1/23(金) 緊張と緩和。
笑いの基本は緊張と緩和である。
葬式中の屁が必要以上にオモロかったりするのもこれであって、
その落差、すなわちズッコケ具合はより大きい方がよろしい。
で、今回はそういう話。

11月中旬、入院していた親父の様態が悪くなりだして、
母ちゃんが三日ほど、夜も泊まり込みで看病してたのね。
一週間ぶりに見舞いに行くと、確かに先週と比べて
劇的に様子が悪くなってるのが素人目にもわかる。
なおかつ、母ちゃんにも連日の泊まり込みで疲れがたまってきてる。
そんじゃ、ここらでオレが親孝行してみっかと、
その日から母ちゃんに代わって、オレが泊まり込むことにしたのよ。
こんなときぐらい、フリーな立ち位置を使わないとね。
が、バイト先には一本電話すりゃいいとして、
オークションの方はこのまま放ったらかしじゃマズい。
なので、母ちゃんに「もう一泊だけ泊まってくれないか」と。
「今から帰って、徹夜ですべての取り引きを終わらせて、明日の早朝に改めて来るわ。
明日からは親父が死ぬまで、何泊でもオレが泊まり込むから」と。
ね、オレだってたまにはかっこいいことするでしょ。

家に飛んで帰ってからは、まず二百件近くのオークションをすべて早期終了。
入札してくれてた人たちには申し訳ないながらも、
私事ながら現在の状況をすべて説明した上で、
「そういった事情ゆえ、お取り引きが出来ません」と謝罪のメールを送る。
次に、すでに落札済みで、送付先の連絡ももらってて、
後は入金を待ってるだけの状態の商品をすべて梱包。
彼女に電話して「悪いが明日、商品をすべて郵便局に持って行ってくれないか」と発送を託す。
その後、それらの落札者にまたも状況説明のメール。
「そういった事情ですので、お代金はまだいただいておりませんが、
とりあえず発送だけ明日済ませます」。
帰宅したのがすでに12時近かったので、
これらの作業がすべて終わったのが午前五時。
やっと終わった〜、と家を出る前に何気なくメーラーを開くと、
メールを読んでくれた入札者・落札者から数通のメールが。
みんな一様に「了解いたしました」と納得してくれてる様子。
勝手に取り引きを中断されたにもかかわらず、この優しい対応。
疲れも相まって、なんだか感動で涙が潤んできたりもして。
その中でも特にオレを感動させたメールはこれ。

「事情を把握し、お取引中止の件、快く了解いたしました。
どうぞ私のことは気にせず、ご看病にあたってください。
ネットオークションという顔の見えない場で、
数通のメールをやりとりしただけの関係ではありますが、
お父様のご回復を心より祈っております」

どうよ、この優しさ、気遣い、思いやり。
ネットを挟んでいても、しょせんは人と人。
ネットも捨てたもんじゃないなあ、と落ちそうになる涙をこらえるため、
上を向いた瞬間、上記のメールのタイトルが目に入った。

「 『 すけべっ子倶楽部 』 を落札した者です 」

・・・・・「すけべっ子倶楽部」って、あんた!
こんなときに、こんなにいい人が「すけべっ子倶楽部」って!
ああ、この脱力感ったら・・・・・。

1/21(水) たとえば僕が死んだら。
しかしさ、通夜や葬式、四十九日や法事ってのは何だろうね、ありゃ。
不謹慎と思われることを承知で言うが、もうくだらない以外の何物でもない。
もちろん、父ちゃんが嫌いだったからこんなこと言ってんじゃないですよ。
父ちゃんは大好きだったし、尊敬してたし、今までありがとうって気持ちは山ほどある。
だからって、その「形式」を行うことに何の意味があるんだろうかと。
子供が横断歩道を渡るときに「白線しか踏んじゃいけないルール」を作るようなもんで、
昔の人が死後の世界を見たこともないくせに、
こういう風にしたら死者が往生するんじゃないの、って適当に考えた、
いわば「白線しか踏んじゃいけないルール」と同等のものでしかないのに、だ。
いや、今の「形式」はまだかわいいもんで、昔の人がもっとサディストだったら、
「遺族の男子は金玉を片方切り落とす」というルールになってたかもしれないわけだ(笑)。
それをこの現代人が継承していくことに何の意味があるのかさっぱりわからんですよ。
神も仏もいないから、不景気でリストラされて首を吊る人が増えてんでしょ。
神も仏もいないから、悪い人が長生きして、いい人が早死にするんでしょ。
それでもそういう宗教的な儀式は守り抜くって姿勢の意味って何よ?

そもそも宗教自体も、「信仰心」を利用して下々の支配を円滑にする、
昔のお上が作り上げた政治システムでしかないわけですよ。
ブルジョアジーによるプロレタリアートのための「適当なルール」でしかないわけよ。
宗教をまっこうから否定する人たちは全員不幸になってるか?
信心深い人たちは全員幸福な人生を送ってるか?
宗教法人の上層部に貧乏な人がいないのはどうしてだ?
そういう当たり前のことを考えれば自ずと答えは出るっしょ。
それを21世紀にもなって、まだ恥ずかしげもなく、
プロレタリアート然として自らを支配されやすくしてる、
染みついた貧乏人の性にあ〜あですわ、こちとら。

話が固くなってきたんで元に戻すと、
そういう意味のまったくないこと、そろそろ終わりにしないか?ってこと。
オレは、さすがに遺書を書くにはまだ早いが、
早いうちに「死んだら最小限の行程で遺体を廃棄してくれ」と書き残すつもり。
なんなら遺体を切り刻んで生ごみとして捨ててくれても一向に構わないけど、
さすがにそれは遺族もキツいだろうし(笑)、法律的にもヤバそうなんで、
医学生に献体としてくれてやるなり、さっさと火葬するなりして、
それ以外の金と時間の無駄でしかない一切の儀式は止めてくれと。
親族や同僚、友達にも、遺族が電話して「死にました」「あー、死にましたか」でいいじゃんと。
オレはオレの死によって、遺族以外の誰をも潤わせたくないし、
何よりも「形式」を行うことによって、遺族の手を煩わせたくない。

「形式」でしかない数百万、数千万の盛大な葬式をするよりも、
それぞれが故人の元気だったころの写真を見て、ふと生前を懐かしんで涙する。
オレが死んだなら、そっちの方がよっぽどうれしいし、
その方がよっぽど人間らしい行為と思いませんか。どうでしょう、みなさん。


いただいたメッセージへのレス。

>トシ

> 突然の断筆宣言(何のため?)と思っていましたが、
> 再会してくれて嬉しく思います。
> 年末の「ドキッ!むさい男だらけの忘年会」は非常に
> 行きたかったです。年末の恒例にしてください。もち
> ろん!来年あっても行きませんが…。


あのときは勢いだけで電話してすまんかった。
来年はおまえも絶対に来なさい。
忙しいならそんな仕事はとっとと辞めてしまいなさい。


>スズキさん

(一通目にいただいたメッセージ)
> セザキさんこの度はご愁傷様でした。
> 私も2000年に母が他界しまして


(次のメッセージで)
> 母が亡くなったのは2002年でした。その年は入籍した
> 年でした(笑)。


お母さんの命日を年単位で忘れちゃいけませんよ(笑)。
確かに父の死の実感はあまり湧きませんねぇ。
実家に戻れば、いつものようにそこにいるような。
ま、僕にとっては33年間「そこにいて当たり前」の人だったわけで、
ここ二ヶ月ほどでそのイメージを払拭するのは難しいかなと。

> ところで名古屋の手羽先って(山ちゃん?)そんなに美味
> しいモノなんですね。


もちろん世界の山ちゃんです(笑)。
今回行って思ったんですけど、あそこの手羽先には当たりはずれがあるかなと。
たまに味付けの薄いのがあって、それははずれ。
しかしあの絶妙のスパイシー加減。
思い出しただけでよだれがジュルッ。
確かに骨が面倒ですが、店内には食べ方マニュアルもありますので無問題。
店内に貼られた「世界の山ちゃん新聞」の山ちゃんのダジャレは必見であります。

あ、日記には書いてませんが、もちろんコメダコーヒーにも行きました。
シノワロール、どうしてあんなに美味いのか(五・七・五)。


>モリ

おまえ、まだ奈良にいんの?
てっきりもう東京に行ったかと思ってたぞ。
だったら近いうちに呑もう。いつでも誘って。

1/17(土) そろそろ復活。
さてさて、「タイの土産話」の第二夜は・・・・・って間空きすぎだろ!

いや、サボりすぎてごめんなさい。
実は11月下旬に、ここ一年半ほど入退院を繰り返してた父が他界しまして、
先日四十九日を終えるまで、ずっとバタバタしておりました。
通夜と葬式を終えた途端、疲れが出たのか、一週間ほど風邪でダウンしちゃって。
ようやく風邪が治まりかけると、二週間ほどストップしてたオークションを再開。
それからも二七日(ふたなのか)、三七日(みなのか)、四七日(よなのか)と、
四十九日を務めるまで毎週実家へ通う日々。
そんな中、彼女のお母さんから近鉄のフリー切符をもらい、
名古屋へ手羽先を食いに日帰り旅行に行ったりもして。
さらには録画しすぎた年末・正月番組を、一日4〜5時間単位で消化。
そりゃ日記を書くどころじゃないし、ましてやタイの思い出を語ってる場合じゃないっしょ。
つーか、もうタイのことなんてほとんど覚えてないし。

んなわけで、そろそろ落ち着いてきたので、また日記を書いていこうと思う次第ですが、
当面はリアルタイムな話題じゃなく、日記を休んでたあたりの話になると思います。
不謹慎ながら、いろいろとオモロいこともあったので。

あ、それと、遅ればせながら、あけましておめでとうございます。ことよろ。
喪中だけど、オレは平気で言っちゃいますよ。
そういう慣習的なものが嫌いなんで。


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written by オレ 

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