妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2008年09月30日(火) |
『名犬ランドルフ謎を解く』(小) |
【J・F・イングラート 訳:立石光子 ランダムハウス講談社】
完全に表紙買いです。 名犬が謎を解くミステリはけっこうあるとは思うのですが、ことごとくそれらはスルーしてきましたので比較はできない。 まあ、とにかく表紙の黒ラブが可愛かった。 ランダムハウスは表紙が可愛いよなー。
愛読書は『神曲』の賢い黒ラブの一人称で語られます。 ハンサムだけれどややお人よしで、一年前に彼女が失踪して以来気落ちしているご主人には、賢いことは秘密にしてます。 そんなわけなので、いろいろと展開が歯がゆい。 ハリーがもう少し事件に積極的になってくれるタイプだったら、もっとぽんぽん進むのだろうけれど、ランドルフがただただ悪戦苦闘している印象。
ハリーとランドルフのやり取りは可愛いです。 ランドルフがやや太り気味でいざって時になると、ご主人よりも足が遅いってところも可愛いというか、ラブらしいというか。
でもやっぱり、犬視点じゃない方が好きなんだよな。
続編もあるようで、イモージェンが今後戻ってきてくれるのかが気になります。 あと、ハリーが絵を描いてる姿もそろそろ見たいんだけれど、この話しの中ではいいところが今いちなかった・・・。ハンサムだってことくらいしか。
2008年09月26日(金) |
『鬼龍院冴子探偵事務所1』(漫)『美女と竹林』(他) |
【三上龍哉 小学館ビックコミックスピリッツ】
『極道一直線』の三上龍哉の新作はお色気迷探偵もの。 新作待ってたー。の割りに、出たの全然知らなかったけど。 それが三上ファン。 過去の作品を血眼で捜したりはしない。それが三上ファン(そうなのか)
前がむさくるしいゴツイおっさんがひしめいていたせいか、キレイ系で来ました。 冴子は不条理キャラで、組長ポジションですが美人でセクシーには違いない。 対して、黒田アニキポジションはイケメン高校生の里見君。 最初はいろいろ大変そうだったけれど、ドンなんとかが出てきて以降は割りと染まってきました。 キツネ耳女子高生もいるよ。
極道よりはギャグを意識していないそうなのですが、相変わらずUMAとか妖怪とか怪獣とかが好きなようです。 キャラクターのパクリというかパロディー、昭和の香りのするネタも多め。 ニャンコ先生なつかし・・・。 コピー術が進化してました。拡大してる。
五回に一回くらいドンの代わりにサブが出てきても良くない?
++++++++ 【森見登美彦 光文社】
妄想過多な随筆集。 三浦しをん系というより、乙一の『小生物語』系です。 随筆集なのだけれど、登美彦氏は〜という三人称系で語られます。 小説読んでても思ったけれど、よほどにシャイなのだろうな。登美彦氏。
竹林を刈ってそれをネタにするはずが、5回目にはもう竹林に行けない言い訳にページを費やすことになっている、駄目っぷりが素敵です。
終盤の前後編部分は、登美彦氏の小説のラストみたいな荒唐無稽さの中になんだかわからん感動があって、あれ、私こんな所でちょっと感動してる、いいの?という気分になる。 登美彦氏の小説はいつも素直には感動させない。そこがいい。
早く美女と巡りあえるといいね、登美彦氏、そして明石氏、と思いつつ、今しばらくは二人のやり取りを楽しませて欲しいなぁ。 本上まなみちゃんに会えてよかったねぇ。
今度京都に行ったら、竹林に美女ではなく登美彦氏を探しに行ってしまいそうだ。
それにしても装丁がシンプルだけれどすごく可愛くて好き。
2008年09月24日(水) |
『荒野のホームズ』(小) |
【スティーヴ・ホッケンスミス 訳:日暮雅通 早川ポケットミステリーブック】
カウボーイ兄弟が探偵役のミステリです。 裏にはウェスタンミステリってありますが。 もう少し詳しく説明すると、無学で読み書きもできない兄だけれど、思慮深くホームズの大ファン、弟は学校に通えたので読み書きはできるけれど、いささか短慮。 兄弟は洪水で他の家族を失って以来、助け合って雇われカウボーイしているわけです。 兄は字が読めないので弟にホームズの話を読んでもらうのがなんとも可愛い。
解説にウエスタン・ホームズ・パスティーシュとあるように、本国ホームズの話しも入り混じり、意外と本格派ミステリー。 この作品の中でのホームズはあくまで実在の人物ということになっています。 十九世紀末のアメリカのカウボーイが本当にこんななのか、ウエスタンの知識がないのでなんとも言えないけれど、西部で本格ミステリなんてなんだか変な感じでした。
ミステリーとしては正直、名前が最後まで覚え切れなかった・・・。 あと文章があまり読みやすくなかった。 カウボーイ特有の洒落や、ジョークの入り混じった文章が、楽しい部分もあり、さっさと先に進めという気分もあり。
随所に見られる兄弟の絆とか、終盤の兄の心情吐露とか、ラストなど、感動する部分もあり、これがシリーズ物なのが嬉しい限り。
2008年09月22日(月) |
『TOKYO!』(映) |
【監督:ミシェル・ゴンドリー /レオス・カラックス /ポン・ジュノ 日本・フランス・韓国】
三人の外国人監督が東京を舞台に撮った映画。 有名監督で作品名も確かに聞いたことはあるのだけれど、一本も観た事ないです。
「インテリア・デザイン」 元々、NYが舞台だった原作を東京に置き換えたそうですが、特に違和感がなかった。 話しはファンタジー。 主人公の友人・アケミの部屋がすごいリアリティー。監督が感動するのもわかる。 ヒロコが最後に、椅子になった後に大森さんに拾われるのだけれど、大森さんの役が良かったな〜。 勝手に動いて風呂に入ってる椅子を、不思議に思いつつも、特に気味悪く思わずに置いておくちょっと不可解な行動も、大森さんがやるとなんだか納得。 『ヴァイブレータ』の時といい、わけあり女子を受け入れる役ははまるなー。 べた褒めですいませんね。ファンだからしょうがない。
「メルド」 東京でやる意味はあるのか、と一番疑問に思った作品。 パンフで青山真治の文章を読んで、「有名な都市としてのあらゆる特権を剥ぎ取られてどこでもないどこかと化し」とあって、納得。 東京と言うお題から逸脱していながらも、ロケ地は一番東京らしい場所であった。よくあんなところで撮影できたな。 まあしかし、不愉快千万、フランス人の悪ふざけ、という印象でしたけれど。 アメリカ版も撮ったら印象代わるかも?
「シェイキング東京」 10年間引きこもりだった香川照之が、ピザ配達の蒼井ちゃんに一目ぼれする話し。 一番好きだったな。 香川さんが出てるとどんな役やってても安心するな。上手いから。 蒼井ちゃんは何やってても可愛いなぁ。 ややSFチックなラストが待ってて、ハッピーエンドとも言い切れないけれど良かったです。 観てて『TKYO NOBODY』という写真集を思い出したのだけれど、監督もそのイメージだったようだ。 やっぱり東京に人っ子一人いないっていうのはなんとも不思議な光景なんだよなぁ。
2008年09月21日(日) |
『トッキュー! 20』(漫) |
【原作:小森陽一 漫画:久保ミツロウ 講談社マガジンコミックス】
間をすっとばしていきなり最終巻です。 最終巻を読みつつ思ったのは、しみじみと最後まで兵悟に興味がわかなかったなぁと。 何をしてもあんまり気にならんので、むかつくめぐるの方がまだ、キャラとして好きだったなぁと。 多分、原因としてどうしても『め組の大吾』と比べちゃうってのがあるんだろうと思う。 性格は大吾の方が悪いんだけれど、吸引力のようなものがあったなぁ。
まあしかし良かったんではないでしょうか。 なんだか凄く駆け足だったけど。 真田さんのエピソードこんな終盤ぎりぎりで明かされるとは。 最後にもう少し嶋さんの活躍見たかったとよ。
2008年09月19日(金) |
『虚空の旅人』(小) |
【上橋菜穂子 新潮文庫】
旅人シリーズなので、バルサたちは一回休み、という感じ。 すっかり青年になったチャグムが主人公で、海に囲まれた隣国に出かける話しです。 新ヨゴ皇国とは違った価値観の、サンガルの王族たちとの交流が興味深い。 解説でも触れていたけれど、サンガルの女性たちの役割が特殊でおもしろい。 女性の書くファンタジーならでは、だと思う。
終盤、チャグムの覚悟と、シュガとの絆の深まりは感動的。 今後もチャグムはどんどん成長していくんだろうな〜と思うと、楽しみ。 バルサとの再会もまた、楽しみです。
2008年09月16日(火) |
『旧怪談 耳袋より』(小) |
【京極夏彦 メディアファクトリー】
怪談とは銘打ってあるけれど、ぞっとするような怖い話しはあまりなく、むしろうっかり笑うようなオチがついている話しが多かった印象。 京極夏彦が追加したセリフとか、タイトルのつけ方のせいもあるんだと思う。 あんまり怖がらせる気なかっただろう、夏彦。 「もう臭わない」「なぜに虻」「やや薄い」あたりはタイトルだけでもちょっと笑ってしまう。 で、内容読むとやっぱり笑ってしまう。
帯に「侍のUさんがお化けを見た!」とあるように、そんなノリで書かれている。 江戸時代の用語はそのまま使いつつも、「ミーティングの後に〜」とか普通にカタカナ用語も登場する。 それがなんとも不思議なマッチをしていてやっぱり可笑しい。
「座頭でないなら」とか「可愛がるから」がおもしろかったです。 あと「プライド」も幽霊話じゃないけど、怖いというか、なんというか。
2008年09月15日(月) |
『狂血 immigrant and illegal immigrant, and imposter』 |
【五條瑛 双葉社】
さて、7th Missionです。 折り返しも過ぎ終盤に差し掛かってきたので、色々と回収に入った感がありますね。 新キャラ櫂くんが、今後どう話しをかき回すのか注目です。 亮司も色々なキャラに好かれて大変だ。 櫂くんはちょっと、マークスの水沢を思い出しますが。
最初の頃はさっぱり見当もつかなかったサーシャの革命でしたが、そろそろ見えてきました。 その結果としてどうなるのか、までは亮司と一緒で想像の外ですが。 サーシャと言えば、プラチナ・ビーズ以来の謎、というかはっきり書かれる事のなかった、彼の今はない祖国がはっきり書かれました。 国名を明かされなかっただけで、あそこだろうなぁというあたりはつけられるのですが。 改めて明かされると、サーシャの祖国がどこだろうと、あまり関係ない、という気持ちになるな。サーシャはサーシャだよ、という気分。
このシリーズで一番、動向に注目なのが大川なのですが、今回久しぶりに亮司と再会。 ついに退場するか・・・と思ったけれど、相変わらずしぶといです。先生。
で、二番目に気になる嘉瀬と一紀はそれぞれに出てはいるけれど、ツーショットは拝めず(小説ですが)
今回も何名か退場された方がいましたが、ここまで生かされてきたヤスフミってなんだったんだろうなぁ〜と気の毒な気持ちになる。 一体何人が、最後まで走り続けられるのか。残り3冊となった今、その辺も注目です。
で、やっぱり鉱物シリーズが読みたいんですが。
鉱物よりも革命の方が漫画化には適してるだろうな〜と思いました。
本編に関係ないけど、P16に「切れ者と評判の経済サクザだ。」って書いてあって、しばらく悩んだ。 大胆な誤字だな。
2008年09月09日(火) |
『図書館革命』(小) |
【有川浩 メディアワークス】
とりあえず完結です。 冒頭の堂上と郁の付き合ってもいないのにラブラブというあたりで、かなりダメージを受けつつも、まあいいと言えばいいんではないでしょうか。 最初から無理だろうなぁとは思っていたけれど、メディア良化法の廃止には至りませんでしたね。
今回の話は、原発施設にテロが発生。その手口と酷似した小説を書いていた作家が、テロ対策のために執筆の権利を奪われるかもしれない、という内容。 重ね重ね言うけれど、こんな世界仮定でも嫌だ。 それにしても何があって、こんな社会が成立しちゃったのか凄い疑問なのだけれど、良化法サイドの話しは書かれないのでよくわかりません。 外交的に脅威がある、という世界設定でもなさそうだし。 まあ、成立過程や社会情勢は重要じゃなく、検閲がまかり通る世界でそれとどう戦うかが主眼の物語りなので気にするなということなんでしょうが。 検閲というものに的を絞った話しもそうそうないので、もっとつっこんで欲しい気持ちもあった。
そんなわけなので、主役二人が無事くっついてめでたしめでたし、という気分にはあんまりならんのもまた事実。 あとは好きにやってくれ、という感じである。
2008年09月05日(金) |
『どうしても触れたくない』(漫) |
【ヨネダコウ ミリオンコミックス】
上手いんだけどいまいち高評価をくだしにくい話しでした。 ツボじゃなかったといえばそれまでなんだけど、なんか暗かった。 家族に不幸があってというパターンは、BLでは日常茶飯事(それもどうか)なのだけれど、なぜかこれはやたら暗さを感じたなぁ。 なんかすっきりしなかった。 私の好みがほぼギャグだろという話しだというのも原因だとは思います。 小野田さんはいいキャラ。
それにしても最近はこういう感じの絵がBLでは流行なのかな〜。 シンプルで線は太めな絵。 嫌いじゃないけどやや多いかも。
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