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■沖縄日記。そのに。
2014年07月31日(木)
沖縄二日目の朝、僕らは釣りに出かけた。

息子・タク(8才)がどうしても沖縄で釣りをしたいと言うのだ。勿論娘・R(10才)ともども釣りは未経験であるし、僕も嫁も川釣りしかやったことがない。なので船も出してくれて釣竿もエサも全部用意してくれるところを探して申し込んでおいたのだ。

朝、小さな漁港に着くと僕ら家族の他に3グループほどの参加者がいた。時間になると船長がやって来ていろいろ説明してくれた後、船に乗り込んだ。

「…上田だよね」

「…陽に焼けた上田」

船長がくりいむしちゅーの上田によく似ていたので嫁とヒソヒソ話す。

海
船はトトトトト…と進み、上田氏ともうひとりのスタッフがポイントを見定め、陸からそう遠くないところでアンカーを降ろし、船を固定した。小さな湾の真ん中だ。右側にはひょろっとした細い半島が、左側には断崖絶壁があり、それぞれが海から突き出ていて湾を形成している。絶壁は上まで行けるのだろうか?眺めがよさそうだ。

上田氏から竿とエサを借り、エサのつけ方や竿の操作方法などを教わってからレッツ釣りスタート。タクに付き合わされたことであるが、オラなんだかワクワクしてきたぞ。

しかし結構悲観主義者の僕は、釣れなくてボウズだったらどうしよう、と、そんなことばかり考えてしまう。特に最悪なのは言い出しっぺのタクが全く釣れなかった場合である。無駄に負けず嫌いなタクは、もし釣れなかった場合、手の付けられないくらい泣いたりヘソを曲げてしまうはずである。これまでもポケモンカードバトルに負けたとか、ボウリングで負けたとか、数え切れないほどタクの涙を見させられた。

そういう態度って、相手に対して非常に失礼に映るのだけれども、三つ子の魂なんとやらで、もう8才だしなかなか直らない。願わくば僕は全然ボウズでもいいからタクに当たりが来ますように…と願いながら釣糸を垂れていた。

はじめ、僕ら一家4人は並んで釣糸を垂れていたのだけれども、近過ぎて糸が絡まる恐れがあったため、僕とタクが船の反対側に移動した。

タクは僕の隣で一生懸命エサを仕掛けて海に糸を降ろす。真剣そのものだ。そのひたむきさを酌んで、タクに大きな魚をプレゼントしてくれまいか、海の神様よ…と念じていたら釣れた。いや、タクじゃなくて僕が。赤みがかった魚だった。

「これは、オジサンですね」

と上田氏。

「オジサン?そういう名前?あらやだオジサンがオジサン釣っちゃったよ」

僕は釣れた興奮でそんなことを捲し立てたが、上田氏はこのようなダジャレ、何百回も聞いてるんだろうなあ…。

「食べられるんですか?」

と聞いたら、おいしいですよ、とのこと。オジサンはおいしいらしい。どうですかそこのお嬢さん。貴女もオジサン(ていうか僕)を食べてみませんか。

R
それからRが順調に釣れ出した。ガツガツしているタクに比べ、軽い船酔いでボーっとしているRであったが、無欲の勝利なのかもしれない。そして僕も2匹目ゲット。ベラという魚らしい。妖怪人間か。

タク
そうなってくるとタクがだんだん恨めしそうな表情になってきた。ヤバい。想定していた事態になりかねないぞ…ということで、僕はとりあえず自分の釣竿よりタクのエサ取り付けを手伝ったりして出来るだけ時間のロスをなくしチャンスを広げてやることにした。

程なくしてようやくタクに当たりが来て、一生懸命糸をぐるぐる巻いて一匹ゲット。

「やった!よかったな!」

みんなで褒めたのだけれども、

「でもまだパパにもRちゃんにも負けてるし…」

ホントに負けず嫌いだ。

「いや、何匹釣れたから勝ちとかじゃなくてさ、もっとこう、魚との駆け引き、バトルを楽しもうぜ」

そう説得しても結果が全てのタクはなかなかブスっとした顔を戻してくれぬ。なんだかなあ…と思ってるとまたタクに当たりが。

「パパ、すごい強いよ」

僕もタクの釣竿に手を添えて助けると、かなり強い力だ。これはかなり大物かも…とワクワクしながら引き上げると…

「あ、切れてる…」

糸は途中から切れてしまっていた。

「う…」

タク、ここで悔し涙の泣きが入った。

「泣くな!そんだけデカいのがいるってことだよ!チャンスあるよ」

必死に励ましてやる。こういうのってどうなんだろ。いつまでも甘くフォローしてるからタクもいつまでもこうなんだろうか。なんて考えながら糸を付け替えてもらってエサ着けて垂らすと、程なくしてまたも当たりが。

「お、これは、イワシだ!」

今度はちゃんと釣れた。2匹目ということで数で僕に並び、更にイワシという馴染のある魚ということもあり、嬉しかったみたいでようやく

「えへへ、やったー」

笑顔が戻って来た。よしよし。すると嫁がこっそりと

「実はワタシも釣れちゃってたんだよね…」

タクの死角にでっかいテングハギを隠していた。

「うわ、すごいじゃん!」

「タクが釣れてないのに見せると機嫌悪くなるから、わざとダラダラやってたりしてたんだけど…」

嫁もタクの不機嫌を恐れてガチ勝負はしてなかったらしい。こっそり記念写真を撮った。

釣糸を垂らして当たりを待ちながら眺める海は、青くて本当に綺麗で、キラキラ輝くイワシの群れも見えた。

その後、嫁とタクはそれっきりだったが、僕は追加で3匹も釣れてしまった。Rはものすごい力で糸を引っ張る魚が当たり、上田氏が慌ててタモ網で捕えようとしたが

「網より大きかったです…」

残念ながら逃げられてしまった。僕とタクは反対側にいて、その魚を見ることが出来なかったので

「こんなに大きかったのよ」

Rが腕を伸ばして悔しそうに説明する。余程悔しかったのか繰り返し説明するのだけれども、その都度

「こーんなに大きい魚」

腕を伸ばす幅がどんどん大きくなって、まさに「逃がした魚は大きい」である。しかしながらRは僕に次いで多く釣った結果を残した。ボーっとしてるフリしてあの子、わりとやるもんだね、と嫁とヒソヒソ。あみんかよ。

タクは2匹目のイワシ以降当たりがなかったので、やはり不機嫌になってしまったが、

刺身
陸に戻って上田氏が釣った魚をすぐそばの食堂で唐揚げや刺身にしてくれて、

刺身大好きのタクはコロッと大喜びになってしまったのであった。

「パパ、釣り、楽しかった」

「よかったな」

「また海で釣りしたい」

「空でも釣りが出来るんだぜ」

「ホント?」

「東京スカイ釣り」

また不機嫌になってしまった。

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■沖縄日記。
2014年07月30日(水)
家族で沖縄に行って来た。

まずどこかに行きたい、という話があって、それぞれの希望をまとめてみると

嫁→きれいな海を見たい

娘・R(10才)→泳ぎたい

息子・タク(8才)→泳ぎたい。釣りをしたい。

ということになり、期間や予算と相談した結果、沖縄本島ほぼ中央部の海で遊ぶことになったのだ。

ちなみに僕の希望は言わなかった。本当は那覇近辺のどエロエリアあたりにロマンを感じていたがもちろんそんなことは言えず、また、僕は城マニアなので首里城あたりにもロマンを感じていたのだが、何しろ日本三大がっかりのひとつであり、歴史に興味ない嫁子供たちには絶対「つまんない」と言われそうなので遠慮しておいた。

まずは飛行機。Rもタクも初めてで僕も嫁も久しぶりでウキウキしていて、わざわざ飛行機に乗らなくても足が浮いてしまうような浮かれっぷりだ。子供たちは

「これなーにー」

機内放送用のイヤホンを目敏く見つけ、すぐさま子供用のチャンネルに繋いで

「あ、ゲラゲラポーの歌だ!」

妖怪ウォッチの歌が流れていたので、ふたりで大合唱。うちの子以外にも歌ってる子がいて、このアニメがすごい人気だということが分かる。50分間の番組が繰り返し流されるので、50分おきにゲラゲラポー、という歌声が聞こえてきた。

昼ごろに沖縄上陸。早速沖縄そばを食べて13:30ごろにホテルに到着し、14:00を待ってチェックインした。余裕を持って到着したのは、インターネッツで事前に調べたところ、このホテルはチェックインにものすごい時間がかかることと、夕食も混むから予約はしておいたほうがいい、ということが書かれていたからである。チェックインしてすぐ

「夕食も今のうちに予約しておいたほうがいいんだぜ」

そう嫁にドヤ顔で仕切りつつホテル内のレストランで予約を入れ、部屋に入った。すぐさま部屋で水着に着替えて泳ぐことにする。何しろRとタクは泳ぎたくてしょうがないのだ。しかしどこで泳ぎたいか、ということになるとRは海がいいし、タクはプールがいいという。タクは海水のしょっぱさが嫌いなのだ。

「明日は天気が悪いみたいだから、晴れているうちに海に行こう。プールは明日だ」

そんな風にタクを説得して第一日目はホテルからすぐの海に向かった。

沖縄
「あー…キレイだね…」

家族全員で感動。底まで見える青い海。白い砂。東シナ海に面しているためか波が優しい。子供たちはじゃぶじゃぶと入って行き、僕らも追いかける。

「ぬるーい」

海水は温水プールより温度が高いんじゃないかってぐらいぬるかった。さすが沖縄。そしてタクは海のしょっぱさを苦手としていたが

「ここの海はしょっぱさがおいしい」

よくわからんが気に入ったようだ。ラーメンのスープかよ。

地元の人に聞いたところ、地元民は日差しの強い真っ昼間は避け、朝夕に泳ぐという。だから真っ昼間に泳いでいるのは観光客のみということだ。なのでみんな日焼け止め対策を万全にした。日焼け止めをしっかり塗って、僕はずっと野球帽をかぶっていた。

隣にいた家族も

「ほら!しっかり塗る!」

と、お母さんが男の子を怒っていて、男の子は日焼け止めを塗られまくってデーモン小暮みたいになっていた。

夕ご飯の予約時間ギリギリまで泳いで、ホテルに戻ってガツガツと食う。ネットで言われているほどそんなに混んでいなくて、予約とかいらなかったかも、なんて拍子抜けしたり。

沖縄
ご飯を食べながら夕陽を眺める。

夕ご飯の後はお風呂。どうせ嫁とRの方が時間がかかるだろうということで、僕ら男湯組が部屋のカギを持っていったのだが、タクが

「露天風呂楽しい。水風呂も楽しい。サウナ88℃だって!」

水風呂と他の風呂をぐるぐるループしまくり、出てきた時に待ちくたびれた嫁とRに怒られてしまった。

こうして長いようで短い沖縄滞在第一日目が終了した。夏で海で沖縄といえばせんだみつおのネタは避けては通れないであろう。というわけで

夏だ!海だ!沖縄だ!那覇!那覇!那覇ー!

あ、那覇は行ってなかった…。

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■ピアノとアイドルと光が丘。
2014年07月26日(土)
子供達のピアノ発表会があった。

もう3年目ぐらいだろうか。場所は光が丘のIMAホール。ここは春にも僕の大好きなアイドル、Negiccoのライブを観に来た。

その時は、ウチの子らがピアノを弾いたステージでNegiccoが歌って踊ってるなんて、と不思議な気持ちになったものだが、今回はNegiccoが立ったステージでウチの子らがピアノを弾くなんて、とまた不思議な気持ちになったりして。

娘・R(10才)と息子・タク(8才)はちゃんと弾けるかどうかドキドキする…かと思ったらそうでもない。

というのも、休日などは僕がふたりにピアノ練習をやれ、とよく言っているのだが、とにかくやらない。何度もやれと怒鳴りつけてようやく重い腰を上げたかと思ったらお互いそっちが先にやれ!、いやそっちだ!と擦り付け合うし、やっと始めてもすぐ休憩するとか言ってダラダラしてる。

そんなイヤイヤやってちゃ上達するわけねえだろ、むしろなんで続けてんだか、と醒めてしまっていたのである。いつもふたりの様子を見ている嫁も

「今年はヤバい。全然やりこんでない」

と諦め気味だ。そんなことを思っていたわけで。しかし口には出せない。栃木から母がワクワクしながら観に来ていたのでね…。

「うーん、きんちょーする…」

それでもタクは始まる直前、いっちょ前に緊張していた。おちゃらけモノに見えるようで、意外と小心者である。昔は泣いてたしな。それに比べてRはのほほんとしている。

「君は緊張しないのか」

「うん。だってRは本番に強いんだもん」

「本番に強いったってね、強くなるには普段からの積み重ねが大事なわけで…」

つい僕がそんなうるさいことを言ってしまうのは、Rは度胸があるのとはちょっと違うからだ。全く根拠のない自信、というか、そもそも緊張するほど頭が回っていないというか、頭がお花畑というか、そんな心ここにあらずみたいなボンヤリな雰囲気が少し怖い。

僕らは座席に座って、いろんな子供達の演奏を観ながら我が子の出番を待つ。そしてまずタクの出番がやって来た。あまり僕らには見せたことがないような緊張しつつよそ向きの笑顔で登場。

演奏の前に、それぞれの子供の名前を読み上げ、ちょっとした紹介をするアナウンス入る。事前に提出したアンケート用紙に書いた、将来の夢、先生からのひとこと、などが読まれるのだが、タクの場合、

「将来は、大金持ちになりたいです」

と読み上げられ、爆笑されてしまった。この日一番の笑い声だった…って、これ、去年と同じじゃないか!同じネタ書くな!そしてアナウンスの人も去年と同じネタ拾ってんじゃねえ!

タク
タクの演奏は序盤は良かったものの、後はつっかえてグダグダ。予想通りの出来栄えだろう。序盤はよかったのにな〜ショパンだけにってやかましいわ。

R
そしてタクが終わって10人ぐらいの演奏の後にRが登場。なんと、本当に本番に強かった。ウチでの練習より良い出来になってしまうんだからこの子は分からない。本気になったら実はもっとすごいのか…?なんて思ったりしちゃったりなんかして。

ふたりの演奏が終わり、お疲れさん会と母の誕生日祝いを兼ねて寿司屋でゴハン。

「ボクはまぐろー!」

「Rはサーモン!」

と叫びながらバクバクと食べておった。そして腹が膨れた後、Rとタクが母におねだりしていた効果が表れて、タクはポケモンカード、Rは夏休みの読書感想文用の本を買ってもらうことになった。

なので本屋に行ってみると

Negicco
「あ」

なんとNegiccoのサインがあるではないか。確かIMAホールでのライブの時に、ちょうどNegiccoを題材にしたマーケティング本が発売になり、ホールからすぐそばのこの本屋さんにも入荷されたので、本人達が挨拶とサインをした、という話をしていたのを思い出した。それがこれだったのか。

なんだか子供たちのピアノの発表会というより、Negiccoの聖地巡礼みたいになってしまったな…とサインを撮っていると

「なにやってんのあんた。アレが例のアレ?」

母が産むんじゃなかった、という顔をして僕を眺めていた。

僕はピアノを弾かないが、母を引かせてしまったというお話でしたとさ。

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■ポケモン探すイナカモン。
2014年07月24日(木)
また息子・タク(8才)の要望により、ポケモンカードを探す旅へ。

タクが欲しがっているポケモンカードがあるのだが、市販のポケモンカードはパックになっていて、中に何が入っているか分からない。相当ラッキーならばひとパック買えば当たることがないこともないが、そういう甘い期待をして買うと、何パック買っても出てこずひどい目に合う。そのリスク回避のため、ピンポイントで買いたい時は面倒だがバラで売っている店まで出向くしかない。

その店も秋葉原あたりまで行かないとないので本当にめんどい。しかしタクにとってはワクワクの買い物の旅のようだ。電車に乗ると

「あ、パパ!ポケモンスタンプラリーやってるよ!やりたい!」

どこまでポケモン好きなんだお前は。

「今日はそんなことやってる暇はない!」

どうせカードショップをハシゴする羽目になるんだろ…と覚悟していた僕はタクに言い聞かせたが

「秋葉原駅だけでもやりたい〜。スタンプがピカチュウなんだよ」

そんなわけで駅の改札外で僕らのような親子連れが並んでいるスタンプコーナーで僕らも押し、タクはニコニコなのであった。

しかしそのニコニコ顔も徐々に曇っていき、やがて半ベソになってしまうことになる。何故かというと、タクが欲しいカードがなかなか見つからなかったからである。タクが欲しがるぐらいだから他の人達も欲しいものと見えて、品薄のようだ。僕も必ずしも見つかるとは思っていなかったので、3軒くらいハシゴしなくちゃならないのかなあと思っていたらその通りになってしまった。

まず1軒目。ここは「安くて在庫も多いが探すのが大変な店」。値段も良心的で在庫も豊富なのだが、とにかく全然整理できてなくて、無造作に積まれたカードの束を自分で探さなければならないんである。ここで僕らは1時間も探し結局見つからなかった。貴重な夏休みの時間をすげー損した気分…。

2軒目は「そこそこ安くて在庫もそこそこで、整理もそこそこされてる店」という、すべてにおいてそこそこ、背中を掻いて欲しい人みたいな感じの店である。ここは欲しいカードを言ったところすぐ答えてくれた。

「すみません。品切れです…」

タクがここで泣きそう、というかもう涙がこぼれていた。

「あと1軒寄ってやるよ!」

そんなことで泣く息子を情けなくも雨が降って来たから励ましながら3軒め店に。ここは「在庫がカタログ化されて、あるなしがすぐ分かるけど高い店」なので、小遣いの少ないタクのためには出来るだけここでは買いたくなかったのだがしょうがない。

結果は、あった。値段はやはりネットで調べた相場の倍で、高い。アキバに来て手ぶらで帰るのもアホらしい。時間と交通費がかかっているのだ。

「もうここで買わないとしばらく買うチャンスがないよ」

そう言ってタクに買わせた。時間もお金もかかってしまったが、やはり手に入った喜びの方が大きかったようで、半ベソだったタクの顔はようやく笑顔に戻ったのであった。

笑うカードには福来る。なんちて。

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■こちとら茶器茶器の江戸っ子でい。
2014年07月21日(月)
母の誕生日に何か贈ろうと考えていた。

普段ならそんなに気合いが入ったモノでなくてもいいのだが、生誕70周年、すなわち古希なので、ちょっとそこそこのプレゼントにしようと考えた。

さて何にするべか。確か去年の誕生日は、お茶っ葉とかを贈ってそれこそお茶を濁していた。そうだ、母はお茶が好きなのだ。なので今年は

「急須でも贈ろうかねえ」

と呟いたら

「湯呑とセットにすれば」

と嫁の声があったのでそうすることにした。よい急須が売っている店は…とインターなネッツで調べてみたところ、運よく近所に

「お茶の老舗。茶器の掘り出し物もあり」

というお店があったので、へー、近くなのに全然知らなかったなあ…と行ってみたら、老舗と言うよりは単に古い店で、急須もあったけれども何十年ホコリかぶってんだ…という古ぼけたものしかなかったので、そっと店を後にした。

続いて向かった店はギロッポンにあるという。ギロッポンと言えばセレブタウンでありギロッポンヒルズとか、余沢翼とか、あと、えーと、えーと、とにかく派手な街のイメージしかないので、その店も派手なのだろうという先入観で探していたら、ものの見事に迷った。雨は降ってくるし、これがホントの万事急須だねってやかましいわ。

某店
ようやく見つけた店はこんなとってつけたようなレトロな外観であった。中に入ると、その店おススメなのであろう、陶芸家ごとに作品が展示されており、急須もいくつかあった。

急須と言ってもオーソドックスの茶色でどびーん、みたいな地味なものではなく、70の母が使うものとはいえ、少し華のあるものがいいなあ…と思っていたらちょっと花柄のオシャレなものがあった。これにしようかな…と考えていたら

「どんなものをお探しで…」

店主が話しかけてきた。ちょうどいい、急須を探していて、この花柄のがいいなあと思ってたんですけど、と言ってみると

「急須ですか!それならこの方の作品が!」

僕の意見を思いっきり掻き消して、某陶芸家さんの作品をおすすめしてくるではないか。僕が急須と言っただけで我が意を得たりとばかりに怒涛のレコメンドをする店主。つい最近入荷してきたばかりで、デパートに仕入れてもすぐなくなってしまうんですよ!とか、村上隆おすすめなんですよ!とかそれはそれでどうなの的なことも言っていたが、とにかく猛プッシュ。


でも僕は、こっちの花柄のやつがいいんだい!と言いづらい空気になってしまった…。店主に追い詰められた状況になっても、それでも我を通して店主に噛みつくべきだろうか。急須猫を噛む。なんちて。

確かにモノ自体はよく出来ていて、僕自身が使うならこっちでもいいかな…と思う作品ではあった。それに店主の目を盗んでこそっとスマホでその陶芸家の名前をぐぐってみたら結構有名な人らしく

「じゃあそれを…」

結局のところその気になって買ってしまった。素人の僕より目利きの陶芸展店主のおススメだ、と言えば母も納得してくれるだろう。他の物より軽いこともあり、年配女性が使うには軽いほうがいいだろうと思い、それは気に入った。

「しかしこのお店のレトロさは味がありますね…」

最後にそんな雑談をすると

「私は借りてるだけなので良く分かりませんが…60年ぐらい経ってるみたいですね」

とのことで。

帰り道、パツキンのチャンネーから青山一丁目はどこかと聞かれてしまった。さすが国際的盛り場ギロッポン。

エクス急須ミーってか。

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■不審父兄。
2014年07月16日(水)
息子・タク(8才)の授業を見ていた僕は、娘・R(10才)の授業も見ておこうかと思った。

「こないで」

と言われていたのであるが、前回の授業参観の時もそう言われたけれども、実際そーっと覗いてみたら手を振ってくれたので、今回もなんとかなるかなー、と、わりと楽観視してRの教室に移動した。

まだ休み時間なのでRの姿はない。校庭に遊びにだろうか、と、探していると

「こないでって言ったのにー」

後ろから走ってきたRにどーんとタックルをかまされた。ツンデレっぽくてちょっと嬉しい。Rのクラスには、Rと幼稚園の時から同級生の子が何人もいる。そのうちのひとりがやたらと背が高くなっているので、

「たかしくーん、また背ぇ伸びたねー。夏休み終わったころにはおじさん抜かされちゃうかもねウヒョヒョ」

見下ろすことが出来るうちに頭撫でとけ、となでなでしていたところ、

「Rちゃんパパー!たかしよりオレの方が高いぜ!」

右方向からヨシダくんがすっ飛んできて吹っ飛ばされそうになった。

「おお、君も伸びたなあ…」

と感心していたら

「Rちゃんパパー!ヨシダよりアタシの方が高いの!」

今度は左からマミちゃんが突っ込んできた。ちっちゃい頃から美形だったが、なるほど既にアイドルで通じるぐらいすらっとした美少女になってしまっている。

「3人とも、Rに5センチずつぐらいくれない?」

Rに聞こえないようにヒソヒソと冗談を言い合っていたら、そのうちみんながゾロゾロと何処かに行く気配。

「どこ行くの?」

「音楽室。音楽の授業だから」

「え!」

音楽の授業。それは特別な意味を持つ。その意味とは、音楽の授業は担任の先生ではなく、すごい美人の音楽教師が受け持っている、ということだ。仮に彼女をドラミちゃんと呼ぼうか。音楽だけに。

ドラミちゃんのことは子を持つオヤジ達の間でも超有名で、特に僕らおっさんソフトボールチームでは大人気。そのせいで去年の授業参観の日、ソフトボールオヤジ達が音楽室に殺到し、お母さん方やほかの先生方から顰蹙を買い、

「オレが代表して言われちゃうんだから、勘弁してよ!」

とPTA会長にも言われてしまったものである。僕は一応Rの授業だったから大義名分があったけれども、自分の子供もいないくせにドラミちゃん目当てで来たおっさんは、1年経った今でも飲み会になるとネタにされてからかわれている。

他にもある。去年の盆踊り大会の時、僕らおっさんソフトボールチームが会場のパトロールをしていたらドラミちゃんが来たため、おっさんみんなでがっついて、何故か知らんが握手会になってしまい、お母さん方の顰蹙を買ってしまったこともあった。

そんなわけでドラミちゃんへのガッツキ禁止を言い渡されているおっさんソフトボールメンバーのひとりであるため、次がドラミちゃんの授業だと聞いてちょっと身構えてしまった引いてしまった。

僕としては時間割りもろくに見ずに、タクの授業のついでに見に来ただけなので、次がドラミちゃんの授業だというのは本当に偶然である。しかし周りはそうは見ないだろうなあ…。PTA会長も来てるし、他のお母さんの目もあるし

「絶対狙って来てるよね」

と指を差されるに決まっているのだ。いや、他のお母さんの目はなかった!見回すと、父兄は僕しかいなかった!音楽室で、ドラミちゃんとサシというのは(子供たちはいるけれども)、さすがにファンの僕でもちょっとヘビーだね…。ドラミちゃんもドン引きするだろうよ…。どんだけ必死なんだって…。

というわけで、Rの言いつけどおり、Rの授業は見ないことにして、タクの教室に戻ったのであった。

「おらタク、ちゃんと髪の毛拭けよ…」

プールから上がってろくに頭を拭いていないタクを注意しつつも、心は音楽室に。ドラミちゃん、プールの授業やらないのかな(懲りないオヤジ)

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■クロールと逆恨み。
2014年07月15日(火)
土曜日、小学校が「開放授業」ということで、わが子の授業の様子を父兄も自由に見れる日だった。

しかし先日も授業参観があったばかりで、それと何が違うんだかよく分からず、そう思う人が多いのかあんまり来る人がいない。去年行った時は教室に父兄は僕しかいなくて子供達から思いっきり注目されてしまったものである。授業参観って子供が緊張するものだと思ってたが親になってまで緊張するとは思わなかった。

なので今年はどうすっかなーと思っていたら

「パパ、ボクはプールだから見に来て!」

息子・タク(8才)が見に来いと言う。なるほど、水泳の授業参観ってレアだなあ…と思い、行ってみることにした。来てくれと言われるうちが華である。何故ならば、娘・R(10才)の授業も見に行こうかなー、と言ってみたろ

「こないで」

やっぱり拒否されてしまって悲しい。以前の授業参観の日記にも書いたが、そういうお年頃なんである。

「なんでよ!」

と食ってかかったら嫁に

「そういう年頃なのよ。思春期なのよ」

したり顔で言われてしまった。うるせーRが思春期ならお前は更年期だ、と逆恨みしたものである。

さて、とりあえずタクの授業を見に行ってみると、プールの外からフェンス越しに眺めている10人ぐらいの父兄がおり、とりあえずぼっちじゃないことに安心する。その中で唯一の知り合いであるPTA会長がいたので軽く会釈。タクを探していると、程なくプールサイドから上がって来た姿を見つけた。タクも僕も見つけたようで

「寒いんだよう」

なるほど、唇がかなり藤木(ちびまる子)になりながらもクロール25メートルを繰り返し泳いでいた。そうか。寒いか。親達はカンカン照りの下、汗だくだというのに。この授業で面白かったのが、先生が

「流れるプールしますよー」

と言うと、みんなプールの中に入り、へりに沿って一斉にぐるぐる歩き出すんである。すると結構な勢いの水流が生まれてきて

「はい、泳ぐー」

「キャー!」

「こんどは流れの逆に泳ぐー」

「うわー!」

めちゃくちゃ楽しそうで、僕も入りたかった。これ、僕が小学生の時もやって欲しかったなあ。

やがてプールの授業は終わり、みんなキャアキャア引き上げて行った。プールに更衣室はなく、教室で着替えるらしい。僕はタクの濡れた頭でヘッドバットされながら一緒に教室まで戻った。どうやら男子はこの教室で、女子は隣の空き教室で着替えるらしい。

みんなが着替え終わるまで廊下で待ち、貼られている絵の作品などを見ていたら、女の子がひとりするするっと着替える教室を間違えて入ってしまった。すると中の男の子たちから

「へーんたい!へーんたい!」

と一斉に変態コールを浴び追い出されていた。懐かしいなあ、こういうノリ。

こないだの授業参観の時は、Rの学年には授業中なのにふざけたりする問題児っぽい子がいたが、タクの学年にはそういう子はいなかった。辛抱強い子が多いんかね。

石の上にも3年生。なんちて。

なんと、この日記には続きがあります…また明日。

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■交換の悪寒。
2014年07月12日(土)
「パパー。これよろしくねー」

と娘・R(10才)が持ってきたのはノートだった。

これは交換日記のノートである。確か、かなり前にRが乗り気で、僕とRと息子・タク(8才)の3人で始めたのだけれども、いつの間にかやり取りが消えて、忘れたころに復活してまた消えて、と、全然交換がうまくいってない感じである。

一体何が悪いのか。ノートの行方を辿ってみると、

Rが書く→僕が書く→タクが放置で1ヶ月→Rブチ切れ→タクいち抜けた宣言→Rと僕ふたりで再開。

Rが書く→僕が書く→タクがやっぱりボクもやりたいと言い出し再加入→タクやっぱり放置→Rブチ切れ。

というわけでタクが全面的に悪いということが判明し、タクを交換日記永久追放の刑にし、改めて僕とRで始めることにした。

Rが書いた内容を読んでみると、

「クロールがうまく泳げないの…」

という可愛い悩みが書いてあった。これには僕は心を鬼にして言える。一緒にプールに行った時、僕はいつも

「クロールの練習をしろ」

と言っているのに

「やだ」

言うことを聞かないのである。だから改めて「練習しろって言ってんだろ」と返信欄に殴り書きしといた。

さて、本題は何を書こうか。毎度悩むところである。小学5年生に日本経済のことを書いても分からないだろうし、分かりやすく書こうとしても実は自分が分かってなかったりで難しい。じゃあおバカなことを書くか、と書いたところでバカがばれるのでこれまた難しい。得意な下ネタは論外。

なかなか小5女子向けの話題って僕の引き出しにはない。で、苦しまぎれに書いたのが

「練馬区ラーメンうまい店ベスト5」

今度一緒に行こうね、と書いてペンを置いた。あああ…。こんなことでいいのか…。ちょっと自己嫌悪になりつつノートを閉じようとしたら

「グッドニュース・バッドニュースコーナー」

ノートの隅にRが勝手に枠を作ったコーナーがあった。聞いてみたところ何でもいいから書け、ということなので再び唸りながらペンを握る。いいことは…特にないなあ…悪いことは台風上陸だ。


ちょうどこの曲、「水曜日のカンパネラ」というアーティストで、子供たちとよく聞いているのだが、

「いえーい台風8号!本州上陸!」

という歌詞があるので

「その通りになったね」

と書いておいて、Rに渡した。そしたら

「ホントだ!台風8号がホントに上陸したよね!」

ゲラゲラ笑っているのは…Rじゃなくてタクだった。

「お前、自分で書かないからはぶんちょになったくせに先に読んでんじゃねー!」

まったく、油断も隙もない息子である。

さて、次回の交換日記のネタはどうしようかなあ…小5向けのネタを探すのはわりと大変だと気付いた今、既に心が重くなり、夜も眠れなくなるほどなのであった。小5…。

ゆうーべ眠れずにー。ってそりゃ省吾だ(浜田のほう)

悪いことなんでもいいから書け

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■息子の心の友よ。
2014年07月09日(水)
日曜日、息子・タク(8才)が

「学校でサトシが言ってたんだけど、日曜日にジム行くんだって。ボクも行きたい」

とおねだりしてきた。サトシというのはタクのポケモンカード友達で大の仲良しである。土日は必ずと言っていいほどどちらかの家で遊んでいる仲だ。そしてジムというのはスポーツジムとかそういうマッチョなものではなく、タクの場合はポケモンカードバトルのイベントをやっているカードショップ、またはバトルイベントそのものを指す。

要はポケモンカードのバトルをやりたいから連れてけ、ということである。バトルイベント自体は何度も連れてってやったことがあるが、サトシくんとは一緒になったことがないので、今日こそは一緒のところに行きたいという。しかし

「サトシくんはどこの店に行くって言ってたんだ?」

と聞いてみると

「さあ」

「聞いてないんかいー!」

肝心のことを聞いていない。

「パパ、パソコンで調べてようー」

パソコンで何でも分かると思ってやがる…。しかしインターネッツとはよくできたもので、ポケモンカード公式サイトから、今日どの店でカードバトルをやっているのかを検索できてしまうんである。ただ、いくつもヒットしてくるので、どの店にサトシ君が行っているかは分からない。

「…とりあえずココにしてみる?」

とりあえず一番近くて一番開始時間が早いカードショップに目星をつけて行くことにした。近いとはいえ聞いたこともない店だ。

「サトシのママ、そんなマニアックな店知ってるかねえ?」

と嫁が言う。サトシ君はいつもママに連れて行ってもらっている。ちっちゃい弟がいるのでベビーカーを転がしながら大変なのだ。

「それなんだよなー。タク、だからいなくてもがっかりするなよ」

と言い聞かせて出掛けた。着いてみると以前行ったことがある秋葉原や東長崎などのゴチャゴチャ狭苦しい店よりは広くてキレイな感じである。

きょろきょろと見回していると

「たっくん!」

「サトシ!」

なんとサトシ君がいた。

「たっくんも来たんだ!」

「サトシを追ってきたんだよ」

タク、サトシ、感動の再会で抱き合う。エンダー。その一方で思いっきり白けている僕とサトシママ。

「どうせふたりで遊ぶならウチで遊んでも変わらないのに」

「ですよねー」

実際のバトルは知らないレベルの高い人達(もちろん大人も含む)とやるので変わらないことはないのだが。

とにかくカードバトルが始まってしまえば僕は用無しである。タクの目にはカードと対戦相手しか映っていない。子供ポケモン親ノケモン。僕は店を出て腹減ったので飯を食うことにした。

昼時なので本当はカードバトルの前にタクと食べたかったのだけれども、バトル前でアドレナリンが出まくっているせいか、お腹減ってないと言われてしまったのだ。

外に出て飯が食える店を探したのだが、さびれた街なので定食屋みたいな店がなかなか見つからない。しかし定食屋もないくせに何故かジャズバーがあって、そこがランチタイムで開いていたので入ることにした。

扉を開けてみると格調が高そうなピアノやら装飾やら…。そしてマスターもママも音楽家なんだろうなって感じの上品そうな人で結構ビビる。

お客は僕の他にひとりだけ。しかもその人も常連さんで歌手か何かの演奏をする人らしく、ご飯を食べながらバーの人と今度ここでやるらしいライブの打ち合わせをしていた。なんだかとってもアウェイな感じであったが出されたカレーとコーヒーは美味かった。

で、カードショップに戻ってみてもやっぱりこっちもアウェイで、カードバトルイベントが終わるまでやることなし。

2時間ぐらいかかってようやく終わり、

「まけたー。サトシにもまけたー」

とぼやきつつタクが戻って来た。3人と対戦して全敗したらしい。

「はいはいお疲れ」

「秋葉原で会った人がいたよ!いろいろ教えてくれた!」

「そうか、よかったな。負けても泣かないようになったじゃないか」

以前だと、負けると悔しくて泣いてしまい、相手の人をドン引きさせてしまうという悪い癖があったのだけれども、カードバトルはまだまだ弱いけど、メンタルはだんだん鍛えられてきたようだ。

「もサトシ、ウチ帰ってからも遊ぼうぜ!」

「うん!」

ふたりはイベントが終わってもなお遊び続けようとしてニコニコである。盟友がいたのが心強かったのであろうか。いずれにせよ勝っても負けても楽しめるようにならないと。

笑うカードには福来ると言いますし。なんつって。

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■アイス、アイス、ベイビー。
2014年07月08日(火)
息子・タク(8才)は友達の家に遊びに行ってしまったが、娘・R(10才)はこんどのピアノ発表会で着る服を買いたいというので僕が連れて行った。

Rとおデートである。オヤジと洋服を買いに行くことなんて、Rの年齢を考えるとこれがほぼ最後に近いんじゃないかなー、と思ったり。

めぼしいお店に行って

「試着してきなさい」

気に入った服を着てみさせようとすると

「えー」

何故かモジモジしているので

「着なきゃわかんないだろ!」

と背中を押して試着室に入らせて着させてみると

「あれ、カワイイね」

なんてやってるうちに

「じゃあ次にコレ着るね」

Rもノリノリになってきた。で、ようやく決まったお気に入りの服を買い、あとはこないだプールに行って破れてしまった浮き輪やプールバッグを買ったり。順調に買い物が進んでRが好きなキディランドの前を通りかかったところ

「あっ!ヘアゴムが半額だ!ねえパパ買っていい?」

Rがものすごい勢いで食らい付いてきた。

「うんいいよ」

と答えてやるといろんな種類の中から時間をかけてふたつのヘアゴムを選び、僕に見せた。

「じゃあそれ買っておいで。レジあっちだから」

「えっ。Rお金持ってないもん」

なにー。てっきり自分の小遣いで買うもんだと思ってたら…。とんだ小悪魔だぜ。

ひととおり買い物が済み、帰ろうとしていたところ、サーティーワンのお店が目に入った。ちょうどおやつタイムだったので

「アイスでも食べてくか」

と言うと

「いいの?でもたっくんが…」

まず弟を気にかける優しい姉。

「いいんだよ。おやつの時間だし。それにいつもRよりタクの方がたくさんおねだりしてるからな」

先ほどはRにおねだりされてしまったが、そんなことは稀で、タクの方がやれポケモンカード買ってとかコロコロコミック買ってとかうるさいんである。で、Rが選んだアイスは「ロッキーロード」。渋い!確か「あたしんち」のお父さんが好きなヤツだ。で、僕はRの勧めで「ポッピングシャワー」。口の中でバチバチ弾ける。普通にストロベリーとかにしておけばよかった…。

アイスも食べ終わって帰り道、ケーキ屋さんの前を通りかかった。ウィンドウにはキレイなバースデーケーキがあって、

「あっ!そういえばRの誕生日が来月じゃないか!早いなー。もう11才か…」

ちっちゃいながらもうそんな年か…としみじみしながら言うと

「みえないけどね」

Rが自虐風な笑顔を見せた。でも、その仕草が今まで見たことがないような大人っぽさで。

大人になっても一緒にオヤジとアイス舐めてくれないかなー、なんて、

「いえないけどね」

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■愛の説教部屋
2014年07月05日(土)
たまに子供を正座させて説教する時がある。

今日は娘・R(10才)を叱った。内容は言えないが、万引きとか暴力などといった犯罪ではない。仮に

「以前宿題をやらないことを叱ったが、またやらなかった」

ということにしておこう。「また」というところがポイントである。以前も同じことで叱ったのに、また同じ過ちをしてしまったことが最大の説教どころである。裏切られてしまったことが僕としても何よりも悲しいし心が痛い。なので

「前に叱った時は『これからはちゃんとやる』って言っていたのに、何故できなかったんだ」

と問い詰めたところ、

「この世の中を!ウグッブーン!! ゴノ、ゴノ世のブッヒィフエエエーーーーンン!! ヒィェーーッフウンン!! ウゥ……ウゥ……。ア゛ーーーーーア゛ッア゛ーー!!!! ゴノ! 世の! 中ガッハッハアン!! ア゛ーー世の中を! ゥ変エダイ! その一心でええ!! ィヒーフーッハゥ。一生懸命訴えて、西宮市に、縁もゆかりもない西宮ッヘエ市民の皆さまに、選出されて! やっと! 議員に!! なったんですううー!!!」

急に号泣して全然関係ないことを語り出し…って違う。

「ちゃんとやろうとしたんだけど…できないときがあって…」

静かに、ゆっくりと語るのであった。Rの大きな目から涙がひとつぶぽろりとこぼれた。今まで見た中で最も美しい涙だと思った。その美しさに魅了されRを信じてしまうところだけれども、でも、裏切られてるからな〜、と思いながらも、

「これからどうしたら防げるか、書け」

始末書的なことを書かせて自分の机に貼らせたところで、お説教タイムをおしまいにすることにした。

子供達が寝てから

「またやらかしそうで不安なんだよね…」

と嫁に言うと

「はあ?ワタシは絶対やらかすと思ってるよ。信じてないし」

非常にドライなコメントであった。

「僕も同じようなことをしちゃうから分かるんだよね…Rは僕の弱いところを受け継いでしまったんじゃないか…」

メンタルの弱いところが似てしまったよ、と嘆くと

「じゃあしょうがないね。あなたが悪いよ」

と嫁。はいはい、子供の悪いところは全部僕のせいですよ。

娘の涙。僕はあの美しい涙に一生騙され続けるのだろうか。

ちなみに僕は雀の涙である。

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