in love with...
沙夜



 そんな時もある

「怒ってるの?」と聞かれて
「怒ってないよ」と返事する。


思いっきり怒った表情してる癖に
「怒ってないよ」って…(苦笑)
嘘ついてるの、バレバレじゃん。


「なんかあった?」
「なにもないよ」


暗い店内で、キスしようとする彼を避ける。


「あー。嫌いなの?僕のコト」
「うん(笑)」


「送って行くよ」
「大丈夫。ひとりで帰れるから」


本当のコトが言えない時もあるの。
素直になれない時もあるの。


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素直になれるかな。。。



2003年02月28日(金)



 ライブ

彼と一緒に、私の好きなアーティストのライブに行った。


彼は、一体どんな反応を示すんだろう。
ついてこられるのかな?とか
しらけちゃうかしら?とか
ちょっとだけ心配してたけど、全然問題なしだった。


私と同じくらい(私以上?)ノリノリで
そんな彼のはしゃいだ様子が、私はとても嬉しかった。


あー、楽しかった!!
また今度も一緒に来ようねー。



今度?


うん。
5年後か10年後か分かんないけど。



多分、次あるとしたら、5年後とかじゃないかな。


じゃ、5年後も一緒にね。


あの時は、そんな先のこと…って思ってしまって
「うん」とか「そうだね」としか返事出来なかったけど…


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2003年02月17日(月)



 ごめんね...2

雨降り。
彼の折り畳み傘は、長いこと使ってなかったから
骨の部分がギスギスしていてなかなか開かず手間取った。


苦労しながらようやく開くこと出来て
私も自分の持っていた折り畳み傘を差し
彼の後ろについて歩いた。


ふと。
彼の傘の布部分にある、タグに目がいった。


PLAY BOY


・・・・・ぶっ。


ものすごい勢いで可笑しさが込み上げてきて
私はそれを押さえることが出来なかった。


茶系のチェック柄のその傘と、彼の雰囲気は合っていたけれど
PLAY BOYという言葉は、傘にも彼にも不似合いだった。


ひーひー笑う私に、彼はきょとんとして「どうしたの?」と尋ねる。


だってー。か、傘に、プレ・・・プレイボーイって書いてある〜。
全然似合わないよ〜。



私がその後もずっとずっと笑い続けていたものだから
彼をムッとさせてしまった。


すたすたすたすたすたすたすたすたすたすた。


彼は早足で、どんどん先に歩いて行ってしまった。


二人の距離がどんどん離れて
このまま置いて行かれたらどうしようと頭をかすめ
さすがのバカ笑いも沈静化した。


もし、角のところで彼が足を止めて
振り返ってくれなかったら、私は…。


あの時は、ごめんね。


その後、彼の傘を差すのはやめて、私の傘で相合い傘をした。
私の折り畳み傘は、開いても開いてもすぐ
へなへなとしぼんできちゃう代物だった。


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って、二人で文句を言いながら、雨の中、いっぱい笑った。


2003年02月16日(日)



 ごめんね...1

テーブルの上にメガネケースが置いてあった。


ね、それ、メガネ?

そうだよ。

かけることってあるの?

あるよ。夜とかね。

見たい見たい。
どんな?かけてみせて。



それは黒ブチの分厚い、かなりクラシカルなメガネで
彼は、やだなぁーとか、笑うもーんとか、言いながら
しぶしぶかけて見せてくれた。


かけるまでもなく想像がついたけど
そこにはのび太くんみたいになっちゃった彼がいて
私は大笑いしてしまった。


あはははは。
えーと、なんだっけ。
あのー。洋画で。ほらコメディの。


さぁ。知らないよー。

その映画の主人公がかけてるメガネみたい。


笑っただけでは済まず、失礼な発言をしてしまう私。


もういいっ!! かけないっ!!


と、彼は拗ねた。(当然)
もう2度と、私の前ではあのメガネをかけてくれないかも。


あの時は、ごめんね。


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昨日、2/22(土)
77777カウントゲットのご報告
どうもありがとう。


2003年02月15日(土)



 St.Valentine's Day

バレンタインデーの夜。


クリスマスイブに連れて行ってもらったレストランへ再び。
店内は、若いカップルやサラリーマンのグループでとても賑わっていた。


いつチョコを渡そうか・・・私がタイミングを伺っていた時
まるでそのきっかけを与えてくれるかのように
彼が会社で貰ったチョコレートの話題になった。


じゃあ…これは私からね。


淡いブルーの紙袋をテーブル越しに手渡した。


ありがとう。ん、重たい。
わー、なんかたくさん入ってる。



3つだけだよ。
チョコと、ワインと、後は…



これなに?
開けても良い?



いや、ここでは開けない方が…(笑)


分かった。じゃ後で見るよ。
・・・僕からはこれ。



それは私が欲しいとおねだりしてた、ケミストリーのアルバム。


わー、ありがとー。
覚えてくれてたんだね。



もちろん!


口約束だけでなかったことに、感激してしまう。


そうこうするうちにラストオーダーの時間になっていた。
たくさん居た筈のカップルの姿はなく、残っているのはサラリーマンだけ。


あれ。
なんでみんなこんなに早いの?



そりゃ、バレンタインだもの。


…ああ、そっか。
そうだよね。
バレンタインだものね。
さっさと行くとこ行くよね。



そうそう。


なーんて二人で笑いながら
のんきに食事やデザートを追加しちゃったんだけど…。


そんなことしてる場合じゃなかったかもね。
私達もさっさと行くべきだったかもね。


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2003年02月14日(金)



 Birthday...5

帰りの車の中。
彼が1枚のCDを取り出し、セットする。


それはどんな?

ん?どんなだろ。
まだ聴いてないから。
コラボみたいだよ。



Whitneyの "Greatest love of all" が流れ始め
2人はしばらく無口になった。


私はCDケースを手に取って、見た。


あ、kissのシリーズだ。
kiss for sweet lovers だって。

ふふっ。for lovers?


そ。
lovers だよ。



少しずつ、別れの時間が近づいてくる。
カーナビの画面を何度も見ては(あと30分…、あと20分…)と、
到着予定時間から今の時間を引き算していた。


後少しで着いちゃうね。

うん。


車を運転しているほとんどの時間
彼は左腕を伸ばし、私の右手に触れていた。


私は彼の左手をまじまじと見つめた。


浮かんでは消える、様々な想いにフタをするように
自分の左手を、彼の左手にそっと重ね合わせた。



(...The End)

+++

ゆうべの電話にて。


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えーっ!?


2003年02月02日(日)



 Birthday...4

そのフレンチレストランは、厨房がガラス張りで
客席から見渡せる造りになっていた。


店内は若い女性のグループや、カップルで賑わっていて
別の個室では、ウェディングパーティーも開かれていた。


お誕生日おめでとう。

ありがとう。


彼はビール、私はキール。
そっとグラスを合わせ乾杯した。


ゆっくりとした時間の中で、前菜やメインを味わう。
最後のデザートを、おヒゲのギャルソンが運んできた。


「お誕生日おめでとうございます! 」

(……!?)


お皿の上の苺タルトには、火の灯った細いロウソクが1本立っていた。
そしてケーキ皿にはチョコレートで
「誕生日おめでとう(フランス語で)沙夜様」と書いてある。


「本日は沙夜様のお誕生日だそうで。おめでとうございます。
 さ、ローソクを吹き消して下さい」


言われるままにローソクを吹き消すと、彼とギャルソンとで
拍手をしてくれた。


ケーキをまじまじ見ていたら、再びギャルソンが現れ
今度は花束を差し出す。


「どうぞ」

あ、ありがとうございます…


私はギャルソンに向かってお礼を言った。


「これは僕からじゃないですよ(笑)
 ダーリンからですからね。
 まったく至れり尽せりで、お優しいダーリンですねぇ」

(ダーリン!?)

ええ、あの、ほんとに。
至れり尽くせりのダーリンで…(笑)



その後の私は、ずっと、恥ずかしさと嬉しさを
笑うことでごまかしてた。


どうしたの?

ううん。
ありがと。嬉しい。


どういたしまして。


テーブルに置かれた花束は、窓から差し込む眩しい光の中で
白、黄、橙、緑の鮮やかな色を、生き生きと放っていた。


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2003年02月01日(土)
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