妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2009年09月30日(水) |
『ベルカ、吠えないのか?』(小) |
【古川日出男 文春文庫】
これはなかなかの奇書。 キスカ島に残された、4頭の軍用犬から始まる犬の年代記。 第二次世界大戦、ベトナム戦争、ソ連解体・・・犬たちの年代記と戦争の世紀が絡み合って、複雑に派生した犬たちの系譜が様々な運命を経て、一人の男のもとにたどり着く。 犬をこういう角度から見たか、とうならされる。 ここには人間が都合よく想像する犬もいなければ、愛らしい犬もいないが、確かに犬の物語だ。 『星守る犬』の読後とはまた全然違う意味で、これを読むと犬が違って見えてくる。 おまえ、どこから来たんだ?と問いかけたくなる。
2009年09月28日(月) |
『セカンドハニー』(漫) |
【シヲ 東京漫画社】
『ラブヘタリスト』の時はうーんと思ったのだけれど、2冊目はなんだか急に上達した感があります。 ページ数多くもらえるようになって、話しが描き込めるようになったのか。 表題作と、前のコミックにも収録されてた脱サラ→靴職人の続編二本立て。 表題は、オーソドックスな感じながらやっぱり敬語攻はいいよね・・・という感じです。たまにタメ口になるともっといいんですが。 後半は、靴職人の北村さんは60オーバー・・・?なかなかの高齢です。 それにしても私が言うことでもないんだけど、果てしなくストライクゾーンが狭いカップル(未満)だな。 そういうせまーい所を突く感じ、嫌いじゃないよ。
【長野まゆみ 角川書店】
ものっすごい久しぶりに長野まゆみ読んでみるかーという気分に。 10年以上ぶりですが、今も変わらず上品なBLを書いておられるんですね。 文藝賞でデビューしようが、図書館に何冊並んでようが、BLだろう、と。
男同士が逢引に使う宿屋左近の息子、桜蔵が主人公の連作短編集。 桜蔵はあっちこっちで変な男(この世のものではないという意味)を拾ってきちゃうという体質(?) ストレートな濡れ場がないというだけで、あとはまあ、今市子の描きそうな不思議で怖い系の話しです。 桜蔵と、弟の千菊の先生、羽ノ浦がいい感じ。もうちょっと出番あるといいんだけどなー。続編に期待。 豪奢な身体ってどんなだよ! 大人組の話の方が例によってやっぱり気になるんだけれど、長野まゆみなのでその辺やっぱり少年がメインになっちゃうのは仕方ないか。
【小野塚カホリ ジュネットコミックスピアスシリーズ】
オリジナルBL9年ぶりの新刊なんだと。 そうかーそんなに出てないかー。 9年ぶりでなんか鈍った?という感じがしました。 私は『花』『LOGOS』あたりが良かったなぁと思うんですが。 表紙や帯にはだいぶ過激な言葉が並んでるのですが、内容はそうでもない。 割とありふれた内容。 「ポーラー」がよかったかなぁ。この中では。
2009年09月17日(木) |
『百年の誤読 海外文学篇』(他) |
【岡野宏文・豊崎由美 アスペクト】
あとがきで岡野宏文が書いているように国内篇ほどとんでもな感じの本がなく、ツッコミもそんなに鋭くないので普通にブックガイドのようになってました。 やはり、翻訳されるだけあってそこまでとんでもなものはないのでしょうかね。
どうしても、『失われた時を求めて』と『ユリシーズ』は読める気がしない。
2009年09月14日(月) |
『つくるひと デコ』(他)『さよならキャラバン』(漫) |
【ラーメンズ 太田出版】
ラーメンズの、片桐さんと小林さんがそれぞれにいろんな業界の人にインタビューするQJのコーナーをまとめた本。 2002年発行なので、ひたすらラーメンズの二人が若いなぁという感じです。 結婚したい!と騒いでる片桐さんも今ではちゃんと結婚してるし(小林さんも) 誰とどんな対談しても、思考が自分の仕事に直結する小林さんと、何もかもが趣味で楽しんでる片桐さん、という対比がおもしろかったです。 ラーメンズに興味ある場合は小林さんパートが面白いだろうし、特にラーメンズ知らなかったり興味薄い場合、片桐さんパートの方が面白いかもしれません。 私は片桐さんパートが可愛いなぁと思って好きだったけど。 冒頭のラーメンズのつくりかたパートがなんだかんだで一番興味はありました。
私もいまだに、体操着忘れる夢を見るんですよね!片桐さんと一緒で。 社会性ないのか・・・私も。
++++++++ 【草間さかえ 小学館フラワーコミックス】
BL作家が普通の話し書いたときにその真価が問われると思うのですが、どうでしょう。 ちょっと不思議な連作短編集。掌編ぐらいのも含む。
ひょっとしたらBLじゃないものの方がおもしろいかも、と。 女の子もかわいい。 新たな可能性が垣間見える作品集でますます今後が楽しみな作家さんです。
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