妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2010年06月27日(日) |
『独白するユニバーサル横メルカトル』(小) |
【平山夢明 光文社】
表紙の通りの不快短編集。 なんでこのミスなの・・・?という疑問はあるが、まぁまぁかな。 グロだけでも狂気だけでも不快にはならない。 そこに共感するだけのまっとうさがないと心底不快を感じられないように思うんだけれど、この短編集は全体的に振り切れ過ぎてて絵空事に感じたなぁ。
「C10H14N2(ニコチン)と少年―乞食と老婆」 ニコチンって・・・。悪ふざけか。
「Ωの聖餐」 脳を食ってその記憶や能力が身につくというのはそう突飛な設定ではないが、人食いだけでもグロテスクなのに、さらに不衛生感をプラスしてひたすらうんざりさせる趣向。
「無垢の祈り」 これでラスト、主人公もかち割られるとどうせならいいのに。身も蓋も何もない。
「オペラントの肖像」 まぁ、そうだろうなぁ、というオチ。
「卵男」 卵男がそうであったからといって、誰かが不幸になるようなたぐいのオチではないよな。
「すさまじき熱帯」 一番ユーモア色があって雰囲気はよい。もちろんグロい。
「独白するユニバーサル横メルカトル」 メルカトルというと、鮎か地図のどっちかしか思い浮かばないが、ここでのメルカトルは地図。 地図視点というちょっと変わった話し。 へぇ・・・
「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」 なぜかちょっといい話し風な終わり。 ちっともいい話しじゃないのに。
2010年06月20日(日) |
『モテキ 全4巻』(漫) |
【久保ミツロウ 講談社イブニングKC】
『トッキュー!』とはうってかわり(原作つきじゃないからというのもあるが)、モテない男子が急にモテ始める話し・・・ではない。 20代最後のちょっとした成長物語ですねぇ。 なんかもういちいち痛いわ。 幸世に全面的には共感しないけど(男女差あるし)、あぁまぁ、そういうこともあるよねぇ・・・・と。 登場する女子たちも、けっこう一癖二癖あり、その辺のリアリティはやっぱりミツロウ、こんなんでも女子だな、と。 1巻の巻末でうっかり騙されかけたというか、今までが騙されてたの!?と思いかけたけど。 いや、トッキュー時代からコレ本当に女子が描いてるのかなぁと疑惑だったので。今回の作品も、やっぱりよく女子が描けたもんだな、とは思いましたけど。
ラストはすっきり!という感じではないけど、これくらいの進歩がリアルなんだろうな。 この後も、きっと幸世はふらふらしてるし、仕事も相変わらずないんだろうけど。 ・・・この後にやってくる、30代編が一番悲惨なんじゃ。
オム先生がどんどんプンプンになってて怖かったよ。 あんなにまるごとプンプンで大丈夫か、と思うけど。いいのか。
あと、タイトルはみんな歌の題名なのかなぁ。いくつかしかわからないんだけど。
2010年06月19日(土) |
『アイアンマン2』(映) |
【監督:ジョン・ファヴロー アメリカ】
正直、1よりおもしろかったかと言えばうーんなんだけれど、ま、2は2なりのおもしろさがあったと思う。 予告段階では、新秘書が敵かな味方かなみたいな感じだったのだけれど、案外いい子だった。 いい子っていうのもなんか違うんだけれど。強ぇぇ・・・というか。 新旧仲良さそうだったので、3にも揃って出て欲しいですねぇ。え、3も作るんだよね? それにしても、ポッツはいつまでも垢抜けないなぁ。わざとなの? 可愛いからいいんだけど。 (でも社長になるのはもう少し渋ってもらいたかったなぁ。ラストももうちょっと怒ってもらいたかったなぁ)
1から役者は変わっちゃったけれど、親友ローディとトニーはより仲良しそうでよかったなぁ。でもスーツ着ての喧嘩は迷惑だからやめようぜ!
しかし敵も味方もほんっっとおっさんばっかりでいいね! トニーは可愛いなぁ。ほんわか。
2010年06月17日(木) |
『ラガド 煉獄の教室』(小) |
【両角長彦 光文社】
タイトルになってるけど、ラガドいらね・・・。 あ、今気づいたけど、これ乱歩賞じゃなくて日本ミステリー文学大賞新人賞だった。 そうだよねぇ。乱歩賞もレベル下がったなぁと思ったんだよねぇ。
唐突に同級生が同級生を刺す昨今、教室で起きた池田小事件を髣髴とさせる事件のスケールダウン、というだけではインパクトもなく、かといって事件そのものへの掘り下げもいまいち。 真相にいたっては、あれホラー?SF?みたいな、もやっとした結論。 二転三転してるように見えるけど、ただ単に登場人物の早とちりと思い込みに過ぎない結論が、あとで覆されていくというだけで、読者はただただ、落ち着け、としか思えない。
あと、文章もいまいちだよねぇ。 褒められるところは、別に見ても見なくてもいいけど、見たほうがわかりやすいよ、という感じで挿入されてる図くらいですかね。 ページの真ん中に入ってたら邪魔だったと思うけど、脚注のように下段に入ってるのがいいよね。
2010年06月12日(土) |
『後悔と真実の色』(小) |
【貫井徳郎 幻冬舎】
『慟哭』超えはしなかったなぁという感想。 慟哭に比べればやっぱり、話しもミステリとしての仕掛けも弱いなぁと思わざるを得ない。 あんなもんでデビューしたらその後がそりゃあ大変だよね。
本格ミステリでありつつ、刑事小説である、というのはなかなか両立しにくいもんだなぁとしみじみ思いました。 どちらかを立てればどちらかが立たず。 鑑識でもうちょっと詳しいことわからんのかい?とずっと思っちゃいましたねぇ。 刑事小説としての側面はもはや、ミスリードさせたいために大量にキャラを投入しただけのようにも見えるし。 悪くはない。刑事物として読めなくもない、という出来栄えなだけに、普通に探偵ものにしといた方がよかったんではないかという気もする。 結局、西條が後半あんなことになるならば。
以下、ネタバレしつつ。
犯人は残念ながら大分初期にわかるうえに、動機もけっこうすぐに見えてしまい、そのため、あぁきっと美叡は死ぬんだろうなぁとずっと思っていてその通りに。 がんばって色んなところに気を散らそうとしているのはわかるのだけれど、その分、筋道がはっきり見えてしまいました。 ラストもねぇ・・・。 西條はなんだったんだろうな。 たぶん、登場人物のほとんどがもやもやしたまま終わったと思います。
なんでこのタイトルだったんだろう。
【堂場瞬一 中公文庫】
「寝不足書店員続出」の帯でお馴染み鳴沢シリーズ1作目。 ・・・半分くらい読んで数ヶ月放置しちゃったよ。 鳴沢がとっつきにくいのは、解説によるとあえてらしいけど、事件そのものになんだか興味が湧かず。 解決の仕方もけっこう不満で、関係者がみんな死んでしまうって、真相は確かにわかるけれど、なんかなぁ。生きろ!と思ってしまう。
鳴沢の成長は二作目から始まるのだろうなぁというのはわかるんだけれど、じゃああえて成長を見届けてやりたいかというと、これまた微妙な気分。 この本があと200ページ分くらい薄ければいいのに。
しかし刑事って辞めて、またすぐ復帰できるのかなぁ。 どうなってるんだろう、二巻は。
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