lucky seventh
DiaryINDEX|will
そう、それはほんの少し寂しい気がしただけ。
Q:中の良い友人が死んでしまった時 貴方はどうしましたか?
A. 激しく咽び泣きますか? B. ただ、空いてしまった空席に呆然と立ち尽くしますか? C.それともその現実を直視出来ない? D. それとももっと別のことを思った?
私はこうでした。 泣きもせず 呆然とすることもなく 現実を受け入れ 彼女を過去にしました。
他の友人達は口々にいいました。 「親友なんじゃないの?」 ある人は軽蔑するように 「人でなし」 詰るように
けれど1人だけ ただ1人だけこうも言いました。
「あいつの言ってた通りだ」
哀しそうにそれでいてどこか嬉しそうに そう微笑んだのはわたしの死んだ友人の彼氏でした。
Q. 中の良い友人が死んでしまった時 貴方はどうしますか?
私の答え。 D. それともはもっと別のことを思った。
彼のその言葉を聞いた時 何だか私はむしょうに彼女に会いたくて 会えない現実にほんの少しだけ寂しさを感じた。
ふたり、離れたらきっと死んでしまうから。
たった一度の逃走劇 生涯、最初で最後の思い。
「きっと最後」
「見つかったら離ればなれ」
思いは同じ 離ればなれになんてなれば死んでしまう。
逢いたくて 逢えなくて 哀しくて 恋しくて
そして最後に、憎んでしまう。
だから、最後。 お互いを憎むことなんてしたくないから 堪えられなくって死ぬことも嫌だから。
「思い出を」
「忘れられない思い出を」
作ろう。
夜空にうかぶのは満点の星 あの日ガラス越しに見たコンペイ糖のようで ふたり、顔を見合わせて微笑んだ。
朝になればきっと時間切れ だから、その前に遠くへ逃げてしまおう。
もう、どんなに焦がれても会えないね。
蛍が死んだ。 淡い、淡いヒカリを放つのを止め もう、愛してるよ 囁くことすらなくなった。
「君はどこへいくの?」
空に昇っていくヒカリは淡い。 触れるとユキのように溶けて脆い。 そして、儚く幻想的。 君のタマシイは一欠片も残らず 空へ 海へ ホシへ ヒカリへ
「還っていくだね」
私に残るのは君の思い出だけ 君への思いだけ
君は私の希望のヒカリ 淡く 脆く そして、儚い 蛍のよう
君を殺してあげようか?
愛しい。 そう、思う気持ちが積もり積もって 殺意を生んだ。
「愛しているのにね」
可笑しいと思う? でもね、時は常に刻み続けるんだ。 そうして過ぎていったり 時には変化して。
「今の君だけでいいだ」
変わっていく君なんていらない。 そう、否定したら君は怒る?それも哀しいなって笑う?
何れ僕の手は君を傷つけて そして、自らを終わらせてしまうかもしれない。
だから、その前に
どうか僕を殺して。
「君をころしてあげようか」
その言葉を吐く時 きっともう、僕は死んでいるんだろうから。
「メイフィー」 優しく、私の名を紡ぐ。 「メイフィー」 忘れないように 思いださないように 私の頭をゆっくりと撫でた。
その矛盾がたまらなく愛おしかった。
「サルエルの歌姫よ 私の名を忘れないで」 目を閉じると遠い異国にいった友人の歌が聞こえた。 「貴方が私を愛していなくとも どうか私の名を忘れないで」 ところどころ色褪せた友人の唯一の思い出。 「さぁ 歌姫よ その声で天まで届く歌を 私に届く歌を歌っておくれ」 名前を呼び合うことを忘れた人 「そしてどうか 私の名を忘れないで」
「忘れないでメイフィー」
貴方と同じように私の頭を優しく撫でた人。 名前を忘れた友人の歌。
「メイフィー」 私は何一つ思い出さないまま ユメを見続けた。
その矛盾に何一つ疑問に思うことすらなく。
広がるソラの青をみて、私は死んでしまったと思った。
初夏の漂う、今日 晴れたソラの中、私は幼馴染みのアタルと中学のプール解放に言った。 「.....」 「.....」 照りかう陽射しの中、無言で歩く。 でこぼこしたアスファルトから陽炎がのぼり 背中には嫌な汗が流れていた。 「シィナ」 ふいに、アタルは私の名を呼んだ。 私は無言で振り向いた。 けれど、アタルは俯いて考え込んでいるんだろう。 黙ったまま何も言葉を発しない。 「何?」 ちょっと苛ただし気に強い口調で言う。 すると情けない顔したアタルと目が合った。
そして言った 「ごめんな。俺もうダメだわ」
私は何も言えなかった。
ナナナ
|