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2011年11月23日(水)
ときどきちょっとあやまりたい









ときどきちょっとあやまりたい
それは消費期限切れの豆腐のような、後回しにしているうち
出さずじまいになったメールのように、返す返すよではや10年
借りっぱなしのCDのような、行かずじまいになった遅刻のような
そのまま勤めずじまいになった欠勤のような、勉強しなきゃ教養大事よって
言うだけ言うけどまったく興味を持てないような、そのくせああ
あれねあれってうんうんだもんねって
知ったかぶりだけ一流のような、こんな努力のキライな人間なもので
期待されたようなオトナにもなれず、でも生きてるだけでごはん食べたくなるもので
とりあえず土下座したくなっちゃうような、そのくせ次の日にはもう
やってみればいいんじゃん?と不用意な事を言っちゃうような、それであいつが
どんな気持ちだったのか想像力も経験もまるきりなくて
そのうえ分かろうとする努力もしなかったような
はなはだ無秩序非倫理不道徳ご近所迷惑粗野失礼不良暴走占拠不純異性交遊でも
まあだいじょうぶだろうってタカをくくって、もしかしたら法律的にも
してはいけないあんたとの恋だったのよね、のような
だってそのときは本気だったんだもん、のような
じゃあまたねって嘘のような
でもそのあと暴露本書いちゃうような
20年経つのにおもいだすあの高く高くポストを越えていったシュートとか
30年経つけどおもいだす子どもの頃の残酷さへの身震いだとか
でもあやまるのってタダだもんって開き直る情けなさとか、でもこれって
個性だしむしろ長所だしどうせ誰も見てないしばれやしないしすぐ忘れるし…
その5秒後の言い訳のような、ともかくおもいかえしてみれば
なんか…なんかなんでもゴメンナサイなような
胸の奥の裏側に手が届かないまま
むずがゆくて仕方ないような
つい逃げちゃったし、ついお酒飲んだから
つい熱くなっちゃったので、つい止まらなくなっちゃって
ついムラっと、ついカッと、ついズルっといっちゃって
つい手が滑り、つい足が逃げだし、つい美味しそうで、つい夢中で、つい欲しくて
つい100年に一度だからって言っちゃうような
ついよ、つい、てへぺろのような
あやまることであやまってるのだからと済んだ気になっちゃったような
言い訳すら上手くできないような
ひとつひとつ
ちゃんとあやまってしまいたいことであるのに
ようなようなといっては、ごまかしているような
それはもしかしたら
夫婦というもの、のような
あるいは親子というもの、のような

他にあやまるべきことを思い出しているうちに
雨が降りだしていたことに気が付かなくって
毎晩いっしょに寝てるキミのことを忘れていたような
置きっぱなしにしてしまったような
ベランダでずぶ濡れになったまま
僕を待っていた布団よ、布団。













2011年11月05日(土)
とことこ









ちいさな足がゆくとことこ
左足の薬指に
リボンを結わえ
紺のパジャマを
引き摺って
嬉しくなってゆくとことこ
あっちよ、あっち
甘い香りがするのだもの

長い雨も宵頃にあがり
天窓は星々の市場の盛り
荷台から果物の
こぼれたような
水浸しの廊下をゆくとことこ
隅にからっぽの花瓶がころころ
誰がお花を
持っていってしまったの

ちいさな足がゆくとことこ
こっちよ、こっち
甘い声が心地よいほうへ
悪魔の手招くほうへゆくとことこ
とめてあげるひとが誰も
いなかったのだもの