lucky seventh
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第一話 始まりの詩
それは今にも消え入りそうな、絆。
「野ばらの詩」を抱えて、彼は図書室を後にした。 これが彼のただ1つの媒体。 これに意識をのせ、空間に潜って彼は誰よりもはやく 見つけなければならない人がいた。
「逢いたい、逢いたいんだ.....」
消え入りそうな小さな声。 求めるものはただ1つ、まだ見失ってはいない。 どこにいるか分からない、 だけど、構成された物質は分かるから。 そこを辿ればきっと...いや、絶対に会えるはず。
「待ってて」
彼の思考の中をしめているのはそればかりで だから、彼は気付かなかった。 廊下を歩く、そんな彼をじっと見つめている少女の存在に、 無機質に置かれた人形のような彼女の存在に。
「始まってしまった」
壁に寄り掛かり、 少女は力なくぽつりと呟いた。
「始まってしまったんだ」
その声にはどことなく自分を責めるような、 そんな響きが含まれていた。
「少年、君はパンドラの箱を見つけてしまったんだよ」
見えなくなった彼に向かい、少女は悲しそうに呟いた。
少女の声を聞くものは誰もいない。 少女の声は届かなかった。
何かが動きだしそうな
何かが変わりそうな
そんな
そんな
感覚
帰らぬ人を思って
今日も
明日も
私は泣くんだろう。
帰らぬ人を思って
今日も
昨日も
私は泣いた。
過去は今をつないで、
今は過去につながっている。
だけど過去は未来につながらず、
今もまた未来につながってはいなかった。
ナナナ
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