妄言読書日記
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※ネタバレしています
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2008年06月30日(月) 『月光条例 1』(漫)

【藤田和日郎 小学館サンデーコミックス】

むかしばなしが題材なので、児童書風の表紙が懐かしい感じの、待望の新連載。
もともと昔語り風のストーリーテリングが多い藤田漫画ですので、満を持しての題材かもしれません。
まだ一巻目なので、なにがどう広がっていくかわかりませんが、懐かしの昔話がどう出てくるか楽しみです。

それにしても鉢かつぎ姫なんて、マイナーとまではいかないが、あまりインパクトのない話しの主人公を持ってきたなぁ。
いや子どもの頃に印象に残らなかっただけで、今読むとまた違うのかもしれません。


2008年06月28日(土) 『フーさん』(小)『西の魔女が死んだ』(映)

【ハンヌ・マケラ 訳:上山美保子 国書刊行会】

フィンランドの児童書です。
うん、正直言ってよくわからなかった。
ムーミンみたいな雰囲気でしょうか。
つかみどころがないのはお国柄?

フーさんは、子どもを怖がらせるのを仕事にしていて、好きなときに寝て、好きなときに仕事して・・・という話し。
フーさんが何者なのかもよくわからないし、そもそも個人の名前でもなさそう。
まあ、その辺はあまり気にしないで、フーさんのやや天邪鬼だったり頑固だったり世間知らずだったり、たまにおじいちゃんの残した不思議な魔法で事件が起こったり、というのを楽しめばよいのかもしれない。

だが、どうも感受性が乏しい私はこういうつかみどころのない話しは、うーんとなってしまう。
リンマやリッコの出てくる話しは好きでした。

+++++++
【監督:長崎俊一 日本】

小説を読んだのがもう数年前になるので、内容はほぼ忘れていました。
不登校になったまいが、ターシャ・テューダーみたいなおばあちゃんのところで数日過ごすうちに、生きる力を取り戻していくという話し。
映画化と聞いておばあちゃん役を探すのが大変そう、と思ったのですが、サチ・パーカーは素敵なおばあちゃんにぴったりです。

とても良い映画です。

が、原作を読んだとき同様、どうも私はこの話しで感動できない。
話しの悪さではなく、これは間違いなく私の心根の問題なので、映画自体も、原作も素敵な話しです。
むしろ感動できない自分にがっかりするよ・・・。


2008年06月24日(火) 『KISS ME テニスボーイ』『仮面ティーチャー』『MW 全3巻』(漫)

【京山あつき 徳間書店キャラコミックス】

タイトル見ての通り、テニス少年二人の話しである。
あ、もちろんBLなんです。
ですが、『聞こえない声』のような切ない可愛い系ではなく、はてしなくアホ可愛い、もしくはアホエロな内容。
要の行動がすごすぎて腹がよじれる。
自制心があるんだかないんだか、全くわからん。
二人とも大真面目なのがまたかわいいやら、おかしいやら。

+++++++
【京山あつき 徳間書店キャラコミックス】

少年好きの小学校教師という、ハラハラドキドキのコメディーです。
先生、しっかり!!と毎回スリリング(?)
ぎりぎり加減が絶妙で、超えてはならない一線は決して越えず、しかもなんだか切ない。
少年が好きであるがゆえに切ないなんて。
コメディーではあるが、意外に深い。

そして、ちょっと鈴木先生を思い出した。諸岡先生に比べれば鈴木先生のほうがヤバイ気がする。なんとなく。

+++++++
【手塚治 講談社】

映画化するってことで読んでみた。
玉木宏が美しき殺人鬼で、山田孝之が悩める神父、というキャストだけ聞いてたのですが内容はよく知らず。
で、まあ、読んだらあんた、神父×殺人鬼って、あなたびっくりですよ!

思わず誰にともなく語りかけてしまいましたが。
映画化とても楽しみですね。二人とも好きな俳優なので。やや玉木宏の演技力に不安はつきまといますが。
あと、どこまでやってくれるのかも気になりますが、公開は来年みたいです。

映画はさておき。
108あるという萌を一人で開拓したと言われる(by本田透)漫画の神様、さすがです。
あまり腐女子には関係ないと思っていた浅はかな私をお許しください。

そういう話しはほどほどにして、中身はピカレスクロマンです。
主人公の美知夫の残虐ぶりは徹底して、例外がなく、殺人はもちろん、誘拐、詐欺、強姦なんでもします。
男だろうが女だろうが犬だろうが、誰とでも寝る。
こうなってしまったのは、子どもの頃に吸った毒ガスのMWの影響だ、と神父は思ってるようですが、はたしてそうなのだろうか・・・と私は思いますが。

美知夫の悪党ぶりの容赦なさはひじょうにいいのですが、やや神父のがんばりが足りない気がしました。
もうちょっと覚悟決めて、対峙してほしかったかも。
なんだかんだ言っても、顔を合わせると美知夫に流されてしまうあたりが、美知夫の魅力ではあるのですが。

だけど、あとがきに政治悪を一番描きたかったとあったけれど、それなら美知夫が議員秘書になってからの方をもう少し長く描いてくれればよかったのに、と思いました。
全5巻くらいほしいかも。

終わり方はそっちのパターンできたか。


2008年06月23日(月) 『吹雪の山荘 赤い死の影の下に』(小)

【笠井潔・岩崎正吾・北村薫・若竹七海・法月綸太郎・巽昌章 東京創元社】

リレー小説なるものを初めて読みました。
執筆者に好きな作家がいないせいか、すげーつまらなくてどうしようかと思った。
無秩序で、方向性の見えない推理小説ほどつまらないものはないな。
何が起ころうが、何が明らかにされようが、次の執筆者の胸先三寸でそれが覆るという徒労。

まとまりのなさを避けるために、一応ルールはあったらしいのですが、もっと厳密なルールが必要な気がしました。
毎回、殺人事件の謎とは別に謎を一つ提示して、それを解決しなければならないというルールはいいと思うのですが、みんなその謎の提示と解決にばかり気を取られて、肝心の本筋である殺人が一向に推理されないという苛立ち。
そして、各作家の探偵、助手キャラが登場しているため、結局誰が推理の主導権を握るのかわからないという、落ち着かなさ。
まさに、船頭多くして〜というやつです。

どうして読んだのかというと、執筆者に有栖川有栖がいないのに、なぜアリスが出てるのかが気になったからなのですが、単純に有栖川有栖が執筆を降りただけなんですね。
別の面子でリレー小説をやっていたような気がしますが。
と思って調べたのだけど、やってなかったみたい。

先頭を切るのが笠井潔。
今回の面子でちゃんと読んだことがあるのが、法月綸太郎だけだったりする。
新本格はけっこう読んでるような気がしたのだけれど・・・。
そんなわけで、矢吹駆は知ってるけど、どんなキャラかまでは知らないし、ましてやナディア・モガールなんて全く知らない。
この辺から、リレー小説の醍醐味を味わえない、場違いな読者です・・・。
事件が発生、女装させられた首無し死体というわりと妥当なスタート。

続いて岩崎正吾。
この人にいたっては名前すら知らない。
やや悪ふざけが過ぎるんではないのか。
死体の下着までチェックしちゃったら、次の人から困るだろうに・・・という弾けっぷり。
なんだよ、アリスと綸太郎くんができてるって妄想は。
そして幽霊の解決も、それは無理じゃね・・・?

そんなはじけたバトンを渡された北村薫。
なんで北村薫読んだことないかな、私。
無理じゃないの、と思ったら北村薫もそう思ったらしく、別の解放が提示。
やっぱり凧は無茶だよね・・・。
テロリストの話しが出てきて、ややうんざり。矢吹シリーズ知らんのだよ。

続いて若竹七海。
若竹七海はアンソロジーでは何本か読んだことはあるんだけど。
女性キャラがわざとらしくに苦手なのね。

久しぶりに法月綸太郎。
やはり薀蓄が多くてイラ。

ラストは有栖川有栖に変わって、抜擢された巽昌章。
解説でおなじみって気がするのですが。
評論家だけあって、一番各キャラを把握して見せ場をつくってまとめたな、という感じがしました。

みんなもっと他人のキャラをいじりたおせばよかったのに。
なんだい、遠慮があるのか?
京極夏彦とか上手そう。他人のキャラいじるの。

どうせなら、舞城、西尾、麻耶、殊能、で合間に有栖川有栖を入れて困らせて(え)、ラストに清涼院流水が〆るというようなリレー小説が読みたい。
ラストにJDC出てくればなんでもどうにでもなるだろう。


2008年06月21日(土) 『四季 秋』『四季 冬』(小)

【森博嗣 講談社文庫】

感想に入る前に、夏の感想で林の苗字がどうして○○になるの?ということを書きましたが、林が下の名前だっていうことをすっかり忘れていたための発言でした。
あとでよそのサイトで人物相関図を見て、うあぁぁぁっっ!と本気で叫びました。
なんて頭が悪いんだ、私は。

まあ、そんな勢いで秋です。
S&Mシリーズ、Vシリーズから二組のカップル(?)の視点で語られるので、両シリーズのネタバレを含みます。

久しぶりの萌絵ちゃん、犀川先生ペアに、やきもきしたりにやにやしたりです。
全体的に萌絵ちゃんが沈みがちでこちらもかなしい。
学生ではなくなり大人になった印象。

一方の保呂草、各務の大人カップルはVシリーズの時とはあまり印象変わらず。
どちらかというと、紫子さんや練無がどうしてるのか、ということが気にかかりました。

犀川先生と紅子さんの関係に気がつくのが前述のとおり、凄く遅かったので、保呂草さんとの面識も、そういえばあったんだなぁといまさら気づく始末。
再会シーンはなんだかはらはらしました。

しかしやはり本作では、萌絵ちゃんと紅子さんの出会いが重要であり、印象的。

++++++++
【森博嗣 講談社文庫】

森博嗣はどうしてこんなにもコンスタントに作品を出せるのだろうと、ずっと感嘆していたのですが、四季シリーズを読んで得心するものがありました。
大きな一つの流れが最初からできていたんだな、と。一冊一冊独立した物語のように見えて、全て繋がっていたということに気づき、改めて感嘆する思いです。

いつともどことも知れない、四季の視点に戻ります。
二つのシリーズはきれいに収束して、そして四季の中に収まったかの印象。
四季といういのはたった一人の存在であり、またこの世界の全てであったのか。

エピローグで四季がした遊びにどういう意味があったのかはわからないけれど、最後の最後で四季が楽しい、と感じてたことに安堵する。
次のシリーズはどういうつながりを見せてくれるのか、楽しみ。


2008年06月20日(金) 『沈底魚』(小)

【曽根圭介 講談社】

ホラー作品の『鼻』が好みじゃなかったので、こちらもどうかなぁと思いつつ、エスピオナージという全く違うジャンルなのであるいはいけるかな、と読んでみました。

53回乱歩賞受賞作だそうですが、歴代受賞作リストを眺めても、二作品くらいしか読んだことがないので、あまり私には縁のない賞のようです。

選評で綾辻行人がおもしろさがわからなかったと述べてましたけど、私も似たような感想でした。
この手のジャンルなら、五條瑛と高村薫を読めればいいや、と。

ややネタバレ。

二転三転していくとはいえ、何がどう変わろうが見方の問題で、別にどうでもよくないか、という読後感。
若林が二重スパイだろうが、三重スパイだろうが、凸井が何を知ってようが知ってまいが、それで主人公の立場が劇的に変わったんだろうか。
主人公・不破の抑制の効いた描写は確かによいとは思うのだけれど、作者に動かされてるだけというようにも見えて、脇役ほどには目を引かなかった。

意外性ばかりに気を取られてるプロットだったように感じたなぁ。

今後なんのジャンルで作品を発表するかはわかりませんが、読まないだろうなぁ。


2008年06月16日(月) 『ぐらぐらの歯 きかんぼのちいちゃいいもうとその1』(小)『Pooka+ 酒井駒子小さな世界』(他)

【ドロシー・エドワーズ 訳:渡辺茂男 福音館】

酒井駒子のイラストがかわいくて読んでみました。
特に中表紙のむくれた子がかわいい!

児童書なのですが、私が子どもの頃に読んでも果たして面白いと思ったかなぁと思いました。
タイトルのとおり、ちいちゃないもうとの話しが、大人になったと思われる姉の回想の形式で語られます。
言うことを聞かないでやんちゃやわがままを言ういもうとですが、時々ものすごくかわいい。
表題のぐらぐらの歯で、歯を歯医者さんにあげるところとか、サンタ・クロースなんてだいきらいとか、あみもののおけいこ、初めての劇場で感動してる様子とか、小憎らしいこともあるけれど、ほんとうにかわいい。
酒井駒子の描くちいちゃいいもうとがまたすっごく雰囲気にあってるんですねぇ。

++++++++
【編:Pooka編集部 学研】

絵本作家、酒井駒子のイラスト集、描き下ろし絵本つき。
酒井駒子の描く子どもが本当にかわいい。
一般的な子どもの絵と違って、どちらかというと無表情なのが多いし、全開の笑顔というのもないのですが、なにかに黙々と夢中になっている様子とか、不満そうにしていたりする姿が無性にいとしい。
かわいらしいのだけど、きっと大人の言うことはあまり聞かなくて、泥遊びが好きだったり、ひとりで草むらで虫取りしたりぼうっとしたりしてるのが好きそうな子たちです。
大人が思い描く子どもではなく、子どもの頃の感覚が残っているのだろうなぁという絵だと思います。
インタビューでも実感を伴った記憶が甦るって答えていましたし。
好きな絵本も載っていて読んでみたくなりました。


2008年06月12日(木) 『四季 夏』(小)

【森博嗣 講談社文庫】

これの感想を書くと必然的に、『すべてがFになる』のネタバレも含んでくるのでお気をつけて。

四季、13歳の夏の話です。
Fを読んだときに、四季という人物が叔父と関係を持ってしかも子どもを産むということが、なんだか想像できなかったというか、しっくりこなかったのですがこれを読むと、四季と清二の関係に納得がいった。
きれいで、悲しくて、そして恐ろしい四季。

S&MとV両方から総出演というところも、なかなか贅沢な一冊。
なんだけど、読んだのがかなり前なので、お願い誰か年表か人物相関図作って!!と思いました。
四季じゃないので全部覚えてはいないんだよ・・・。
林がどうして犀川って名乗ったのがわからなさすぎて、いったいどこを読み返せばいいんですか!

Vシリーズでは天才的な役柄を演じていた紅子さんですが、四季の目から見るとこうなるのか、と。


2008年06月10日(火) 『四季 春』(小)

【森博嗣 講談社文庫】

真賀田四季の話しは難解で、読むのがめんどくさいなぁと思って保留していたのですが、先日、西尾維新読んだら、やっぱこれ読まないとという気分になったのでようやく着手。

『すべてがFになる』なんてもう何年も前に読んだきりなので、よく覚えていないので、新しいシリーズ読むような気分で読みました。

あの真賀田四季ご幼少時代。
でもあの四季なので、年代が変われど中身は変わらず・・・と思うのだけれど、でも時折感情が見え隠れするような気がする。
四季の話しということで、いったい誰の視点で語られるのだろうと思っていたのだけれど、四季なだけに独特の視点が取られていて、なかなか混乱する。
このへんはネタバレになるのであまり詳しくは書きませんが。

S&Mシリーズはもちろん、Vシリーズとのリンクもあり、混乱はさらに深まる。

ミステリというより、天才を真っ向から見つめた作品でした。
四季の遠さが悲しくて寂しい。


2008年06月09日(月) 『チェーザレ 破壊の創造者 1〜4』(漫)

【惣領冬実 講談社モーニングコミックス】

少女マンガの印象が強かったので、こんなばりばりの歴史ものも描くんだなぁと意外でした。
とは言うものの、惣領冬実の漫画これが初めてなんですが。

寡聞にしてチェーザレ・ボルジアという人物を知らないもので、まったく先行きがわからないのは、楽しくもあり不安でもあり。
なんだけど、解説で大雑把な流れがネタバレしてて・・・。
歴史ものではまま起こることなのですが、みんなが知ってると思わないで!と。
知ってたら面白さが減るわけではないけれど、せっかく知らないんだから楽しみにしたかったよ。

『天上の愛地上の恋』をなんとなく思い出します。
チェーザレとミゲル、チェーザレとアンジェロ、それぞれの関係が今後気になるなー。
特に後者が気になります。
アンジェロにはやっぱり、チェーザレと袂を分かってもらいたい。

それにしても、かなりゆっくりペースで話しが進むうえに、刊行ペースもゆっくり。せめて、年に2冊は出て欲しいなぁ。


2008年06月07日(土) 『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』『子猫が読む乱暴者日記』(小)

【西尾維新 講談社文庫】

ようやく文庫化したと思ったら、“西尾維新文庫”って講談社の肩入れ具合は凄いな。

なにやら素っ頓狂なタイトルなのだけど、読むと内容そのままのタイトルだとわかる。
メフィスト賞なのでミステリには違いないのだけど、青春小説の色合いが強い気がした。
森博嗣をさらに漫画的にした印象。
天才インフレが起こってて、天才ってなんですかというか、凡人っていったいなんですか状態。
天才が寄り集まっての事件だけど、事件そのものはミステリとしてはさほど入り組んでおらず、わりとすっきり推理しやすい。
ただ天才がどれくらい天才なのかはかりしれないので、ややアンフェアな気がするんだけど。何が可能で何が不可能なんだか。
もっと難解とか理解不能なのを想像してたので、意外と正統派でした。
麻耶とか舞城とか清涼院みたいな感じかと思った。
(いや三人とも全然作風違いますが)

一見するとできのいいライノベとしか見えないんだけど、実は維新と同じ歳なので、いーちゃんを中心に周囲を固める天才たちが、作者自身の核と、それを批判、追及、糾弾、肯定する自我の投影に見えちゃって、それが二十歳頃の自分を思い出してなんともその青さが気恥ずかしかった・・・。
いーちゃんの生きたくもないが死ぬのもいやだ、みたいな感じや、ところどころにみえる自負心や、戯言という盾が、まぁ本当に面映いわけで。
天才たちがみんな女性なのもなにやら気恥ずかしさがある。
デビューして7年ほど経つので、今現在どんなふうになってるのか気にかかる。

++++++++
【中原昌也 河出書房新社】

短編集なのだけれど、いったいこれを小説と呼ぶのだろうか。
話の筋もありはしないし、視点も定まらず人称も定まらず、起承転結なんてあるはずもなく。
文章の印象は川上未映子なのだけど(中原昌也も音楽活動してるからか)あれほど洗練はされておらず、突発的な暴力衝動は舞城を思い出すけど、あれほど文章は吟味されていない。
全てが投げやりのような、どうでもいいような、放り投げたような印象。書いていることもかなりいい加減だし。
収録されてる「闘う意志なし、しかし、殺したい」というタイトルに印象の全てが詰まっていると思う。
からっからに乾いた印象なのだけれど、確実に何かにイラついていて憎悪している気配はある。

だけどこれをよしとするのもどうかなぁという気はしてしまう。
書くのが嫌だってことだけは如実に伝わってくるが。


2008年06月02日(月) 『戦う司書と恋する爆弾』(小)

【前嶋重機 集英社スーパーダッシュ文庫】

実はさして期待してなかったのだけど、意外とよかったのではないでしょうか。
死ぬと本(石版のようなもの)になって、その本は発掘されて図書館に保存されるという世界観。
タイトルの司書はその図書館の世界最強の武装司書。
紙の書物大好き人間としては、やや残念なのですが・・・。
1巻目ということで、武装司書の具体的な仕事内容も見えず、そもそもキャラクターの造詣もまだ深くない感じです。
まあ、あと世界最強のわりにあまり強くなさそうだよね、ハミュッツ。

とまあ、キャラクター部分にはいささか不満もあるのですが、プロットは過去の恋と現在の恋がうまくからみあって、感動的なラストにまでもって行きます。
デビュー作としては上等ではないでしょうか。
今後、ハミュッツや、その周辺の人物のキャラが立ってきたらまた面白みが増すかもしれません。


2008年06月01日(日) 『BROTHER』『愛なんて食えるかよ』『どうしようもないけれど1・2』『素晴らしい失恋』(漫)

疲れていると甘いものが食べたくなるように、どうも疲れているとBLが増えるようです。
BLが甘いかどうかはともかく。
それにしても最近の、BLのタイトル傾向がうかがえるラインナップ。

【峰倉かずや 徳間書店】

初期作品集ということで、読んでるこっちが恥ずか死にしそうなキャラクターのネーミング(近藤正彦と田原都志彦とかやめてーっ)。
基本的に峰倉作品はそこはかとなく恥ずかしい。
独特の峰倉ポエムとか、服装とかとか恥ずかしい。
そんな恥ずかしさが全開に詰まっている一冊でした。
BL描くのは不得意だそうで、意外でもあり、納得でもあり。

峰倉作品って、いつも着想部分まではとてもツボなのだけど、料理の仕方がどうにもツボらなくて非常にはがゆい。いつかツボに入る気がして読み続けているんだけど、やっぱり駄目なのかもしれない。

+++++++
【楽田トリノ コアマガジン】

完全衝動買い。
「眼鏡受、かくあるべし」と帯に書いてあったので、眼鏡受派の私としては読んでおこうかと。
結論から言うと、やや違った。
うーん、その線もありではあるが、ちょっと違うんだちょっと・・・。
眼鏡は奥が深いな(そうなのか?)
あと、教師×教師だというのも理由なのだけど、相談室の先生×音楽ってやっぱり違う気がするんだ・・・。いやいいんだけど、もっと全力で設定を生かして欲しかった。

++++++++
【夏目イサク 新書館ディアプラス】

久しぶりにディアプラスを読んだなぁ。
最近、高校生が多かったのでスーツで、と思いこれを。
お坊ちゃんの島野(受)のキャラクターがとてもいいですね。
たいていこの手のキャラは、イラっと系のツンデレなんですが、見た目に反して素直でかわいい。
なんともほほえましい社会人カップルでした。
ディアプラス的甘甘って感じです。

++++++++
【西田東 竹書房バンブーコミックス】

西田東といえば、三浦しをんがいつもプッシュしているというイメージがあるんですが・・・。
この人の漫画は絵と台詞回しとコマ割がもっと洗練されれば凄いことになるのに・・・と思う。
が、いまの野暮ったいのはそれはそれで味と思うファンも多いんだろうけど。
なんか、懐かしいんだよな。
昔の花とゆめ漫画みたいな。遠藤淑子あたり。

「俺の社長僕の秘書」と「快楽の地」が好きかな。
にしても納豆って・・・もう凄いよ。ギャグが昭和の香りがするよ。
本当に最新刊なのか、というくらいの空気が流れている。
中身はBLってここまできたのね、と感心するものもあるのだけれど。



蒼子 |MAILHomePage

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