2003年08月30日(土) ■

もし詐欺集団のひとりになったら

もしいつか人を騙すことで 生活を立てることになっても たぶん君が悪いんじゃあないし いつか人を騙している途中で 大切な人達のことを思い出すことがあっても それは誰かのせいでそうなったんじゃない いつのまにか顔も名前も 失くしていたことに気付いても それは君が悪いんじゃあないし いつのまにか人を騙して生きることに いつのまにか馴れていたとしても もちろん誰かのせいでそうなったんじゃない

2003年08月26日(火) ■

「僕達の将来」

「あたしたち多分　大丈夫よね 　フォークにスパゲティを巻きつけながら彼女は聴く 　大丈夫じゃない訳って何さ 　ナイフに急に力を入れて彼はことばを切る 　ここは２４時間レストラン 　危ないことばををビールで飲み込んだら 　さっき抱き合った宿の名前でも　もう一度むしかえそうか 　僕達の将来はめくるめく閃光のなか 　僕達の将来は良くなってゆく筈だね 　電話すると周りで聞いてる 　友達のいない時はいつなのって彼女は訊く 　電話してもいつもいない 　君の休みの曜日を変えちまえよと彼は言う 　あたしも都合が　おいらも都合が 　危ないことばをビールで飲み込んだら 　君が飛び込んで来てくれた夜の　話をむしかえそうか 　僕達の将来はめくるめく閃光のなか 　僕達の将来は良くなっていくはずだね 　青の濃すぎるTVの中では 　まことしやかに暑い国の戦争が語られる 　僕は　見知らぬ海の向こうの話よりも 　この切れないステーキに腹を立てる」 　　　　　　　　　　　　中島みゆみ「僕達の将来」 　　　　　　　　　　　　アルバム「はじめまして」　から ７歳ぐらいの頃に 高校に行けなかったら ホームレスになるんだと思ってた それがすごく怖かった １７年後、大学も卒業して その結果どうなっているかはともかく 今が楽しくて明日が辛いより 今を努力して明日が楽しいほうが 不安がないぶん楽なんだってことも ちゃんと分かったけど 分かってるけど遂行しない 終わるときはさっさと逃げる 将来は なんて僕達の間じゃあ禁句みたいだ ところでDVDすごいですね 携帯も追いかけるだけで疲れちゃいそうだけど 今迄マメに集めてきた我が愛するビデオテープはどうなるの？？ デッキもヨドバシで売ってないし MPEG２とかよく分からんよ

2003年08月21日(木) ■

夕暮れ理科室

教室に行くことがあるとすれば 理科室に行きたい 黒く塗られた机の ギザギザに削れたかどっこに触りたい 夜中に笑い出す 皮をはがれた人形や 薬品くさいビーカーとか ふっと真剣になってしまうから 「実験のときはいつも冷たかったですよね」と １０年経ってあの子に もう一度言われたとしても

2003年08月14日(木) ■

そろそろという時間

煙草ばかり吸っている なにか埋めてるみたい ねえそろそろ行こうか ぎゅっと隙間に押し付ける そろそろ行こうかという 煙草一本ぶんの時間

2003年08月08日(金) ■

姉

姉が結婚をして 男と暮らしているということだけでも 摩訶不思議であるのだが そこに姉の子供という要素が含まれるとなれば それはもう夢SF小説な話しなのである 姉 姉 姉 叱られていた姉 アメ玉をくれた姉 僕が煙草を吸っていたら へえ、とおかしそうな顔をした姉 姉は母となる 弟は叔父になる その子が叔父と 認めてくれればの話だが

2003年08月04日(月) ■

ちんさん

ちんさんに仕事を教えたのは たった一日だけだったけど ぼくはちんさんが大好きだった 恥かしがりやっぽく ボクの日本語やっぱりおかしいですかと しきりに気にしていた 普通に喋れていれば問題ないだろうけど 主婦のことを 日本人妻というのは 間違ってるよと教えてあげた でもちんさんは日本に来て３年だそうで その割には上手いもんだなぁと感心した エッチのことを 「日本人妻と戦争」と言っていたのは まあ、どこかで勘違いして覚えちゃったんだろうけど ちんさんには とっても大好きな彼女がいたそうだ けれど突然別れを切り出され 「彼女アメリカに行ってしまいました… 　それでボクお金ためてニホンに来ました！」 ちんさんはそう言って笑った なんか違う気もするけど 日本人妻に興味があったのかもしれないし