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■ねぎねぎねぎっ娘。
2014年10月21日(火)
夕暮れ時も過ぎて外が暗くなったころ、僕は息子・タク(9才)とふたりで家にいた。

嫁と娘・R(11才)は買い物に出掛けていたのだ。そろそろ帰って来る頃だろうか、などと思い始めた頃、外で

「ずべっ」

みたいな音がして、嫁の

「大丈夫?」

という声が聞こえた。

なんだどうした、と窓から頭を出してみたが、ふたりはすぐウチの中に入って来た。

「ころんだ」

Rは悲しそうな顔をして言った。そして何故か1本のネギを持っていた。

「Negiccoかお前は」

Negicco(ねぎっこ)とは、新潟の特産物「やわはだねぎ」をPRするために生まれたアイドルである。新潟が本拠地だが、東京にも頻繁にやって来てライブをしているので、彼女らのファンの僕はしょっちゅう行ってしまっている。今は垢抜けた渋谷系オシャレアイドル路線だけれども、たまにネギを振り回して歌ってたりしている。以前それを観て僕が

「それも『やわはだねぎ』なんですか?」

と聞いたら

「東京では『やわはだねぎ』はあんまり売ってないんで、埼玉産とか使ってます」

とのことであった。確かに下仁田ネギとか深谷ネギとかと比べて全然聞いたことないしなあと思ったものである。


Negicco/フェスティバルで会いましょう

話を戻す。

とりあえず

「Negiccoかお前は」

まずひとつめのツッコミを入れた後、

「怪我は?それにそのネギは?」

ふたつみっつとツッコミどころが満載なので質問攻めにしてしまった。嫁が言うには、

「買い物の持ち運びの手伝いでネギを持ったまま走ってたらものの見事に転んだ」

ということらしい。なんというドジッ子な。

幸いケガは親指をちょっと擦りむいた程度であったので

「ちゃんと洗っときな。しみるけどね」

と言いつけ、ネギを見てみると

やわはだねぎ
「あらー、傷ついで砂が付いちゃってるじゃないの」

「大丈夫よだよ、洗ってちょっとだけ削れば…」

と嫁。そうか。傷は浅いか。よかったよかった…と、ふとネギに付いたラベルを見てみると

やわはだねぎ
「おおおおおおー!『やわはだねぎ』じゃないか!」

うわー。まさかNegiccoが推奨する正真正銘のやわはだねぎだったとは…。僕、見るの2度目だ…。それをRがすっ転んで地べたにぶちまけていたとは。なんという罰当たりな。

「コレ、Negiccoのネギなんだよ!大事なんだよ!」

とRに説教を始めたら

「あっそー」

ものの見事に呆れられてしまい、あらー、やってもうた。普通の親だったらケガの心配やお手伝いをしたことをいたわるべきであろう。

ネギだけにねぎらってねー、みたいな。

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■GAME OR DIE
2014年10月19日(日)
息子・タク(9才)が、一番仲がいい友達の男の子とポケモンカードで遊ぼうとして電話したら今日はダメと言われたらしい。

その男の子はタクの唯一のポケモンカード友達なのだが、最近ニンテンドー3DSを買ってもらったらしく、カードゲームより徐々に妖怪ウォッチなどのゲームに興味が移ってきているらしい。寂しいことである。

じゃあタクにもDS買ってやればいいじゃん、ということになるのだけれども、タクも娘・R(11才)も日頃からまるで計画性がない。

たとえば、今日はパパにとしまえんに連れてってもらいたいから、朝ごはんを食べたらすぐ宿題とピアノの練習をやって11時までに終わらせよう…というような自分で時間の使い方を考えて行動することがまったく出来ないのだ。

休日の朝など放っておくと、昼になってもパジャマのままで朝ごはんをタラダラ食べていたりする。そんな流されるままの子供たちにゲーム機を与えたら「ゲームは1日1時間」という高橋名人の教えなどまるで効き目がないだろう。宿題も何もやらずにずっとやってるに決まっている。

そんなわけで自ら計画的な行動を起こせるようにならない限りゲーム機は買い与えない、というのが僕と嫁の考えだ。

しかし、前述のとおり買ってもらっている子供がどんどん増えて、持ってない方が少数派になっているみたいなので、僕や嫁の考え方が古いのだろうか…という不安にもなっている。

日頃からタクにおねだりされる嫁は、僕より迷っていたのだろう。ある日、嫁がノートを開いて見せてきた。それは、タクがクラスメイト全員に

「ゲーム機を持っているかどうか」

をアンケートした結果だった。嫁が聞いて来いと言ったらしい。ノートにはタクの字でクラスメイト全員の名前が書いてあり、その横にそれぞれ「○」か「×」の印が付いていた。

「○がついてるのはー、いち、にー、さん…」

数えてみたら、クラスメイト30人中、ゲーム機を持っているのは20人。所持率66%!3人に2人が持っている!小学3年生でこれは高い率なのでは、と感じた。僕としては3人にひとりぐらいが持ってる程度だろうという感覚だったが逆であった。

持っていないクラスメイトはタクを含めて10人。若干女の子の方が多い。タクは持っていない理由も聞いていた。「×」が付いている子ひとりひとりの理由を嫁が説明する。

「まず○○くん!キャプテン翼ばりのサッカーバカだからゲームにまるで興味がなし!」

「ひえー」

「△△ちゃん!芸能事務所に入ってて、レッスンや仕事が大変でゲームなんて頭にない!」

「はあー」

次から次へと聞かされるが、持っていない子というのは単に必要がないからであって、

「つまり、欲しいのに買ってもらってないのはウチのタクだけ!という結果になりました!」

「ほげえええ!」

一応我が家の教育方針ということでゲーム機買わない派を貫いてきたが、ウチが思いっきりマイノリティだという結果を突きつけられてしまうと、それってどーなのよねー…、ウチが偏ってるのかなー、という迷いが生じ、じっと嫁を見つめると嫁もたぶん同じことを考えているのだろう、そんな目で僕を見つめ返した。久しぶりに嫁と目と目で通じ合うー♪。かーすかにー、うん、色っぽ…くはない。別に。

「みんな持ってるんだよう。ないのはボクだけなんだよう。買ってよう」

とタクはおねだりする。「みんな持ってるから」というのは根拠もなくおねだりに使う常套句であるが、この場合はちゃんと根拠となるデータを元に言っているのだから真実なのだ。この言葉は重い。すると嫁は

「うーん、じゃあ、サンタさんに頼んでみたらあ…?」

と目を泳がせ、僕をチラッチラッと見ながら言った。あああ、遂に嫁が折れてしまった。はいはい分かりましたよ。嫁、GOを出す人、僕、トイザらスに買いに行く人。

これで遂にウチの子らもゲーム機デビューか…本体もソフトも高いが、ポケモンカードも短いスパンで次々と新作が出て、その都度レアカードを求めて買い続けなければならないのでこちらも結構金がかかるのだ。

カードはひとパック5枚入りで160円ほどである。単価は安いが、欲しいカードが出るまで買い続けなければならない。何千円ぶん買っても出ないことが多い。僕はそれが嫌なのだ。タクがなけなしの小遣いをはたいてもハズレカードしか出ず、悲しそうな顔をしていて金ドブ感が半端ないのだ。

これを期に、カードからは足を洗ってもらった方が無駄遣いもなくなるし精神衛生上にも良い。結果オーライだけど、そっちのほうがいいなあ…と思えてきた。

あ、しかし、必ずしもゲーム機にはまったからといってカードは飽きるとは限らないのか。両方はまってしまったらどうしよう…。

カード名だけに、カード(過度)な期待は禁物?なんちて。

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■その変態、折り紙つき。
2014年10月15日(水)
子供達の学校で学祭のようなものがあったので行って来た。

娘・R(11才)のクラスは「折り紙教室」、息子・タク(8才)のクラスはオリジナルのカルタを使った「カルタ遊び教室」、などなど、クラスごとに催し物があるのだった。

嫁と行ったのだけれども途中からそれぞれ勝手に気の向くまま好きなところに行ってしまった。まずRの教室を覗いてみると

「あ、パパだ」

「え、Rちゃんパパだ」

「ホントだ、Rちゃんパパだ」

受付係をしていたRとそのクラスメイト達から何故か一斉に注目を浴びてしまった。おおっとおじさん怪しいもんじゃないよ。一斉に防犯ブザー鳴らすのは勘弁な。

「そーか、Rは受付係か」

「そうだよ、パパ、ハンコ押してあげる。後半になったら遊ぼ」

パンフレットのスタンプ欄に猫の顔のスタンプを押された。「折り紙教室に来たよ」という印らしい。そうなのだ。Rは前半は担当の受付をし、後半になったら前半に遊んでいること交替し、自由の身になるのだ。Rと逆パターンのタクは、今が自由時間なので、どこかの教室でキャアキャアしているはずだ。

受付のRの他に、折り紙を教える係のクラスメイト達が父兄からちっちゃい子まで、幅広い年齢の来客にレクチャーをしていた。ちゃんと大人用に難しいもの、子供用には簡単なものを用意して、折り方をプリントした紙を用意している。

「ふーん、結構考えてるんだねー」

と眺めていると

「パパも折り紙する?」

職務に忠実なRが折り紙でぺしぺしと僕の腕を叩く。

「どうしようかな。パパも小学生の頃はね、折り紙の本を買っていろんなのを折ったんだぜ。でも今はほとんど忘れちゃってるなー」

「やんないならあっちいって」

折り紙折らずに話の腰を折られてしまった。

Rの教室を出、タクでも探すかな、と校内をうろうろしていたら、知ってる子供達やオヤジ達や先生方とすれ違う。お、向こうから駆けて来るのはタクのガールフレンドではないか。

「たっくんパパ!あっちに妖怪屋敷があるよ!」

彼女はそう叫んで去って行った。廊下を走っちゃいけないよ、と、言いそびれてしまった…。さて、その妖怪屋敷とやらは6年生の教室であった。やっぱり学祭に「お化け屋敷」系の催しは外せないようだ。更に「妖怪ウォッチ」ブームだし。もう10人ぐらいの子が

「ゲラゲラポー」

とか

「ういーっす」

とか歌ったり叫んだりしているのを聞いた。あ、ちなみに

「ダメよーダメダメ」

と言っている子にも5人ぐらい遭遇した。

話を妖怪屋敷に戻すと、小学生が作る怖いものってどのくらいの出来なのかなー、と、ちょっと興味を覚え、入ってみようと思った。しかし大人気のようで入口に子供達がたくさん並んでいたので並ぶのはちょっとやめとこうかなー、と。混んでる時は子供優先なのである。ちょうど妖怪屋敷から出て来た顔見知りの子がいたので

「怖かった?」

と聞いてみたら

「ぜんぜーん」

なんか楽しそうに答えていた。妖怪屋敷といってもメルヘン溢れるものなのだろう。日頃からニュースや防犯メールで知らされる変態や不審者の方がよほど怖い。そう。一番怖いのは人間なのである…なんつって。そういうことを子供に啓蒙するため、「変態屋敷」とか作ってもいいかもしれないな。子供の前でコートをがばっとめくって露わな素肌を見せて

「な?」

と問いかける「なーおじさん」とか、女の子に

「君、かわいいね、パンツ見せて」

と迫るパンツおじさんとか…。そういう妄想をしていると、校内のスピーカーからチャイムがぴろんぽろーんと鳴り、アナウンスが聞こえてきた。

「前半終了です。係りの人は、後半の係りと交替してください」

前半の担当と後半の担当が切り替わる時間になったのだ。じゃあタクが働く姿を見に行くか、とタクの教室に行くと

「これからカルタ取りの説明をします!」

ちょうどタクがお客さん数人の前でカンペ棒読みの説明をしていた。そのさまをニヤニヤと眺めていたら、説明を終えたタクがドーンと飛び込んできた。

「パパもカルタやる?あーでも今いっぱいか…」

なかなか盛況のようであった。どんなカルタなんだと覗き込んでみたら、近くの郷土資料館で見学した、昔ながらの家具や道具をテーマにしたカルタらしい。

「ほりごたつ 昔もあるけど 今もある」

なんだそりゃー!結構面白い、といろいろ眺めていたら、オヤジ仲間のひとりに声を掛けられた。

「や、どうも。カルタやってみます?」

「いやー、別にいいかな…○○先生がいれば別だけど」

○○先生とは、学校でナンバーワンの美人音楽教師である。実はいないかなーと探していたんだけれども、今日はいないらしくて秘かにガッカリしていたのだ。

「ああ、そうだよね!○○先生いないよね!」

オッサン、お前も探してたんかい。

「○○先生とだったらさ、カルタやってさ、お手付きのフリして手が重なっちゃったりして」

「ウヒョヒョヒョ」

ああ、変態屋敷になってしまった…。

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■孤独のグルメ〜吉呑み編〜
2014年10月12日(日)
仕事が終わり、帰ろうとしたら電車が人身事故で動いていなかった。

仕方がないので時間の潰し方を考えながら街をさ迷っていたら吉野家を見付けた。ここの吉野家には珍しく赤提灯が灯っていた。

吉呑み
これは「吉呑み」という吉野家の居酒屋バージョンがあることを示している。店内に入り、階段で2Fにあがると、そこが居酒屋「吉呑み」だ。ガチで酒飲みしたいなら普通に居酒屋に行ったほうが良いけれど、電車が動くまでちょっと飲んでようか…という「ちょい呑み」にはもってこい。

カウンターに座って注文をした。待っているとスタッフルームから制服姿の女子高生が出て来た。えっ?と驚いて凝視してしまったが、

「お疲れ様でしたー」

と帰って行った。バイトの子か。もう少し早く来ていれば女子高生バイトのおもてなしを受けることが出来たのに。吉野家系女子高生だなんて、おじさんの特盛股間がツユダクだわ。はい、特盛だけにかなり話を盛りました。しかし今カウンターにいる店員さんも若い女性で、

「お待たせしましたー」

愛嬌たっぷりでハイボールを持って来てくれたので

「今電車止まってるんだよねー参ったなー」

とか言って絡んでみたら

「えーそうなんですかあ?私も吉祥寺なんで帰れないと困りますう」

既に知ってるけど話し合わせといてやるか、的な感じは受けたが、とても愛想よく返事をしてくれる。

「吉祥寺なんだー。へー。吉野家と吉祥寺って字面似てるよね」

「…はい?」

しまった。調子に乗って妙な話しをしたらちょっと引かれた。あー…まさか吉野家でガールズバー的なノリになるとは思わなかった。普通吉野家って誰とも目を合わさずガガッと食ってササッと帰る場所である。

吉呑み
やがて吉祥寺ちゃんがツマミを運んで来てくれた。マグロの刺身と牛筋煮込みである。マグロの刺し身は「京樽」から、牛すじ煮込みは「ステーキのどん」から、といずれもグループ会社から仕入れているとのことだ。

まずマグロから食べてみる。吉野家なのにマグロ食ってる、という裏メニューを楽しんでいるようなレア感を味わいたかったのだ。口に運んでみると、うん、京樽のマグロだ。こういうのでいいんだよ、こういうので(孤独のグルメ風)。そういえば、電車に轢かれた死体のことも「マグロ」と言うんだっけ…って不謹慎である。

そして牛すじ。こちらはなんか硬いし味がしみこんでないし、煮込みが足りないのではないか…。しかも冷たいし。吉祥寺ちゃん…きっちゃん…あったまってないよ…。うん、こういうのでいい…わけない。

ちびちび飲んで、つまみを突きつつスマホで電車の運行状況を確認する。また当分動かなそうなので追加注文。

しばらくすると50代ぐらいのひとり男性客が現れ、カウンターの端の席に座った。そして

「電車止まってんのよー。帰れないんよー。どーしよー」

たまプラちゃんに甘えているではないか。おのれデレデレ絡んでんじゃねー!みっともない!と怒りを覚えたが、それは30分前の僕自身の姿でもあったのだ。ちょっと酔いが醒めた。

吉呑み
やがて出て来たメンチカツ。非吉野家的なメニューを、と選んでいたらなんとなくこれを食べたくなった。思ったより肉厚があり、腹に重く溜まる。

「そろそろラストオーダーですがいかがなさいますか?」

と、きっちゃん。吉呑みの閉店は早い。22時ちょい過ぎぐらいだ。まだ酒もメンチカツも残ってたし、そろそろ電車が動きそうな気配だったので特に追加注文はせず、引き続き飲み食いしながら復旧情報を待った。

吉呑み
「これよろしかったら」

なんと、きっちゃんが枝豆をサービスしてくれた!もうたまらん!

お前のことがすき家!

ちょっと松屋!

吉野家だっての!

(「お前のことがすき家」「ちょっと松屋」は鳥居みゆきのネタである)

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■ドンドンコーリング。
2014年10月09日(木)
まだ仕事中の、夕方5時半ぐらいだった。

ポケットの中のケータイがぶうんと1回揺れた。メールが着たのだ。しかしケータイを見られる状態ではない。そのまま仕事を続け、しばらくするとそのことを忘れた。

数十分後、またケータイが揺れた。今度はぶうん、ぶうんと何回も繰り返しである。これは電話の着信の合図なのだ。仕事中に電話が来ることなど滅多にないのでこれは驚いた。時間はすでに6時、残業タイムになっていたのでケータイを取り出し、画面を見ると嫁からの着信だ。

すわ、何かあったのかと更に驚いて通話ボタンをポチッとすると

「パパー?」

息子・タク(9才)ののんきな声が聞こえたきた。

「タクか。どうした?」

「あのねー」

「うん」

「あのさあーあ?」

「どした?」

さすがに職場でタク向けの話し方をしていると恥ずかしくなってきたので

「ちょっと待て」

オフィス外の廊下の死角に潜り込むまでタクを待たせ、さあ喋れ、と言ったところ

「パパに封筒が来てるんだけど開けていい?」

とのことだった。そこでピーンと来た。先日、タクが誕生日を迎えたのでポケモンカードをプレゼントをした。しかしその時はタクが欲しいカードがどこにも売ってなかったため、通販サイトに注文したのであった。それが届いたのだ。

タクにはこのことを伝えておいたので、封筒を手にしながら居ても立ってもいられなくなっているのが目に浮かぶようだ。

「開けていいよ」

まさか父が帰るまで開封は許さぬ、なんてことは言えないので、ちゃんと中身を確認しろよ、と伝えると、ブツッと切れた。おのれ現金な奴よ。

ケータイをしまおうとすると、メール着信のマークがあった。そういえば未読のままだったっけ…そうか、まずメールで催促して、それに出ないから直電してきたんだな、と思い、開けてみると

「ポケモンカードのふうとうがとどいたよ!あけていい?たく」

と書かれていた。ああやっぱり。

仕事を終えて家に帰って

「急に電話が来るからビックリしたよ」

と伝えると

「メール返事来ねえし」

嫁がぶすっと呟いた。

「いや仕事中だし」

メールすぐ見ろすぐ返事しろとかメンヘラ彼女か。一方タクは

「カードに間違いはないか?」

「うん!これ最強のカードだよ!」

ようやくプレゼントが全て揃って大興奮であった。

「ねえタク」

「うん?」

「なんか言うことはないのか」

「あ、ありがとう!」

僕も最強のカード欲しいなあ。高須クリニック院長が持ってるようなブラックカード…。


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■9才の誕生日に、悔いはナイン。
2014年10月05日(日)
息子・タク(9才)は金曜日に誕生日を迎えたので、土曜日は彼の好きにさせてやることにした。

まず誕生日プレゼントはポケモンカード。タクが欲しがっていた強いレアカードを秋葉原のカードショップにて僕が買ってプレゼントしたら、いつもはママっ子なのに子犬のように甘えてきた。現金な奴だ。

ポケモンセンター
更にタクはポケモンセンターに行きたいというので、嫁は午前中仕事があるため僕が娘・R(11才)も一緒に連れて行った。誕生日特典が貰えたりするんである。紙の王冠をもらってかぶって、従業員の人に「オメデトー!」とか言われながらここでもポケモンカードを買いたいと言う。

「パパはもうプレゼントをした。欲しいなら自分の小遣いで買え」

「うん」

現在タクは祖父母達からお祝いのお小遣いをもらっているのでリッチなのだ。タクは買うものを決めるのが早かったが、いつまでも迷いながら店内をうろうろしているのはRだった。

「迷うぐらいなら実はそんなに欲しくないんじゃないの?無理して買わなくてもいいぜ!」

早く昼飯を食べたかったのでそう急かすと

「だってー、せっかくポケモンセンターに来たのにー、ここでしか買えないものがあるのにー、何も買わないのはもったいないのー」

とダラダラと自論をかますR。分かったから早く決めてくれ、とタクも急かすとようやくピカチュウのクリアファイルをひとつ買ってポケモンセンターを後にした。

家に帰って嫁と合流して昼飯はラーメン。これもタクのリクエストだ。

美志満
桜台の美志満。塩ラーメンが絶品である。

その後はタクは友達の家に遊びに行ってしまったので、僕とRでタクのバースデーケーキを取りに光が丘まで行く。タクの好きなポムポムプリンのケーキを予約しておいたのだ。ただ、Rは光が丘でも買い物をしたいというのでキディランドに連れて行くと、店内で何を買うか決めかねて長い時間うろうろしている。

「実はそんなに欲しいものはないんじゃないの?無理して買わなくても…」

「だってー、せっかくキディランドに来たのにー、ここでしか買えないものがあるのにー、何も買わないのはもったいないのー」

なんか、午前中と同じことを繰り返す。女の買い物は長いものであるが、Rは輪をかけて長いな…と、とっとと帰りたいので、僕も店内を物色してみる。Rが大好きな「すみっこぐらし」というキャラのグッズがたくさん売られているコーナーで、


すみっこぐらしのオフィシャル本を見付けたので、

「これいいじゃん」

とRに見せると、これがいい、と食い付いてきてやっと買うものが決まった。

家に帰ってケーキを冷蔵庫に入れると、夕食はやっぱりタクのリクエストで回転寿司。

がってん寿司
西落合の「がってん寿司」でタクがマグロだカンパチだの望むがままのネタを食べていた。その横で嫁がここ半年ぐらいで一番幸せそうな顔をして主に白身系のネタを頬張っていた。一方Rはそれほど寿司は好きではなく、

「このあとケーキがあるからそのぶんお腹を空けておくの」

あくまでもマイペースだ。そうなのだ。この後ケーキを食べるのだ。ポケモンセンター、ラーメン、親友との遊び、回転寿司、ケーキ、タクが考えた最高の1日の過ごし方なのである。

「あー、もうおなかいっぱい!おいしかった!」

と満足そうなタクに

「また来てちょうだいね」

と板前さん。

「はい!来ます」

「じゃあ明日ね」

「えー!」

そんなやりとりをしつつ家へ。そして本日のクライマックス、ポムポムプリンのバースデーケーキをドン!

ポムポムプリン
可愛すぎる!タクが絶対コレがいい!と一目惚れしたケーキである。もう大喜び。

ポムポムプリン
ローソクに火を点してハッピバースデートゥーユー♪。しかしあまりにもポムポムプリンの再現度が高過ぎて情が移ってしまい、なかなかケーキを切れずに困ってしまった。タクなどは隣の部屋に逃げてしまって、部屋の隅っこで泣いてしまうし。

タクが「すみっこぐらし」に…!

と、意外なところが繋がってオチになったな、というバースデーでありましたとさ。

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■寿司食わネエ!
2014年10月01日(水)
「パパ、お寿司食べたい!」

息子・タク(8才)が言う。

「来週の誕生日に行くんじゃないのか?」

タクの誕生日は10月3日であり、週末にお祝いしようと考えていたので来週にしようぜ、と言ってみたところ

「先に今日お寿司を食べて、来週はケーキに集中したいの」

というゴチソウ分散化計画を考えており、ちびっ子のくせによく考えるものよ、と笑ってOKすることにした。ところが10分後

「やっぱなし」

「なんでー!」

いきなり前言撤回をしてきたので、いったいなんなんだ!と叱ったら

「商店街のお祭りがあるから」

だってさ。お寿司大好き少年のくせに、なんでまたそんな何回も行ったことがある地味ーな地元イベントを優先するのだろう、と思ったら

「マリオカートやりたいんでしょ」

と嫁。

「あーそうか」

商店街のお祭りでは、いつも電気店が小遣い稼ぎのために、テレビとニンテンドーWiiを店頭に出して、10分100円でやらせているんである。僕と嫁はまだ子供達にテレビゲームを買い与えてないので、タクはこういう時にしかやれないのだ。それにしても寿司よりマリオカートのほうが優先順位が高かったとは…。

で、夕方になり、子供達を連れて商店街のお祭りに。

「ほら、早く電気屋行け。先にマリオカートの順番取られちゃうぞ」

とタクのケツを引っ叩いたら

「最初にチョコバナナ食べたい」

ということで娘・R(11才)とタクにチョコバナナを買ってやって食べさせた。さすが何度も来ているお祭りだけあってどこに何があるかは全てわかっている。

「Rはねー、焼きそば食べたい」

ゲームより食い気のRのために焼きそばも買ってずばばばと食う。

焼きそば
量がもっさり、具もたっぷりで200円。ついでにフランクフルトも買ってみんなでソーセーG!

そうしていかにも祭りの屋台の食い物たちを食い散らかすと、タクはいよいよマリオカートにはまってテレビの前の地蔵と化し、Rは文具店に行って可愛い文房具探しに行ってしまい、僕はフランクフルトを肴に酒を飲み始めて、ものの見事にバラバラな一家になってしまった。

そんなことをしているうちに嫁がやって来て、僕を見つけて

「あら、どうも…」

めちゃくちゃ他人行儀に挨拶する。どこにご近所さんの目があるかも知れないのに、地元の商店街で酔っぱらってる亭主なんかに近づきたくもなかったのかもしれない。しかし僕は子供達のぶんとは別に、嫁用にも焼きそばを買っておいた。それを渡すと多少嫁の機嫌が良くなったようだ。わたしゃあなたの焼きソバがいい。なんちてぐへへ。

Rもタクも全く興味を示さないが、中学校のブラスバンド隊がブンブカブンブカ演奏しながら練り歩いて行く。どこにでもありそうだけれども、こういう100%地元コンテンツのオーソドックスなお祭りはとても好きである。

平凡でいいんだよ、こういうのでいいんだよ、こういうので…と「孤独のグルメ」の井之頭五郎のセリフを真似して呟きつつ酒をあおっていたら

美少女
なんか美少女が来た!彼女はちびっ子に飴を配っていてわりと人気者だった。僕は飴をもらえなかったが写真を撮らせてもらった。そういえばこのお祭り、ほぼ必ずああいう彼女たちが1、2体が歩いている。いったい何者なんだろう。中身はオッサンなのかな、と思ったこともあったけど、一度うっかりぶつかってしまった時に

「ご、ゴメンナサイ!」

思いっきり萌え萌えな声が中から聞こえて来たのでうおおおと興奮した思い出がある。

タクがまだマリオカートに集中しているので、さらに商店街をうろついてると

江古田市場
建物の壁にこんなアートが。JOJOの第二部みたいである。

焼きそば
サンタナとかが埋まってそうだ。これは、商店街の空間を利用してアートしよう、というイベントの作品なんだそうだ。

平凡な商店街かと思ったらわりと変化球要素があるものである。

奇想天外、き商店街。なんちて。

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