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■この世界の片隅に。
2017年02月28日(火)
かなり出遅れティアヌス感がすごいが、映画「この世界の片隅に」を観ようと思った。

もう10年以上前になるだろうか、原作者である漫画家・こうの史代先生の作品が好きで、単行本を買い集めたりサイン会に行ったりしていたことがあった。しかしいつの間にか先生の作品をチェックすることを忘れてゆき、「この世界の片隅に」も「漫画アクション」に連載が始まった時に少し気になっただけでスルーしてしまっていた。

改めてこうの先生原作のこの映画を観てみようと思ったのは、先生の絵柄の再現度が高そうなのと、あとはやはり評判がとにかく良い、というミーハー的気持ちがあった。

とはいえ嫁は特に興味がないし、子供向けの映画でもないしな、と思ったので、土曜日の午前中にひとりで行ってくるよ、と告げて出かけようとしたところ

「観たい!」

娘・R(中一)が付いてきた。Rもやはり評判が良いこの映画が気になっていたらしい。

この世界の片隅に
(渋谷のユーロスペース。実際に観たのはここではないけど、看板がでかかったので)

思いもよらず娘と映画デートとなりウキウキになった僕は、映画館でチケットを購入した後フードコーナーで

「なんでも買ってやるぞ、何がいいかナ?ポップコーン?チュリトス?」

メニューの高い順から全部買ってやるぞぐらいの勢いで浮かれポンチ。Rは

「いちごのクレープ!」

クレープスティックとかいうカワイイ選択であった。僕はホットコーヒーにした。

映画が始まると当然だがRと話すことはほとんどなく、スクリーンに釘付けだった。話の始め頃は戦時中とはいえ、まだ戦争はどこか他人事のようで、明るく楽しく主人公たちの生活が営まれている。しかし徐々に戦争の恐怖は身近になってきて、のどかだった生活の場を容赦なく破壊してゆく。爆撃音や銃撃音が耳に痛いほどであった。

また、この映画は出来るだけ当時の姿を再現しようとしていて、当時の写真などを参考にしているところも多い。物語中に遊郭のシーンが出てくるのだけれども、僕は遊郭跡地巡りが好きなのでそこは特に食い入るように観た。美しかった。

2時間ほどの映画はやがて終わり、僕は涙を流していた。余韻に浸っていたが照明が灯って席を立たなければならない。重い腰を上げて

「いやー、よかったね…パパは感動したよ…君はどうだった?」

と、Rに言うと、Rがまず口にしたのは

「なっが!」

であったのでずっこけそうになった。そうなのだ。これまでRが観てきた映画というのはポケモンとか妖怪ウォッチとか子供向けの短い映画しか観ていないのだ。大人向けの映画は初めてであり、内容もはRにはまだまだ分かりづらいものであったようだ。

「こないだ原作のマンガ買ってきたから読みなよ」

「うん」

そんな話をしながら映画館を後にした。そういえば、Rはずっとマスクをしていたので

「ちゃんと予防してるんだな。偉いな」

人が多いところでは風邪・インフルエンザ予防のためにマスクをしなさい、と日頃言われていることをきちんと守っているんだな、と褒めたところ

「いや、マスクしてれば誰か知ってる人がいても自分だって気づかれにくいから」

「へ?」

「パパと一緒のとこ見られるのがヤダ」

ガーン。近所の映画館だったので同級生がいないとも限らない。違う意味での予防だったのだ。

僕は存在すら許されないのだろうか。

君の世界の片隅に、ぐらいには居させてほしい…。

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■走る走る、俺たち。
2017年02月19日(日)
オッサンになって太った僕は、二度ほど痩せようと試みたことがある。

まず一度目は走ること。

何年か前、ほぼ毎日5キロぐらいを目標にして走った。しかし右足の膝をやられて1ヶ月ぐらい痛みが残る羽目になりやめた。

回復してからじゃあ今度は走るのは止めて歩くべ、とウォーキングを始めたのが二度目である。しかしこれも程なく飽きてしまった。もともと体を動かすことが大嫌いだし、ネット中毒だしで、ただひたすら歩き続けることに耐えることが出来なかった。スマホしながらのウォーキングなら絶対続くだろうけど、さすがにそれはまずいだろう。

そんなわけでしばらく太るに任せていたが、やはりちょっとは体を動かさないとなー、と思い

「ウォーキングを再開する。休日にやるぞ!」

と宣言したところ

「え、ボクも行く!」

息子・タク(小5)が興味を示し付いてきた。タクは体を動かすのが好きなので、以前はサッカーチームに入っていたのだが、現在は辞めてしまって体がなまっているのだ。辞めた後も

「あー。体動かしたい。暴れたい!」

とかよく言っているので、

「じゃあサッカー再開すりゃいいじゃん…」

と言うと必ず

「それはやだ!」

とむっつり顔になる。子供ながら人間関係とかそういう事情もあるんである。

「じゃあ行くぞ」

ジャージに着替え、父と息子でレッツラゴー。

「どこ行くの?」

とタクが尋ねるのはもっともである。僕も決めてなかった…っておい。というのも僕のウォーキングコースは飽きないように8コースぐらいあるんである。そんだけ考えても結局は飽きたけどそれはまあよい。

「じゃあトキワ荘跡地まで行こう」

「え、トキワ荘!」

トキワ荘とは、手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫他、昭和の代表的な漫画家達が若い頃住んでいたアパートで、マンガの聖地のような場所である。

トキワ荘自体は現存しないが、記念碑などが現地にある。僕のような藤子不二雄マンガリアルタイム世代だと「まんが道」などでほぼ一般常識的に知っていることであるが、平成2ケタ生まれのタクの世代にもよく知られていることのようだ。

何しろ学校の図書館に

このような伝記があるからだ。ええー、石ノ森先生がもうそっち側の扱い(歴史上の人物的な)されちゃってんのー、っていうジェネレーションギャップ。スティーブ・ジョブズの伝記もあるからな…。死んだらすぐ番組のネタにしてた「知ってるつもり」のようである。

そんなわけでタクも知る「トキワ荘」。その跡地までがウチから行って帰って来てちょうど5キロぐらいなんである。しかもウチから1回曲がっただけであとはそこそこ広い道をずーっと行くだけなので分かりやすいことから、僕のお気に入りのコースであった。実際この通りを走るランナーは多い。

解説が長くなったが、タクとウォーキングを始めてみると、さすが体力を持て余しているだけあって、走り出してしまうんである。

「タク、ウォーキングだぞ!」

「分かってるよ!」

と言いつつも爆竹のようにダッシュしたりして体力有り余ってます的な余裕をオヤジに見せつけるのである。僕もついつられて走り出してしまうのであった。

数年前はノロノロながら5キロ完走で来た僕であるが、さすがにデブるわ年取るわ鈍るわで現在はそうはいかんざき。

「タク…あの信号まで行ったら休憩な」

「あいよ」

ところどころで体力の限界、気力もなくなり、完走どころではない。

「お前も疲れるだろう?」

頼む、キツイと言ってくれ、と心の中で叫びながらタクに問い掛けてみると

「全然!」

こいつの体力なら5キロぐらい余裕で完走しそうだ。そんなわけで僕だけヒーヒー言いながらようやくたどり着いたトキワ荘ゆかりの地。

トキワ荘
トキワ荘跡地近辺の公園にある記念碑。

「これがそうだよ」

と言うと

「おおぅ!」

と目を輝かせていたタク。かわいい。

トキワ荘
そしてここが「松葉」。「まんが道」ではよく藤子不二雄のふたりが食べては

「ンマーイ!」

と絶賛したり、カワイイ店員の女の子をチェックしたりするエピソードが記されていることで有名な店である。ホントにラーメンが美味そうに描写されていて、印象に残っている。

トキワ荘
店の前にも誇らしげにそのマンガのシーンが貼られていた。

「ボクもここで食べたいなあ…」

とタクも強く惹かれている様子だったので

「じゃあ今度行くべ」

と約束をしてしまった。

トキワ荘
そしてこれが実際にトキワ荘があった場所に建てられた記念碑。現在は事務所ビルの敷地内になっている。何故かお賽銭も供えられていた。

「ここがそうなんかー!」

タクもまるで僕と同じ世代のマンガ少年のように目を輝かせていたのがなんか嬉しかった。

「パパ、藤子不二雄ってふたりいるでしょ」

「うん」

タクが薀蓄を語り出したので聞いてみる。どういうことを知っているのか気になる。

「安孫子先生は藤子不二雄Aだけど、藤本先生は藤子・F・不二雄だよね」

「そうだね」

「藤本先生に『藤子不二雄F』じゃなくて、Fを真ん中にして、藤子・F・不二雄にした方が外人ぽくてカッコいいよ、って言ったのは石ノ森章太郎なんだよ!」

「あー。ジョン・F・ケネディみたいな」

それは僕も知らないことであった。ていうかホントかよ。ちなみに僕は藤子不二雄A(アナーキー)、藤子・F(ファンキー)・不二雄と覚えていた。

名所めぐりみたいなことも一通り終わって、

「よし、じゃあここを折り返し点にして、戻るぞ!」

「うん」

と走りを再開。走りながらタクは

「ボク、今年もリレーの選手になれるかな…」

と悩みをポツリと漏らした。リレーの選手とは、運動会のリレー競技のことで、選ばれた足の速い子のみが出場出来る。タクは選ばれてはいるもののギリギリのラインであり、タクが選ばれたことにより惜しくも落ちたライバルの子達が虎視眈々とその座を狙っているのである。

「そりゃあお前、ライバルに負けないためにはは鍛えとかなきゃならないから…」

と言ってる途中で

「どうせ『サッカー再開しろ』、って言うんでしょう!」

言おうと思っていたことをタクに先を越されてしまった。

「サッカーが一番いいと思うのは確かだよ…。でもそれがやだったら、こうしてパパと走って鍛えるかね」

長距離と短距離は違う気がするがまあよい。そんなことを言ったらタクが張り切ってしまって、帰りの道もタクのペースに煽られまくってもうヒイヒイである。そしたら

「うわ、パパ、汗かいてるよ!」

なんてことも言われ…。当初はウォーキングの予定であり、こんな走り込むつもりじゃなかったから思いっきり厚着してきてしまったのだよ…。走ると分かっていたならもっと軽快なウェアにしたんである。

ウチに着いてから

「また走るよね?」

タクは何気に楽しかったらしく、継続的にやりたいというタク。

「よし、分かった。またトキワ荘に行こう」

僕もトキワ荘まで走る覚悟で臨まなければならないので、もっと軽快なウェア、すなわちタンクトップ姿にならなければ…

ってそれは武井壮である。なんちて。

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■酔想学部
2017年02月06日(月)
うちにはタブレットがひとつある。

光回線を引いたらオマケでもらった、やっすいやつである。家の中のWIFIに繋いでやって子供達にあげたところ、絶賛気に入ってしまったようで、しょっちゅうネット閲覧などに使うようになった。

それから2年弱ぐらい経っただろうか。充電がうまく出来なくなってしまった、と子供達から言われた。充電ケーブルを取り替えてもダメなので本体側に問題があるようだ。しかし修理するとなると、結構なお値段がかかる。新品を買ったほうがマシな修理料金。

生活必需品なら買い直さなければならないが、僕としてはタブレットは別になくても良い。

「どうしても必要だと言うのなら君達のお小遣いで買いなさい。どうせお年玉いっぱいもらったろ」

と子供達に言ったところ、娘・R(中一)も息子・タク(小5)も絶対に必要だからお金を出してでも買いたいと主張する。

「じゃあどんなものがいいか見に行こうよ」

とお店に行こうとしたらRはわりと興味津々で付いてきたがタクは

「なんでもいいよ。買って来て」

僕らに丸投げしてきた。そんなわけでRと出かけることになった。Rはさらに

「あのね、こないだ先輩たちにお土産もらったからお返しも買いたいの」

なんてことも言ってきた。Rは吹奏楽部に入っているのだ。どんなお返しがいいか迷っているので、それもついでに見ることにした。タクは丸投げだし嫁は仕事なので僕とRふたりで行くことに。

このところ僕に対してツンデレのRなので、久しぶりにふたりのお出かけで僕は内心ウッキウキである。

向かったのは新宿のビックカメラ。

「えーと、タブレットはどこかなー」

広い売り場を探していると、DOCOMOの売り場がどーんと目に入った。そこにはiPhoneやiPadのデモ機がたくさんあった。Rは目をキラーンと輝かせて

「パパ!Rはこれいじってるからタブレット探してきて」

この場に及んでRも僕に丸投げしてきた。

「言っとくがiPadは買えないぞ。めっちゃ高いぞ」

「知ってるよ」

Rは本当は自分のスマホが欲しいんである。しかし僕も嫁もまだまだ認めない。

さて、WIFI用の安いタブレットコーナーはそこから10歩ほどのところにあって、何種類かあったが、よさげなのを選んでRを連れ戻して見せてみると

「うん、これがいい」

迷うことなく即決。タブレット買いは済んだ。これでミッションそのいちはクリアーしたが、それからが大変であった。Rの先輩達へのお返しである。文房具でだいたい500円程度のものを考えているようで、まずPLAZAに行ってみたら文房具がほとんどなく、ルミネエスト6Fの文房具店、「Tools」へ。

「どんなのがいいのー?」

と聞いてみると

「音符がデザインされてるやつ」

さすが吹奏楽部、音楽縛りがあるようだ。しかし探してみてもなかなか見つからず、

「お、トランペットとかホルンとかチューバのシールセットがあるぞ!」

これだって吹奏楽部っぽいじゃんと思ってRに見せたら

「先輩は金管じゃないんだよ!」

つれない言葉。ちなみにRも金管じゃなくて木管である。ちなみに僕は水カンが好き。なんちて。

それからよく探してみると音符のシールもあったので、

「じゃ、これは買う〜」

Rのお気に召したようでこれはゲット。ただこれだけだとしょぼすぎるのでもう1品ぐらい欲しいと言う。しかしこの店内にはもうRが望むものはない。Rがうーんうーん唸っているので、

「じゃあ違う店に行くかね」

ひとつ下の階に行き、ちょっと趣向を変えて「ヴィレッジ・ヴァンガード」はどうだ、と店内をうろついてみた。

「きゃはは、なにこれ」

いろんな変な商品にRは面白がっていたが、

「パパー、やっぱりここにもないー」

結局、面白がっただけで、ふさわしいプレゼントは見つけられなかった。

「もうこうなったら東急ハンズに行こう!」

ここから歩くと結構距離がある(といっても徒歩10分程度だがいい加減疲れていたのでかったるかった)ので一瞬迷ったが、もうそこしかRのお眼鏡にかなうようなものがありそうな場所は知らない。なのでレッツラゴー。

「まだ着かないのー」

「あの甲州街道の向こうだよ」

重い足取りでようやくたどり着くと、文房具だけでなく色々な楽しそうな小物が売っているフロアがあり、ここでようやくRは気に入った贈り物を見つけることが出来たのだった。

ちなみにそれはちょっとかわいい感じの十字架の形をした消しゴムであった。音符のものではなかったが、さすがにこれ以上音符縛りの条件で探す気力は失せた。

音符のシールに十字架の消しゴムか…。音符といえば楽譜。そして十字架といえばキリシタン。キリシタンといえば踏み絵。

楽譜とかけまして、踏み絵と解きます。

その心はどちらも「譜面(踏めん)」。

なんちて。

なことを考えながら(口に出すと娘にドン引きされるので)ようやく帰ったのでありましたとさ。

疲れたけどパパは楽しかったので、先輩達へのお返しグッズの購入代金は何故か僕がお金払ってしまったけど、気付かないフリをしてやる。

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