妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2013年07月15日(月) 『黒後家蜘蛛の会 1』(小)

【アイザック・アシモフ 訳:池央耿 創元推理文庫】

説明不要のアシモフ先生のこれまた不要の、安楽椅子探偵物の新ジャンルを築いた黒後家蜘蛛です。
連作短編なので、飛び飛びに読んだ記憶があるんですが、久しぶりにちゃんと読むかーと思って読んでみました。

月に一度、6人のインテリ人が集って四方山話しをする会(女人禁制)に毎回一人ゲストがやって来て、ちょっとした謎解きに発展、それを華麗に解くのが給仕のヘンリーというスタイル。
ほぼ殺人事件とは無縁ですが、遺言の謎とか、暗号とか、日常系の謎が多いので、やや殺人事件には飽き飽きしている今日この頃としては楽しかったです。

やっぱりヘンリーの出自がわかる一話目がいいです。
ヘンリーいい性格してるな!という。
連作短編で毎回毎回律儀に作品解説書いてるアシモフ先生もなかなかいいです。
ざっと40年前の作品ですが全く色あせないですね。


2013年07月12日(金) 『ニ00二年のスロウ・ボート』(小)

【古川日出男 文春文庫】

あらすじによると「『出トウキョウ記』であり、その失敗の記録」「三つのボーイ・ミーツ・ガール」。
そういう話しでした。
明確に書いていないけれどここに登場する東京はヒートアイランド化している、『サウンドトラック』の東京と同じなのかねぇ。

まあ、それはさして。
あとがきによると村上春樹の『中国行きのスロウ・ボート』のリミックスとのことですが、春樹の方は読んでないのでどこがどう、というのはわかりません。
古川日出男がそんなに村上春樹に傾倒していたとは知らなかったな。
とは思いつつ、ベルカとか夜の種族のイメージだったからであって、本書は確かにそれっぽい。

愛の物語に興味薄いので、あまりこれという感想も出てこなかったです。


2013年07月03日(水) 『宵山万華鏡』(小)

【森見登美彦 集英社文庫】

宵山を舞台にした連作。
一話目「宵山姉妹」を読むと、『きつねのはなし』系のかな、と思うんですが、「宵山金魚」「宵山劇場」に進むと、バカ学生物の流れなのかなーと思い直して、やっぱりきつね系かなーとなる。
今までの森見小説の要素がぎゅっとコンパクトに詰まった一冊。
不思議と怖さと荒唐無稽が渾然としていかにも祭りの日という話しでした。


2013年07月01日(月) 『イノセント・ガーデン』(映)

【監督:パク・チャヌク アメリカ・イギリス】

映画を監督でも出演者でもなく脚本家で観に行ったのは初めてのような。
脚本はウェントワース・ミラー。
世間的にも個人的にも『プリズンブレイク』のマイケルって言ったほうが分かりやすい。
あんなにイケメンなのに裏方に回るのもったいないなーと思いつつ観てました。

内容は『悪の教典』のハスミンの前日譚みたいな。
主人公の少女・インディの18歳の誕生日に父が死に、そこに現れた謎めいた叔父と、消えていく周りの人々というサイコスリラー。
叔父のチャーリーが現れた時から怪しすぎるので、親子揃ってなんでそんなに惹かれるのかと思ったり、ウェントワースがやればいいのにと思ったり。

映像美しいし、ばったばった死ぬ感じでもないし、血が飛び散るわけでもないので、主人公がミア・ワシコウスカ(アリス・イン・ワンダーランドの)であることも相まってダークな不思議な国のような印象でした。



蒼子 |MAILHomePage

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