lucky seventh
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2002年10月22日(火) なかない子供





きらきらと太陽が普遍的にまたのぼる。
私たちは目を閉じて、誓った。





なかない子供





夜が明けようとしていた。
長い 長い 夜が、
うっすらと太陽が海を照らしていた。
燃えつきるの炎のように、
頼りない陽炎のように、

私たちはだんがいの上で、それを見ていた。


「生きなよ」

ふいに傍らにいる君は言ったから、
ゆっくりとした動作で、君を見た。

「お前は生きな」

ふわりと穏やかに笑って、
君は死刑宣告をする。

「君ってば酷いヤツだよねぇ」

そんなこと言いたいわけじゃないのだけれど、
どこかで君とのいつもを求めているから、

「ほんとに酷いヤツだよねぇ」

いつものように返した。
君は苦笑する。

(あぁ、その笑い方だ)

いちばん好きな君の表情。
好きな人の困った笑顔が好きだなんて、

(あんたって悪趣味ぃ〜♪)

もういない親友の言葉が聞こえて、

(悪趣味で悪かったわね)

あの日と同じに、
こっそり心の中で毒づいて、
いまココにいる君を見て、私は笑いながら言う。

「ねぇ、大好きだよ」

君も笑いながら言う。

「知ってるよ」

見つめあって、


「「またね」」



次のしゅんかん、君の姿だけがかき消え、
私はひとりで断崖に立ち尽くしていた。


「またね」



からっぽの少女がただひとり
顔を歪めながら、消えた世界を見つめ続けていた。




2002年10月21日(月) のぞまない子供



いつのころからか、
僕らはなにひとつ望もうとはおもわなくなった。





のぞまない子供





「生きていること。それ事態はすごく自然なことだけど、
いつのころからかそれが苦痛でたまらなかった。そう思う僕は可笑しいのだろうか?」
そういったら言ったら、君は言ったよね。
「そんなモンだよ」って


高校三年生の冬
もうすぐ僕の義務教育は終わる。

(あぁちょっとセンチメンタルかも........)

この前のHRの時間に配られたソレを握りながら思った。
しょざいなげに僕の手に治まっているソレ=進路調査書。

「おいおい、これ以上なにを望むっていうんだ?」

思わずため息とともにそんな言葉がこぼれた。
それも仕方ないだろう。
調査書の真ん中に赤いペンでいやに大きく一言、
再提出

「わずらわしい」

そう思いながら、視線は現実から逃避するように外に向けられた。
ガラス越しに色づいた葉が風にあおられて散っている。

(それってキミの癖?)

ふいに脳裏に聞き覚えのある声が響いた。
それは少し前だったか、それとも随分前に聞いた声だったか、

(ホラ?そうやって気まずくなるとスグ探そうとする)

何を?
そんなこと聞かないでも分かっている。
紙一重で回りくどくはないしゃべり、みょうに言葉を選んで使う彼女、

(出口はココ(現実)にはないよ?わかってるんでしょ?)

最後にそう言ってふふふと微笑った友人(トモ)。
少しだけ、そうほんの少しだけ窓の外の風景とその最後の風景が同調して、
懐かしく思った。

(何だかなぁ、これが世にいうノスタルジー?)

センチメンタルなうえノスタルジーだなんて、乙女か?
情けないなぁ、そう思いながらも僕は窓の外を見続け、
けれど風景は変わることはなく、ひっそりと動き続けていた。

「はぁ」

一体なにがいけなかったんだろう。
どれだけの時間そういしていたのか分からない。
そんなことを思い出して、やっと自分の手に握られたままの進路調査書に目をおとす。

「僕はもう高三なんだよな」

ふいにそんなことを思った。

じゃぁ君は?

そう思うと、頭の片隅のどこかに存在するなにかが、
思い出の中でいつもように君が、
微笑って言う。
「そんなモンだよ」 って

それが可笑しくて少し笑った。


移り変わってゆく季節、季節はやがて年をかさねてゆき、
その中で望んでも叶わないとことがあると知った。
もうなに1つとして望まない。
最後の望みは遠い昔に叶わなかったから、
だからもう、
いらない。




手の中で、調査書がぐしゃっと音をたてて潰れた。

こんな風に、未来も簡単に潰れたらいいのに。

そうまたわらった。



ナナナ

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