妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2008年02月27日(水) |
『裁判官の爆笑お言葉集』(他) |
【長嶺超輝 幻冬舎新書】
若干、ブームから遅れた感がぬぐえませんが、読みました。 最初に言っておきたいのは「爆笑」ではない、ということ。 それを判事が言ったということには、なんらかのおかしみは感じるが、笑えるかどうかといえば、そう言わざるを得なかった背景を想像するに笑えないんである。
じゃあ、つまらんのかと言えば、そういうことではなく、多少看板に偽りはあるものの、裁判官のお言葉集としてはとても興味深くも楽しい。 お言葉と、事件の概要プラス著者のコメントという構成がいささか物足りないのだが、判事といえども一人の人間なんだなぁと思うとともに、判決をくだす重みなんてものもちょっぴり見えてくる。
もう少し量を増やして、続編も出して欲しいかも。 継続して判事のみなさんの発言に注目したい。
2008年02月25日(月) |
『3月のライオン 1』『聖☆おにいさん 1』(漫)『まほろ駅前多田便利軒』(小) |
【羽海野チカ 白泉社JETコミックス】
羽海野さんの新作は、17歳のプロ棋士が主人公。 でもばりばりの将棋漫画という印象は今のところない。 ハチクロのときもそうだけど、羽海野さんのキャラにはあまり辛い思いとか痛い思いとかしてほしくないなぁとはらはらとしてしまう。 零や三姉妹やその他のひとたちの今後を楽しみに見守りたいと思います。 私は二海堂くんが気になるなー。
+++++++ 【中村光 講談社モーニングコミックス】
ずっとこの人の漫画は読んでみたかったので、新作が出たこの機に読んでみました。 ブッダとイエスが休暇で立川にルームシェアって聞くと、なんだかシュールなんですが、すごく地に足の着いたコメディで。 ギャグじゃなくコメディ。 ぬくぬくコメディって書いている通りの。 二人の聖人が普通の会話をしていればしているほど可笑しいし、聖人ならではエピソードもまた可笑しい。 なんだか和むのも聖人のおかげなんでしょうか。 今後も楽しみにしたいです。
++++++++ 【三浦しをん 文藝春秋社】
山田ユギが漫画化するので読んでみました。 最初からユギさんを想定していたかのように、しっくりくるテンポとキャラ造詣だなぁと思いました。 漫画の方は見てませんので、小説を読んだ感想ですが、きっと上手くいくのではないでしょうか。 その分、ユギさんの漫画だけ読んでおけばよかったんではないか・・・という気持ちもちょっとわいてきたんですが。
三浦しをんはもっと異様な話しが書けそうな気がするのだけどなぁ。 きれいにいい話しにしない方法もあっただろうに。 まぁ後味悪い話しになると万人受けはしなくなるんでしょうが。
さぁっと読めてしまう分、後に残るものが少ない話しでした。 いっそBLにしてくれれば・・・というか、諦めてというか腹を括ってBL書けばいいじゃないかといつも思うんだけど。 直木賞も獲ったことだし。
2008年02月22日(金) |
『天切り松闇がたり1 闇の花道』(小) |
【浅田次郎 集英社文庫】
ナツイチのストラップが欲しくて買ったのにもらえなかった、いわくの一冊。
浅田は読むのは二冊目ですが、相変わらず隙のない人情話しでちぇーっと思う。 文句のつけようがないな。 別に文句つけるために読んでいるわけではないのですが。 なんでぇなんでぇ、と思わず江戸っ子になってしまう。
意外と十代の子が読むとよいかも。 20代、30代の人はちぇっという気分になるような気がする。
まあ、おもしろいんですけども。 いちいちいい話しじゃねぇかよーと。 心憎い話しです。 もう少し、安吉親分の話しが聞きたいなー。
2008年02月18日(月) |
『L change the WorLd』(映) |
【監督:中田秀夫 日本】
ワールドのLが大文字だと今気づいた。
デスノのスピンオフなわけですが。 だけどLはさておき、笑いどころ満載でした。 田中要冶が今度はタクシー運転手だったのは、まあ、狙い通りの笑いなのでしょうし、ナンチャンの演技のへたくそさも、想定内かもしれませんが・・・。 私的、一番の笑いどころは鶴見辰吾の大熱演でした。 死に様がおもしろすぎる。 熱演しすぎて、何言ってるか全然わからなかったし、最後のバイオハザードですかみたいな、ダメ押しに思わず吹き出した。 いや笑っちゃいけない場面なんだけど、あまりに凄すぎて、笑えた。 次点で声のみ細川茂樹と、またもやすげー強そうな瀬戸朝香。 ナオミは何したんだ!?かわいくウインクしてる場合なのか!!と。
L走りとか、ママチャリとかは散々予告で観てたので、ふーんという感じですが。 どうしてもママチャリで逃走せねばならなかったのだろうか、Lはと思いつつ、Lのアジト(?)のセキュリティが拍子抜けだったりと、残念な要素が多かったです。 まあでも、Lが飛んだ!Lが飛んだ!!(ハイジ風に)とは思いました。
ありとあらゆる部分が大雑把な映画でしたが、そんなものでしょう。
またもや波岡くんがいて、なんか笑った。 また日本語じゃないし、また死んでるし。
Lの最後の事件がこれでいいもんか、と思いつつよいのではないでしょーか。 おまけだと思って観に行ったら。
2008年02月16日(土) |
『100回泣くこと』(小) |
【中村航 小学館文庫】
自発的に恋愛小説を読むなんて初なんじゃないかと。
以前にアンソロジーで読んだ、中村航の話しがおもしろかったので、他の著作を適当に選んで読んでみました。 ちょうど新刊でこれがあったので撰んだのですが、愛する人との死別という、ものっすごい、オーソドックスな内容で、正直どうしようかと思った。 でも、ありきたりだからこそ、どう書くかが問われるんだろうなと。
本当に読まないから何者とも比較できないのですが、この人の書く恋人たちのエピソードはいちいち微笑ましい。 ひとつひとつ二人で確認して、堅実に歩んでいこうとする様がよいと思う。 彼女もなんだかかわいいし。 主人公の視線もそんな彼女に優しいし、それ以外のものにたいしてもとても優しい。 ガソリンスタンドの加藤さんとか、試作室の石山さんへの視線が。 そんな主人公が、終盤、工場で「こんなものを作ってなにになるんだろう」と焦燥に駆られるシーンがとても痛ましい。
私的に飼っていた犬を病気で亡くした私は、ブックのエピソードではいちいち主人公の彼女と一緒になって涙ぐんでしまう。
2008年02月14日(木) |
『夢の守り人』(小) |
【上橋菜穂子 新潮文庫】
バルサがタンダのところに帰ろうかなと、前回思ったはいいけど、肝心のタンダが大変な目に合っている今回。 タンダのピンチのわりに、なんだかバルサの出番が少なめだったのは、こっち側世界の話しじゃないからなんでしょうね。
今回しみじみ、バルサ、そろそろタンダのところに身を落ち着けてもいいんじゃないのかい、と。 そろそろ娶ってあげて。タンダを。 いい嫁、じゃなかった、婿になるよ。癒し系だし。 と思いつつ、あちこち放浪するバルサがたまにふらっと帰ってくるという、今の関係もよいのかもしれないですね、
お話しの方は、本当に痛ましいことになっていてタンダもバルサも気の毒になる。 思いがけずトロガイの過去がわかり、超然としてるかと思いきや、普通の人間だったんだなぁと。 守り人シリーズは、キャラクターがみんな地に足がついているのがなんとも渋い。
2008年02月12日(火) |
『バルタザールの遍歴』『死神の精度』(小) |
【佐藤亜紀 文春文庫】
初読みです。 一つの身体を共有する双子というから、シャム双生児かと思った。 そういうことではないらしい。
弟のメルヒオールが主に自分達の半生を綴るという形で話しは進みます。 時折、兄のバルタザールが綴ったりもするのでぼうっとしていると、今はどっち??ということになったり。 完璧な小説と言わしめたデビュー作なだけに、確かにという魅力に溢れています。
でも私はもっと下品な話が好きだなと思いましたが。
+++++++ 【伊坂幸太郎 文春文庫】
死神を主人公にした連作短編。 他の伊坂作品よりは相互のリンクは弱いかなぁと思いましたが。 でも最終話での繋がり方はやはり爽やかな感動があります。 以下はネタバレ有でそれぞれの感想。
「死神の精度」 唯一見送りになる話し。 死神の紹介みたいなもので、プロットとしては珍しくさほど手は込んでいないなと。
「死神と藤田」 この後、藤田はどうなったのかなぁと思うとほんのり切ない。
「吹雪に死神」 よもや伊坂で雪山山荘が読めるとは。それで充分。 オリエント急行ってそういうことね。にやっとしますね。
「恋愛で死神」 わかっていてもなんとも切ない。 末期癌だったのがせめてもの・・・と感じてしまうのもなんだか違う気がする。
「旅路を死神」 やっぱり東北には行っておかないと。伊坂作品たるもの。 『重力ピエロ』の春がいます。
「死神対老女」 なんとも清々しい終わり。 結局、報告をどうしたかはわからないけれど、それでもいいと思わせるラストでした。
ちょっとずれた死神ということで、映画『ジョー・ブラックをよろしく』を思い出した。 千葉は人間と恋愛したりはしませんが。興味もないだろうし。
2008年02月09日(土) |
『燃える湖底のラム 前編・後編』(小) |
【桑原水菜 集英社コバルト文庫】
ザックの裏切りにあった奏くんでありますが、黒い心臓の伝承を訊ねてはるばる北海道へ。 そう。ついに桑原作品の舞台が北海道に。 待ってたよー、ウエルカムだよー。 でもミラージュの時に来て欲しかったよー。 今までも微妙に北海道は出てきたのですが(響生が函館出身だったり)こんなに本格的に舞台になるのは初めてです。 でもきっと、道東方面が舞台なんだろうなぁとなんとなく思っていたのですが、支笏湖だの小樽だの。近いぞ! 知っている場所が舞台になるのは嬉しいです。
湖底というから、阿寒湖とか摩周湖、洞爺湖あたりにいくかと思いきや、支笏湖。 さすがです。水菜先生。 手宮洞窟とかローソク岩とかさすがのマニアックさです。いえ、さすがの取材力です。 神威岬はよいとよく聞くけど、観に行ったことないなぁ。今年は行ってみるかなー。
支笏湖の湖底にある都心に引きずり込まれてしまったザックです。 あいかわらずなんとも不器用さが不憫で・・・それでこそ桑原キャラだよ。ザック。強く生きるんだよ、ザック。 支笏湖といえば、子どもの頃に、沖に流されたビーチボールを追って泳いでいるうちに、ふと気がついて足元を見たら、足が届かないどころか、ずっとずーっと深くに底が見えて、水の中なのに足がすくむ思いをしたという、とても思い出深い湖です。 浮き輪を持ってなかったら確実に溺れてたなぁ。いまだにプール以外で泳ぐ時浮き輪が必要なのはこれがトラウマなのかも。 日本で二番目に深い湖なうえに、非常に透明度も高いので、湖底都市もあるかもなぁという気分になるのは確か。 久しぶりに支笏湖行きたいな。
そんな感じで、久しぶりに観に行ってみるかという場所がたくさんでてきて楽しい巻です。
楽しんでばかりもいられず、ケヴァンとアドルフの確執が垣間見えてきたり、生きて動いているアドルフが登場したり、きな臭くなってまいりました。 ザックには早く湖底から這い上がってきてもらいたいなぁ。 内海くんもこの手のポジションの桑原キャラは早晩、脱落するのですが(死ぬという意味じゃなくて)なかなかがんばって食らいついています。がんばれーほどほどにがんばれー。 まだ北海道にいてくれるようなので、続きも楽しみにしてます。
2008年02月05日(火) |
『うさぎドロップ 1』『金魚屋古書店出納帳 上下』(漫) |
【宇仁田ゆみ 祥伝社】
ほぼ衝動買い。 でも『ぱじ』以来の良い漫画かもしれない。 まだ一巻なので慎重な発言になりますが。 とりあえず、大吉いい奴だーいい奴だーと思いながら読んでいます。 りんちゃんも可愛いなぁ。 これからどうなるのか気になります。
+++++++ 【芳崎せいむ 小学館IKKIコミックス】
まんがばかのためのマンガ。 でもカルトな方向ではなく、希覯本、古書好き向けのような気がします。 私はまんがばかというより、どちらかといえば小説馬鹿の方なので、これが古本屋だったらもっとそうそう!という感じになるだろなぁと思います。 でも、人が読んでいる本が何か凄く気になるのはよくわかる。 紙質、活字、小口その他諸々からなんの本か割り出せるくらいにはなりたい(何になるんだ)
妖怪ロードは見てみたいー。 でも地元の、特に妖怪好きじゃない人にとってはけっこう迷惑なんじゃ、と妖怪タウンと化している様子を見ると心配になる。
2008年02月04日(月) |
『イルゲネス 上下』『シュバルツ・ヘルツ ゲスタァン』(小) |
【桑原水菜 マッグガーデン】
帯にでかでかと「桑原水菜の初SF」と書かれていますが、いつもの水菜節であります。 上下巻ということで、あまり真価発揮せずという気はしましたが。 やはり一冊丸々独白に費やすくらいの勢い、無茶っぷりが欲しいですね。 イルゲネスでいうと、一冊フォンがずーっとぐるぐるしてたりしたらよいですね。 あと、ジェイクがわりと普通人だったので、こう、もっと、桑原キャラならもっとこう、来いよ!的な気持ちになったりもいたしました。
例えばミラージュが上下巻だったら、こういうあっさりした話しになったのかな、と思ったりしてみました。 だったらいいなという意味ではないのですが。
読んでいる間、『赤の神紋』の作中劇「熱狂遺伝子」を思い出しました。
それにしても、水菜先生が親友を書くとこうなるか、と。
+++++++ 【桑原水菜 集英社コバルト文庫】
水菜先生は一人称書きの方が合ってるのではないかなぁと思いつつ読んでいました。 番外編です。 ザックとケヴァンが仲良くしていてなんだか不思議な気持ちになります。
さて、本編はどうなってきているのか。 そろそろ追いつきたいと思います。
2008年02月03日(日) |
『愚か者は赤を嫌う』『エイジ・コールド・ブルー』(漫) |
【えすとえむ 宙出版】
世の中にはその設定だけで完敗です、そして乾杯!と思うBLというのがままありまして、肉の解体屋×闘牛士というのはまさにそれでした。 あくまで私にとってですけども。 また、えすとえむさん(どこで切るんだ。このPN)の絵柄がスペインにマッチしていて、bassoさん(もしくはオノナツメ)のイタリア物を思い出します。 今後もスペイン描いて欲しいな。 南米もよさそうだよ?
他の短編もよかったです。
++++++++ 【えすとえむ 東京漫画社】
『ショーが跳ねたら逢いましょう』に収録されていた短編をメインにした一冊。 他の話も収録されていますが。
うへへという変な声が出てくる感じです。
それにしても上手いなぁ。もろもろが。
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