2012年07月24日(火) |
ベースボール、あれやこれや |
○イチローのヤンキース移籍は「衝撃」でもなんでもない
「衝撃的なニュースが入ってきました」という朝のワイドショー番組のキャスターの声に何事かと思えば、イチローのトレード話。イチローは日米のプロ野球界にとって、もっとも偉大な選手の一人。日本人野手として、MLBで輝かしい記録を打ち立てた数少ない選手の一人。
でも、38歳という年齢による衰えは必然。今季の打率はいまだ、3割にとどいていない。ウェブ上のスポーツ情報では、マリナーズ内部から、イチローの存在についてこのままでいいのか、という疑問の声があがっていたことは、周知の事実。MLBでは7月末でトレード期間は終了する。ベテラン選手が新天地を求めるのは、モチベーションを高める常套手段。ここ数年、成績不振が続くシアトル・マリナーズがチームコンセプトの転換を図ろうとするのも当然のこと。イチローが移籍する可能性は低くはなかった。そんなことは、ウェブのスポーツ欄に一とおり目を通していれば、「衝撃」でもなんでもないはずなのだが・・・
日本プロ野球界では、主力の移籍は稀なことで、たとえば、昔の巨人のONが移籍するはずがない、という固定観念にいまだしばられたまま。だから、イチローの移籍が衝撃的に受け止められてしまうのかもしれない。選手の流動性について、日本のプロ野球ファン、というよりも、ベースボールを伝える日本のメディアがナイーブ(うぶ)すぎる。
○日本プロ野球のオールスター戦は「花相撲」
日本のオールスター戦(3試合)が終了した。筆者は3試合ともまともに見ていない。見るに耐えないのだ。まず、選手が試合中、ニヤニヤ笑っている。真剣勝負のスポーツ試合で、戦っている選手がニヤニヤすることはあり得ない。気合が入っていないのだ。
投手は直球勝負、野手はそれをワンツースリーのタイミングで強振する。このような「対決」は、選ばれた選手が最高の技術を見せるという、オールスター精神に反する。パワーを見せたいのならば、「ホームラン競争」でやってほしい。投手は自分がもっている最良の球種を組み合わせたコンビネーションで打者(野手)を打ち取るのが本来の姿だろう。打者はそれを見定めて、ヒットする技術を見せるのが打撃の本筋だろう。「花相撲」の3試合は無駄である。
○原監督(読売)は打者を信頼しろ
前半戦、セリーグは出だしにつまずいた読売が立ち直って、首位で折り返した。村田(横浜)、杉内(福岡)、ホールトン(同)と、強打者1人、エース級2投手を強奪した読売にして、当然の結果だろう。ところが、読売の試合内容がひどすぎる。エンターテインメント性が皆無なのだ。送りバンドが多すぎる。アウト1つを献上して得点圏に走者を進める、いわゆる、犠牲バンドほどつまらないものはない。
読売の場合、それがあまりにも多すぎるし、結果として、得点につながらない確率のほうが高い。にもかかわらず、愚直にバンド作戦ばかりを展開するので、見ていて辟易する。
さて、読売の場合、主力野手で生え抜きの選手は、阿部捕手(2000年ドラフト)、高橋外野手(1997ドラフト)、長野外野手(2009年ドラフト)、坂本内野手(2006年ドラフト)、の4選手。長野、坂本は若手といえるが、スラッガーではない。それ以外の野手は、前出の村田(FA)、エドガー(外国人)、谷、古城が移籍組。生え抜きは、外野手で、亀井、矢野、加治前、松本ら、内野手で、寺内、藤村らだが、まったくスケールを感じさせない。小粒選手ぞろいであるし、伸び悩んでいる。
読売の攻撃は、長野、坂本はそれなりに活躍しているものの、走者が出ると、生え抜きの小粒選手が犠打で塁を進め、ベテラン、移籍組がそれを返すという野球に近い。なんとも魅力に乏しい。
読売は、リリーフ投手はそれなりに成長させているが、先発投手、スラッガーを育てていない。スカウトの目が悪いのか、選手育成を担当するコーチが悪いのか、二軍監督に問題があるのか・・・検証してほしい。とりわけ、大型野手の育成に努力してほしい。
ひどい壮行試合だった。相手は、五輪では日本と予選グループは異なるニュージーランド。この試合で得るものがあったは、ニュージーランドだろう。アウエーでおされながらも負けなかったのだから。
日本はチームになっていない。この期に及んでだ。これは監督が悪い。筆者は、関塚監督の手腕について常々疑問を呈してきたが、五輪出場を運良く果たしたため、更迭されずに本番を迎えてしまった。
チームになっていない現象は、攻撃面では、サイドと中の連携の問題としてあらわれた。サイドが上がってフリーでクロスをあげられても、その速さ、長さ、タイミングが中の選手とあっていない。これでは得点はあげられない。得点の核となるFWが定まっていない。大津がワントップというのは、彼の柏在籍中のプレーしか知らない筆者には記憶にないのだが。資質として、ワントップに合っていないように思うのだが・・・筆者はOA枠使用に反対していたが、使うのならば、広島の佐藤寿人選手を入れればよかったと思うくらいだ。
得点シーンを云々するのはサッカーでは意味がないとは思うものの、日本というよりも杉本に運があったように思えてしまう。換言すれば、日本は試合を通じて、チームが意図する形で得点をあげられなかったということだ。
守備陣の自陣での不用意なパス交換は問題外の凡プレー。しかも、失点シーン以外にも2回ほど危険なシーンがあったのではないか。失点の責任は村松選手にあるが、自陣でのDFのパス交換に規律がないことが五輪代表の欠陥だ。Jリーグのペトロビッチ監督の浦和、森安監督の広島のDF陣の集中力――覚悟を見習うべし。
では本番ではどうなのだろうか。まず、スペインは攻撃的サッカーを仕掛けてくるだろう。そのときは、日本はこの試合のようなポゼッションは絶対に不可能だ。トゥーロンでも、トルコ、エジプトのような攻撃性のあるチームに打ち負けている。本番では、ホンジュラス、モロッコはスペイン以外から勝ち点3をあげたいと思うから、日本に対しては攻撃的にくる。DFのミスは命取りだし、OFの決定力不足は予選突破を難しくする。
不可解な采配もあった。けが人や病気などの理由以外で出場する機会のないバックアップメンバーのFW山崎やMF米本を、正規メンバーのFW斎藤より先に投入。斎藤は後半36分にようやく出場した。関塚監督は「後から入っても計算が立つ。彼の良さを見たかった」と切り札的起用をしたかったと説明したという。そもそも、この壮行試合はなんなのかということだ。 そればかりではない。試合終了後、GK権田がミスをしたDF村松に詰め寄るシーンがネット上に動画として流れている。サポーターも呆れたことだろう。そもそも、終盤まで1−0の僅差でもつれたのは、大量点の機会があったのに決められなかったことが主因。そのことを棚に上げて、試合後、公衆の面前で切れて、ミスした選手をとがめるのは問題外。控室でやるべき行為だ。GK権田は代表選手、人間として失格だ。GK権田をここまで増長させた責任は監督にある。
なにもかもバラバラな、五輪代表に期待できない。繰り返すが、チームに規律をもたらすことのできない関塚監督にすべて責任がある。関塚監督を更迭すべきなのだ。
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