2013年07月12日(金) |
佐藤寿人こそが日本代表FWにふさわしい |
J1サンフレッチェ広島のFW佐藤寿人(31)が川崎戦でハットトリック。通算12得点とし、J史上初の10年連続2ケタ得点を達成した。今季2度目のハットトリック、10年連続2ケタ得点、J1、J2の通算得点でも鹿島MFジュニーニョの179得点に並ぶ史上1位と、記録を更新した。
筆者は、W杯ブラジル大会の日本代表FWは佐藤しかいない、と確信している。佐藤以外に、日本を代表するFWはいない。だから当然、佐藤がW杯で先発FWとして試合に出場し、闘ってもらいたい。海外組とかいうものの、まともに試合に出場していないFWを日本代表FWとはいわない。いわんや、Jリーグで佐藤より得点を上げていない選手が日本代表FWをはる資格はないし、そのことが許せない。 佐藤のよいところは、平凡な表現ながら得点感覚の鋭さにある。これは資質、天分の領域であって、練習を積み重ね努力をして得られるものではない。打つべきタイミング、ゴールの枠を一瞬でとらえる才能の問題なのである。だから、練習でいいシュートを打てるとか、シュート技術が高いとかいう領域を超越している。試合の流れの中でシュートが打てるFWという意味において、佐藤の上をいく選手は日本にはいない。 もちろん、才能の上に練習を重ねることで超一流選手の領域に達することができるということは、言うまでもないが。
ザッケローニはイタリア人なのだから、自国の卓抜したFWアントニオ・ディナターレ(35)の存在を知らぬはずがない。佐藤もディナターレも身長170センチと小柄なFW。佐藤もディナターレを意識しているという。
そればかりではない。イタリア人FWとしては、やはり身長170センチ台前半のサルヴァトーレ・スキラッチがいる。彼はJリーグでもプレーしたのでご存知の方も多いと思う。
そのスキラッチも佐藤と同様、なかなか代表入りは果たせなかった。彼が代表選出されたのは1990年3月31日のスイス戦。イタリア自国開催W杯のなんと2か月前である。そして、そのイタリアW杯では不調のジャンルカ・ヴィアリに代わって出場し、7試合で6得点をマークし得点王に輝くとともにゴールデンボール賞を受賞し、イタリアを3位へ導いた。佐藤とスキラッチは、プレースタイルは異なるものの、ぎりぎりで代表入りし、W杯で活躍した姿を佐藤と重ねてみたい。
そういえば先のコンフェデ杯で優勝したブラジルのFWフレッジも、ブラジルリーグ(フルミネンセ)で活躍する国内組の一人。彼の場合は海外経験もあるが、コンフェデ杯開催時は国内リーグ得点王の実績から代表FWとなった。
ザッケローニよ、東アジア選手権以降、日本代表FWの先発は佐藤寿人でいけ。
2013年07月02日(火) |
変わりつつある世界サッカーのトレンド |
◎ブラジルを調子に乗せた日本戦開始3分のネイマールのゴール
コンフェデレーションズ杯決勝は開催国ブラジルがスペインを3−0で退け、予選リーグを含めて全勝で優勝を飾った。世界王者を相手にブラジルが予想外の大差で圧勝した。ブラジルの勝因はいろいろあるだろうが、日程を含めて地元開催の優位性を十二分に活かした結果と言えるだろう。
思えば、コンフェデ大会はブラジル対日本におけるネイマールの一発で始まった。あのボレーシュートがネットを揺るがしたことでブラジルは調子に乗ることができた。ブラジル優勝に日本が貢献したと言えなくもない。さらに特筆すべきは、ブラジルの強い守備力である。ネイマール、フレッジといった攻撃陣の活躍に目を奪われがちだが、安定した守備力がブラジル優勝の立役者と言える。
◎ブラジルという舞台の困難性
報道によると、ブラジルは冬と言われるものの、試合が行われた地域のいくつかの都市は、気温・湿度とも相当高いようだ。広大な国土のため、試合ごとの移動もきつそうだ。コンフェデ参加国はW杯本大会にむけて、ブラジルの気候、風土、環境を実体験できたことがプラスとなろう。もっともコンフェデ参加国の中で、W杯本大会出場を決めているのは開催国ブラジルと日本だけ。予選リーグ全敗のその日本だが、ブラジルで3試合をこなしたことは貴重な体験となった。この体験を本大会に活かしてもらいたい。
◎変わりつつある世界サッカーのトレンド
さて、この大会の一番のポイントは、決勝でブラジルに負けた世界王者スペインのパスサッカーに陰りが見え始めたことではないか。バルセロナの選手を主体に構成されたスペイン代表だが、本家のバルセロナもここのところ、UEFAで簡単に勝てなくなり、2013年はドイツ勢に決勝の舞台を譲っている。スペインはそれでも十分強いのだが、主力の高齢化と、相手チームの研究により、思うように試合を運べなくなっている。
世界のサッカーのトレンドは、スペインに代表されるパスサッカーから、フィジカル重視へと傾き始めているようにも思う。日本もこの世界サッカーの潮流を頭に叩き込んでおかないと、取り残されるに違いない。体格(身長、体重)は短期間に改善されるものではないが、フィジカルはトレーニング方法やトレーニングに取り組む姿勢で短期間に強化できる。
世界のトレンドとなったフィジカル重視のサッカーとは一つは守備的傾向であり、具体的には、(一)ポジションに関係なく、ボールをもった相手に強いプレスをかける攻撃的守備力(プレッシングサッカー)、(二)守備陣形としては、強固なブロックを敷きつつ、ボールを奪ったときには早いカウンター攻撃ができる攻守の切り替えの早さ、(三)ロング、ミドルシュート力、(四)サイドからのクロスに合わせられるヘッディングシュート力(ジャンプ力、強い体幹)、(五)早く正確なフリーキック力・・・である。
局面において勝てる個の走力、体力、精神力が求められ、さらに、チームとしての組織力、献身性が求められる。サッカーとは本来、そういうスポーツなのだろうが、ここにきて改めて、基本的パワーが再認識されるようになってきた。なかで最重要なのは、相手の攻撃を封じ込める守備力ではないか。
本大会でブラジルをもっとも苦しめたのは、南米の雄・ウルグアイだ。ブラジルは、グループリーグの日本、メキシコを(グループリーグ突破が決まったイタリア戦は2失点)、また決勝のスペイン戦も完封した。ところが、準決勝のウルグアイには1失点し、後半41分まで1−1とピンチだった。しかも、前半、フォルランがPKを決めていれば勝敗の行方もわからなかったくらいだ。ウルグアイに代表される南米チームの特色は強い守備力。W杯常連のパラグアイも守備力は強い。W杯で勝つためには、強い守備が必要となる。
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