言ったきり力つきたように ベットにその身を横たえていた。
2004年08月22日(日) |
届かない、指のさき。 |
「のばしても、届かないのね。」
そう言って、彼女はかなしそうに笑った。
:届かない、指のさき。
染めても、染まることのナイ真っ黒な髪、冷たく燃えるような青い瞳は、 見たこともない遠い祖先のものだと、祖母は言った。
お前は生まれ変わりなのかもしれない。
なにげなく、そう言われた台詞に私は笑うことしか出来なかった。 だったら、今ここにいる私は誰なの? 回りのみんなも現れた面影を喜び、私を見てはくれなかった。
「おねえちゃま」
あの子が生まれるまで、
「ジェルソミーナ」
あの人に出会うまで、
私はそれがたまらなく悲しかったのです。
「ジェルソミーナ」
まるで、双子のように似ている2人は寄り添うように、 月夜の中、天高い塔の上の窓辺に座っていた。
「なぁに、リドル?」
リドルと呼ばれた少年は、美しい黒髪の少女を後ろから抱きかかえるように座り、 優しく髪を撫でる。 その紅玉色の瞳は、まるで流れる血の色のように熱を持っている。 それにジェルソミーナはくすぐったそうに笑う。 氷のような凍える青玉色の瞳が、冷たく熱を持つ。
「ジェルソミーナ」
愛しく囁かれる甘い声に、ジェルソミーナはリドルの膝上に座る身体を半天し、 彼に抱き着くように座り、その片口に甘えるように顔を埋めた。 リドルの黒い、少し癖っ気のある髪が顔にかかるのも気にせずに。
「ジェルソミーナ」
リドルはただ名前を呼ぶだけで何も言わない。 それがジェルソミーナには嬉しかった。 その労るような、包み込むような声に、ジェルソミーナの目蓋が落ちる。
「眠ってもいいよ。」
目を眠そうにこするジェルソミーナにリドルは言った。
「ちゃんとベットに連れていくからさ。」
クスクスと肩を震わせて笑うリドルの振動に、さらに眠気が誘われた。
「おやすみ、ジェルソミーナ」
リドルの声を最後に、ジェルソミーナの意識は落ちていった。
月だけが、優しく微笑むようにリドルを見ていた。
彼は悲しみの果てにいると言いました。
バビロン −天高き頂きの塔からやってきた男−
彼は悲しみの果てからやって来たといいました。
人は生きているうちに、どれほどの犠牲のうえで生きていくのでしょうか? 私はそれに気づいたとき、呆然とその罪悪感に出会ってしまった。 人はなんのため、何をなす為にいるのでしょうか? 私は知らない。
人とは何か?
遠い昔の偉人たちの問いかけが、DNAとして解明される。 それは今を生きる人の導き出した答えの1つとして、私は知る。
それでは人とは何のためにあるか?
その答えを知るものはいない。 その答えは人の数だけ、生きていく限りいくつもあるのだから…
それは私の運命にある無数の糸の1つだったのか。
その男は天高き頂きの塔からやってきたと言った。
コウセイ。そう姉が呼ぶ声が聞こえた。 姉のラクセイは慕糸(シイト)を商う、紡技師(つむぎし)だった。 けれど、数年前に起きた火事で顔と手を焼いてしまい仕事をすることはおろか 今でもその時の火傷(ヤケド)後遺症に苦しまされていた。 それまで、ラクセイは村一番の紡技師だった。 ラクセイの織る、慕糸でできた布は繊細さとたおやかさを巧みに織り交ぜた神技とも、 そう、呼ばれるほどのものだった。 それがコウセイには自慢だった。 姉の織り成す布を求め、いく人者行商がラクセイとの契約を交わした。
2004年08月13日(金) |
この空の果てにシリーズ。 きみに捧げる、青の青 |
この空の青は、僕にとって自由の代名詞だった。
「ウル」 小さなあの子が呼ぶたびに、いつだってウルは心をトキメカセタ。 可愛い養い子の世界のすべてが、自分で塗り変わっていくことの愉悦と安堵は ウルの存在意義で、この子がいればすべてが許されるようだった。
「ウル」 あの子が名前を呼ぶたびに、ウルは微笑む。 後悔と、けして消えない悲嘆を抱え。
「ルウ」 それは罪の証し、断罪の天使の名前であり、 いずれウルの存在を食らいつくす神の御使い。
「ルウーマトレイ」 この手に抱く、小さな温もりに ウルは
2004年08月01日(日) |
この空の果てにシリーズ。ぼくという檻、きみに空を |
ただ、どこまでも広がるこの青い空の果てに、私は泣きたくなったのです。
ウルの静止を振り切って、それでも得ようとしたこの空にどれほどの価値があったのだろうか? それはルゥには分からない。 ただルゥの胸中は後悔でいっぱいだった。 手を振りほどいた時のウルの泣き顔が頭からはなれない。 いつだって泣いているのは自分の方だった。 ウルの手にとり縋って、泣いてわめいた。 それでも嫌な顔一つせず、優しくあやすように撫ぜてくれた。 その腕で抱きしめて慰めてくれたのはウルだった。 そんなウルをルゥは好きだった。 なのに、ルゥは行かないでと自分に伸ばされ手を掴まなかった。 掴めなかった。 伸ばされた手が、ルゥに届くことなく宙をかいた瞬間、ウルは泣いていた。 初めてみたウルの涙だった。 ルゥはウルが泣くなんて思いもしなかった。ウルはルゥのために泣かないと思っていた。
優しいウル 慈しんでくれたウル
けれど決して愛してはくれなかったのをルゥは知っている。 早くいなくなってしまえばいい。 子守歌を謡うように言い捨てたウルを今でもルゥは覚えていた。
優しいウル 慈しんでくれたウル
だけど決して愛だけはくれなかったウルをそれでもルゥは愛していた。
揺るぐことのない黒耀の瞳に自分を映して欲しかった。 肩の後ろに彫られた片羽の蝶の対になりたかった。 そしてなれないことを思い知らされた。 だから、ルゥはウルから離れようとした。ただウルと対等になりたいがための一心に…。 なのに、それがウルを傷つけた。 そんな風にしてウルを裏切ってしまった。
ウルの片割れになれなくても、 せめてウルが自由にはばたける空をあげたかった。 ただそれだけだったのに…。
ウルのあの表情がすべてを物語っているようだった。
そう、間違ってしまったのだ。
ナナナ
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