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2007年09月29日(土) 相撲協会は暴力集団で構成されている。

不幸な事件である。相撲部屋に入門したばかりの若者が、集団リンチで殺害された。むろん殺人事件である疑いが濃い。このことは、事件発生直後、別のコラムで書いた。http://2.suk2.tok2.com/user/bugatsu/?y=2007&m=07&all=0.html"
殺人の指揮をしたのが親方である可能性ももちろん、高い。

報道によれば、財団法人日本相撲協会という公益法人に関係する相撲部屋と呼ばれる組織において、このような暴力行為が日常茶飯事だというから、所管する文科省の管理力を疑う。文科省は所管する公益法人の内情を把握していないのか、あるいは、わかっていて見逃しているのか。このたびの事件の責任の一端は、所管する文科省にある。

朝青龍事件のとき、当コラムにおいて、財団法人日本相撲協会に寄附行為違反があると指摘した。このたびの不幸な事件もまた、同財団が抱える問題を顕在化させた。日本相撲協会は、国民の公益に資する要件を満たしていない。即刻、公益法人の認可取り消しの措置が必要だ。

「相撲道」というものが日本の「国技」として、伝統芸能として、保存されることに異論はない。「相撲道」を保存するための芸能集団として相撲協会が公益法人として設立されていることも正しい。ところが、相撲協会は、▽独占的な興行権をもち、▽国民に開かれた情報公開をせず、▽協会を支える相撲部屋、親方、力士には勝手なこと(朝青龍らのモンゴル出身力士にはモンゴルビジネス)をさせ、▽力士がお座敷に上がれば、つかみ金のご祝儀をタニマチからもらい、その一部を親方がリベートとして懐に入れている等の脱税行為を日常的に行い、▽八百長で力士同士が金銭をやり取りしている疑いが濃い・・・のが実態であるといわれている。

そればかりではない。このたびの事件が明らかにしたように、相撲部屋においては、新弟子に対する非人道的な暴力行為がまかり通っている。文科省は、国民の教育を司る役所ではないか。その役所が、犯罪集団を丸抱えにした公益法人を野放しにして、そのうえで税の優遇措置を与えているというのだから、常軌を逸っした話ではないか。

日本相撲協会は、力士、相撲部屋の不祥事は親方の責任として逃げるが、これも協会役員=文科省の無責任さの実証である。税の優遇等の「おいしい部分」については、公益法人制度を利用し、不祥事や事件の「都合の悪い部分」は、部屋や親方や力士の責任だといって逃げる。このような姿勢が、公益法人(財団)として、許されるのか。

このたびの殺人事件が警察によって立件されて本当に良かった。相撲部屋が遺体を火葬していたら、事件はまさに闇に葬られたわけだから。息子さんを亡くした父親の無念さがインタビューに滲んでいたが、相撲協会は遺族・国民に対して、加害者でありながら、謝罪も釈明もしていない。殺人に加担した親方は、事件直後の取材で、自分達は何もしていないと、虚偽の発言を平気な顔でしていたことがTV映像に記録されている。実際は殺人に加担していながら・・・このような者が、「国技」に携わっていていいのか。

協会がこのたびの殺人事件の責任を重く受け止めるというのなら、▽理事長は退陣すべきだ、▽相撲協会は協会の再建策を国民の前に提出すべきだ、▽再建ができなかった場合は、相撲協会は解散すべきだ、▽文科省は、今後、財団法人相撲協会を常時監視すべきだ、そのためには職員一人くらいを協会に常勤で貼り付けてもよい。さもなければ、この無法集団の暴走はまだまだ続く。



2007年09月09日(日) 勝てなくなった松坂

米大リーグ、レッドソックスの松坂は8日、当地でのオリオールズ戦に先発登板、2回3分の2を投げて2本塁打を含む6安打を浴びて8失点し、12敗目(14勝)を喫した。メジャーでは1試合の自己最多失点で、最短降板。2奪三振、3四球で、防御率は4.11となった。(時事通信)

残念ながら、この試合を見ていない。ただ、筆者は、2007年07月20日(金)に、「松坂の危険度はレベル4」で書いたとおり、松坂の不調は「疲労」だと確信している。

松坂の投球技術は、まちがいなくメジャー級だと思う。しかし、彼の体力がそのレベルかどうかは、松坂がルーキーであるため、本人しかわからない。いや、本人でもわからない。

開幕当初、松坂は長いイニング投げたいと言って、ベンチの指示に従わなかったと言われている。そのときも、筆者は松坂の「勘違い」が危険である旨を当コラムで書いた。奢るなと。松坂が先発完投が投手の義務だという日本野球の価値観に縛られていることを知って、筆者は心底驚いた。MLBではそうはいかないと。

米国に行ったことのある人ならばだれでも知っていることだけれど、11月のシカゴは雪が降り、ロスアンゼルスではTシャツで十分という国だ。広い国土、長い移動距離、地域によって異なる気候・風土、審判はホームサイドディシィジョン、とりわけ主審のストライクゾーンは日本より主観的だ。松坂に限らず、有名な投手を特別扱いすることはない。

そんな中で1シーズンを乗り切るためのMLBの投手システムは、先発投手は中4日、1試合で先発は6イニング程度、ホールド2人、クローザー1名の分業制だ。リリーフ陣は短いイニングなら150キロ近くを投げられる速球派から変則・クセ球のタレントでかためられている。

米国流投手システムが良いか悪いかはわからない。ただ、先発完投ペースで投手を中5日でまわすことはリスクが高すぎる、というのが米国野球の考え方であり、優秀な先発投手が集まりにくい現実を踏まえれば、最も合理的なシステムなのだ。

松坂は、シーズン(日本)中、せいぜい2時間程度の移動しか経験してこなかった。気候風土も単一だし、日本の主審は松坂に敬意を表してくれていた。

米国にきて最初のシーズン、彼のここまでの成績(14勝12敗防御率4.11)は、まずまずだ。負け数が多いのでベンチの信頼度は低いだろうが、彼は最初から先発3〜4番手扱いだ。ルーキーイヤーとしては責任を果たした。

いま、筆者の関心は、松坂が來シーズン、故障せずにどこまで投げられるかに移っている。今シーズンの疲労を持ち越すようだと、来シーズン途中でのリタイアもあり得る。松坂が奢らずに謙虚にトレーニングに励み、心身のリフレッシュに努め、米国という国に適応してほしい。我流・日本式にこだわるようだと、危ない。松坂が「第二の伊良部」にならないことを祈っている。



2007年09月07日(金) 阿部の代表離脱

日本代表の阿部が腰痛で欧州遠征から離脱した。阿部は、Jリーグ、アジア杯をはじめとする日本代表、アジアCL、A3杯、オールスターなどフル回転だった。日本の今夏の猛暑は、彼の体力の回復を妨げたことだろう。離脱は当然である。ここで壊れてしまったら、なんのための代表選手だかわからなくなる。目標は2010年のW杯・南アフリカ大会。予選開始までに万全に近いコンディションをつくらなければならない。

阿部は複数のポジションができること(ポリバレント)で、オシム代表監督のチーム構想に不可欠な存在だ。本職の守備的MFはもちろんのこと、かつて在籍した千葉(市原)ではトップ下、サイドをやったし、DFでは、浦和で4バックの左SB、3バックの真ん中(リベロ)、アジア杯の代表チームでは4バックのCBも経験した。

管見の限りだが、阿部の最も適性を欠くポジションは、アジア杯でやった4バックのCBではないか。浦和でやる4バックの左SBも迫力がない。彼には攻撃・得点にからむ仕事をやってもらいたい、と、筆者は思っている。

阿部不在の日本代表だが、アジア杯不参加だったトゥーリオが中澤と二人で4バックのCBを務めることになるので、大勢に影響がないように見えるかもしれないが、代表メンバーのうち、DF、MFのだれか一人が欠けたとき、阿部の存在の大きさを知ることになる。

さて、阿部のサッカーキャリアは、Jリーグの市原(千葉)→浦和で止まっている。オシム代表監督は、日本人選手が海外クラブに移籍しても、移籍しただけで試合に出なければ代表に選出しないという方針を貫いているため、日本人選手が海外クラブからのオファーに簡単に応じなくなった。もちろん、海外クラブも日本人選手に魅力を感じなくなったと言われている。

海外で塩漬け状態になっているのが、元G大阪の大黒(FW)だ。小笠原(MF)もそうだったが、彼は鹿島に復帰し日本代表に復帰する可能性がある。大黒は日本のサッカーシーンから消えたままだ。大黒もJリーグに復帰すれば、日本代表の最大の弱点であるFWとして、復帰できるかもしれない。

阿部はどうなのだろうか――彼ならば、クラブを選ばなければ、海外でレギュラーになれるのではないか。中村俊輔が所属するスコットランドリーグはもとより、それよりレベルの高いイタリア、スペイン、イングランド、ドイツでも、下位クラブならば、レギュラーになれる。阿部が海外で塩漬けになる可能性が皆無とは言わないが、「大黒状態」にはならないだろう。阿部ほどの選手ならば、海外経験があってもいい。


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