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2016年01月31日(日) U23代表、アジア王者に

<リオデジャネイロ五輪最終予選兼U−23アジア選手権:日本3−2韓国>◇決勝◇30日◇ドーハ
 
U23日本代表が決勝で韓国代表を3−2の大逆転で退け、アジア王者となった。おめでとうございます。

難しい試合

どちらも五輪代表権を獲得した者同士。優勝がかかっている試合だけれど、最大のミッションを果たしたばかり。ゆえに難しい試合である。難しいという意味は、もちろんモチベーションの持ち方。

60分間無抵抗だった日本

韓国は前半20分に先制点、この得点は韓国のシュートが日本のDFの膝に当たってコースが変わった結果。日本にとってはアンラッキーだった。その後、日本の攻撃は緩慢で、チャンスらしいチャンスは生じないまま、前半終了。

後半開始早々(2分)、韓国があっというまに追加点を上げ、楽勝ムードが漂った。その後も手ごたえのない日本に対し、韓国選手に油断、気の緩みがなかったか。

浅野投入で流れ変わる

そんな中、日本の選手交代で流れが激変した。後半15分に日本は切り札としてここまで無得点のスーパーサブ、FW浅野を投入。その5分後、連戦の疲れが出てきたのか足が止まってきた韓国守備網を突破してまず1点。ここで韓国は慌てた。守備陣に混乱が生じたその隙をついて、日本がイージーゴールの追加点で同点。およそ1、2分後の出来事だった。こうなると、韓国に修正がきかない。足が止まった韓国DFをふりきって後半36分に浅野が決勝点をあげた。

U23日本代表は、因縁のドーハの地で、0−2の劣勢を後半15分から3連続得点で逆転勝利。優勝で同大会の有終の美を飾った。

韓国監督の采配ミス

前出のとおり、難しい試合である。韓国の申台龍監督の采配が甘かった。選手交代で一歩遅れを取り、かつ、守る意識を徹底できなかった。日本が選手交代で攻撃陣を活性化させたにもかかわらず、申監督は動かなかった。その前提には、この試合の前半45分間及び後半15分までの60分間、無抵抗に近かった日本に対し、この先加点して大量点で勝ち切れるという驕りが生じた可能性を否定できない。交代出場の浅野に反撃され、1点目を献上したことが逆転負けの主因となった。ここを契機として、韓国に混乱が生じた。

それだけではない。韓国が反撃を断念したような申監督の異常采配があった。韓国は後半36分、2−3とリードされているにもかかわらず、3人目の選手交代がなんとCBだった。2−0もしくは2−1でリードしている段階で守備固めを意図したのならば納得がいくが、この選手交代は懲罰的な意味が色濃い。こういう交代は監督の失敗を選手に転化させようとするもので、よろしくない。申台龍に対して、韓国選手は不信感を抱くだろう。

韓国側に采配ミスがあり、状況を見極めない油断と驕りがあった。だから日本が勝ったというつもりはもちろんない。勝ちは勝ちである。まずはアジアの頂点を極めた。この先、選手はさらなるレベルアップを図り、A代表入りを目指し、そしてW杯ロシア大会出場を目指してほしい。



2016年01月29日(金) 日本プロ野球2016シーズンを展望する(セリーグ)

日本プロ野球(NPB)のキャンプインが間近だ。各球団は来るべきシーズンに向けて戦力を整え終わり、外国人選手も続々と来日を果たしている。まずはセントラルリーグの順位予想をしてみよう。

昨シーズン、「ヤクルト優勝」は予想できず

昨シーズンの順位は以下のとおりだった。
(1)ヤクルト、(2)読売、(3)阪神、(4)広島、(5)中日、(6)DeNA

筆者の予想は、1-広島、2-阪神、3-読売、4-ヤクルト、5-DeNA、6-中日、であったから、外れだった。読売の優勝はないものと思ったが、「ヤクルト優勝」は予想できなかった。昨年書いたことだけれど、2015シーズンの「広島優勝」は、希望・願望であって、戦力的に圧倒的優位にある読売以外で、ではどこが優勝する可能性が最も高いかという選択の結果であった。読売が優勝できなかったという結果において、筆者の願望は満たされた。

2016シーズン、「読売優勝」は鉄板

今年は、残念ながら筆者の願望を満たす要素は他の5球団においてまったくみいだせない。つまり、読売の優勝は鉄板に近い。

監督の世代交代完了

セリーグ全般のトレンドとしては、監督交代が挙げられる。2015シーズンに緒方(広島)、真中(ヤクルト)が監督に就任し、続いて2016、読売(高橋由)、阪神(金本)、DeNA(ラミレス)と新監督が続々と就任した。選手兼任だった谷繁(中日)も監督専任となり、監督の世代交代が一気に果たされた。ヤクルトが監督交代で一気に優勝したことがこの流れを加速させたものと思われる。指導者経験皆無の高橋由、金本(解説者経験はあるが)の監督就任については不安が払拭できない。前出の優勝は鉄板と断言した読売の唯一の不安材料は、新監督の力量ということになる。

戦力の整備果たした読売

戦力面をみると、その読売は、昨シーズン終了とともにベテラン・外国人選手の整理に着手した。高橋由(外)、井端(内)、金城(外)、久保(投)、青木(投)、フランシスコ(内)、セペタ(外)、カステヤーノス(外)を退団させた。妥当な措置だろう。

補強としては、FA入団が西武から出戻りの脇谷のみ。その代り、外国人としてクルーズ(内・ロッテ→)、ギャレット(外、一・ヤンキース→)を獲得。これで読売が契約している外国人選手は、マイコラス(投)、ポレタ(投)、マシソン(投)、アンダーソン(外、一)、メンドーサ(投)と併せて7人に膨れ上がった。メンドーサの一軍定着はないものとしても、6人である。外国人登録は4人までだから、必然的に2選手は二軍。実績では新外国人のギャレットが一軍でそのスペアであるアンダーソンが二軍。内野のクルーズは井端の代わりだから一軍。マシソンは貴重な中継ぎだから一軍。先発のマイコラスとポレタが登録、抹消を繰り返すといったイメージだろう。新戦力のギャレットが日本の野球に馴染まなければ、アンダーソンが代わりに一軍定着か。

余剰気味の外野は昨年同様、分厚い戦力を維持している。ギャレット(左)、立岡(中)、長野(右)もあるし、ギャレットが一塁にまわった場合は、亀井が左翼で先発となろう。さらに、大田、堂上、橋本、松本(哲)と他球団ならレギュラークラスが控えである。

手薄だった内野陣だが、ギャレット(一)、クルーズ(二)、村田(三)、坂本(遊)で豪華な布陣が完成する。三塁の村田が不調ならば、片岡(二)、クルーズ(三)で修正。一塁のギャレットがダメな場合は、アンダーソン(外)、阿部(捕)、堂上(外)、亀井(外)が穴を埋められる。

先発投手陣は、菅野、マイコラス、高木勇、田口、ポレタ、大竹寛、桜井(ドラ一)が揃った。ベテランの内海、小山は+αと考えられる。抑えは澤村、セットアッパーは昨年不調だった山口、マシソン、さらに、戸根、高木京、宮國、田原、昨年ケガで休んだ西村の復調もあり得る。公文、平良の台頭も考えられる。読売の投手王国は健在だ。

ウイークポイントの捕手陣は、阿部の復帰が決定的。キャンプで体力に問題がなければ、開幕先発捕手は阿部となろう、控えは相川、小林、加藤、実松で昨シーズンと変化なく、戦力としてはかなり落ちる。阿部がどこまで捕手で頑張れるかが読売の命運を決する。

ヤクルト、阪神、広島は戦力を大幅ダウン

他球団はどうだろうか。優勝したヤクルトは絶対的クローザーのバーネットが退団。セットアッパーのオンドルセクは残ったものの、新入団のデイビーズ、ぺレス、ルーキの3投手は未知数。野手では外野手の坂口(オリックス→)、鵜久森(日ハム→)が加入し、故障気味のバレンティンの代わりの左翼のポストが戦力アップした。

とはいえ、ヤクルトは選手層が薄い。昨シーズンはバレンティン以外のレギュラー陣に故障者が出なかったが、山田、川端、畠山、雄平のなかでだれか一人が長期離脱したら、大幅な戦力ダウンが免れない。結論として、ヤクルトはバーネットの抜けた穴が埋まらないとみた。

阪神もクローザーのオスンファンが退団。出戻りの藤川が穴を埋められるか。先発投手陣は駒が揃っているが、中継ぎ、抑えが不安。加えて、読売同様、ここも捕手に不安が残る。首脳陣は梅野に期待しているようだが、筆者は梅野の投球の組み立て方に不安を感じている。野手ではマートンが退団しヘイグ(一、三)が入団。弱かった三塁の補強になったが、外野が福留、大和、江越では心もとない。ドラ一の高山が入団一年目でレギュラー定着なるか。いずれにしても戦力アップの材料が乏しすぎる。

広島の最大の弱点は緒方監督。采配にキレがない。序盤から送りバンドを多用したり、そうかと思えば無謀なヒットエンドランや単独盗塁を企てたりと、焦りが目立つ。打者を信頼して、じっくり打たせて大量得点を狙ってほしい。戦力としてはエースの前田がMLBに移籍して大幅ダウン。抑え候補としてジャクソンが入団したがNPBで通用するかは未知数。中崎は安定感に欠ける。先発の柱となる黒田は昨年のNPB復帰騒動で燃え尽きた感がある。どうみてもAクラスが精いっぱいだろう。

中日、DeNAはBクラス確定か

中日、DeNAはBクラス確定だろう。両チームとも先発投手不足。中日はベテランの退団により、打撃陣が手薄に。とくに外野手不足は深刻。平田、大島、新外国人のビシエド(控えに藤井、ナニータ、多村*育成=DeNAから移籍)では長いシーズンを乗り切ることは難しい。

読売が独走する?

結論として、順位は以下のとおり。

(1)読売、(2)ヤクルト、(3)阪神、(4)広島、(5)DeNA、(6)中日

今シーズンのセリーグは1強5弱、しかも2位以下はかなり流動的。ヤクルト、阪神、広島のどこがAクラスに入るのか予想できない。戦力が整備された読売が、大差でシーズンを制するのではないか。



2016年01月27日(水) U23代表、五輪出場決定

<リオデジャネイロ五輪最終予選兼U−23アジア選手権:日本2−1イラク>◇準決勝◇26日◇ドーハ

U23日本代表が準決勝でイラクを下し、五輪リオ大会出場を決めた。筆者があまり期待していなかった世代の快挙である。手倉森監督以下同チームの選手及び関係者に心から敬意を表したい。

今回の五輪予選は一国開催方式(カタール)で、グループリーグ予選を勝ち抜いた8チームがトーナメント方式で勝ち上がらなければならない。一発勝負のトーナメントではなにがおこるかわからない。そんななか、準決勝に勝利して五輪出場を果たしたことは偉業に近い。戦績を見ると、予選リーグで北朝鮮(1−0)、タイ(4−0)、サウジアラビア(2−1)と連勝し、決勝Tでは120分でイランに3−0、そして準決勝でイラクに2−1と5連勝である。東アジア、東南アジア、中東勢を満遍なく撃破しており、向かうところ敵なしのようにもみえる。

なかで最大の難関は準々決勝のイラン戦だった。90分間イランに試合を支配されながら0−0で粘り、スタミナが切れたイランを延長で突き放した。後半の終盤近く、相手決定的シュートがバーに当たる幸運にも恵まれたが、こういう大会では結果がすべて。「もし…」という論法は成り立たない。勝ちは勝ちなのだ。

ここのところ、A代表がアジア杯でベスト8どまり、東アジア選手権で全敗とアジアで苦戦していただけに、若い世代が結果を残したことは喜ばしい。しかし、課題も見えている。その第一は攻撃陣。A代表に影響を与えるような卓抜した素材が見当たらない。どの選手も平均点に達しているが、とびぬけた輝きを放った選手がいたかというと、そうでもない。

U23日本代表チームは対戦相手のアジア諸国に比べて、戦力、体力において平均点で上回っていたと換言できる。このことはもちろん大事なことなのだが、タレントがそろう中南米、欧州、アフリカが参加する世界大会においては苦戦する。このことは全世代の日本代表にいえる。すべての世代で現状レベルから進化を遂げないと、アジアで勝てても世界では…といういつもどおりの結果で終わる。

第二は、同じことの別表現にもなるが、ここまでの対戦相手のレベルが相当低いこと。前出のとおり難敵のイラン、苦手のイラクにしても、サッカー技術の洗練度があまりにも低すぎた。スピード、パワー、高さ、フィジカルでは日本を上回った両国だったが、決定力がなかったし、決定機をつくる戦術的訓練がなされていない。これらの傾向は、アジア各国の経験の浅さからくるのではないか。国家レベルの育成システム、所属クラブチームのそれ、あるいは大学といった育成インフラが未整備なのだろう。当然、実戦経験も少ないのでないか。日本チームには欧州クラブに所属する選手もいたので、彼らの経験が外国でのセントラル開催方式に耐えられる気力・体力を維持できた要因かもしれない。

結論は、下のカテゴリーの代表チームがアジア予選を勝ち抜き、五輪代表出場権を得たからといって、この先、日本(A)代表が安泰だとはとてもいえないということ。たとえばイラン戦の延長で2ゴールしたMF中島翔哉(背番号10)だが、イラク戦では、得意とする左サイドからゴール前に切り込んでシュートという形を読まれ、クリーンシュートを一本も放てなかった。引出しがあまりにも少なすぎる。期待されたMF遠藤航(3)もこれといって印象に残るプレーはなかった。またスーパーサブで期待された浅野拓磨(16)も得点にからめなかったばかりか、見せ場すらつくれなかった。

反対に期待がもてるのはDF陣で、CBの植田直通(5)、岩波拓也(4)らには安定感があった。植田、岩波ははやくA代表で経験を積んでほしい。

もう一つは、なんといっても監督の手倉森誠の手腕である。厳しいスケジュールの中、試合ごとのターンオーバー方式の選手起用や、各試合中における的確な選手交代といった采配はほぼ完璧だった。

また、バングラディッシュ合宿や自らの3.11被災経験を選手に語るといった、技術面よりも精神面の指導に重きを置いたとの報道もあった。恵まれすぎた日本の若いサッカー選手たちがアジアの実態を肌で知ることは、彼らの精神性を大きく変えたに違いない。


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