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JIROの独断的日記
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2006年07月12日(水) 「イスラエルが4日連続で空爆、レバノン北東部も攻撃」パレスチナ問題の基礎知識

◆記事:イスラエルが4日連続で空爆、レバノン北東部も攻撃

【エルサレム=三井美奈】レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラによる兵士拉致を受け、レバノンに侵攻したイスラエル軍は15日、

レバノン南部を中心に4日連続となる空爆を行い、シリア国境に近いレバノン北東部まで攻撃範囲を拡大、ヒズボラ系ラジオの放送局や燃料タンク、橋を空爆した。

ヒズボラ指導者ナスララ師は14日、イスラエル軍艦船への攻撃を実施、「全面戦争を受けて立つ」と徹底抗戦の姿勢を見せており、戦闘はさらに激化する様相だ。

ヒズボラ系テレビによると、レバノン北部ヘルメルでは空爆により、少なくとも3人が死亡した。

ロイター通信は、レバノン南部で走行中の乗用車が爆撃され、少なくとも15人が死亡したと報じた。

また、AP通信は、空爆開始から15日までの4日間の死者はレバノン側で少なくとも88人、イスラエル側で15人に上っていると伝えている。

(読売新聞) - 7月16日0時0分更新


◆コメント:パレスチナ問題ってのは未来永劫続くのですかね。

日本人の現在の国際問題における最大関心事は、北朝鮮のミサイル発射に対する国連決議がどうなるか、という事でしょうが、

世界は広い訳で、パレスチナ問題は、遡れば紀元前になるわけで、2500年も続いていて、今もなお、ユダヤ人とアラブ人は毎日実際に殺し合っています。

それも軍隊の衝突だけではなく、パレスチナ人の高校生の女の子が自爆テロを決行したり、もう、すさまじい。



海外のニュースサイト、例えばBBCを見ると、イスラエルがレバノンの一般市民が乗った車列を空爆して、子どもを含む13人が新たに死亡、と書かれています。

欧米の主要な新聞の一面トップは殆どここ数日、イスラエルがレバノンに猛攻を加えて、多数のレバノン人が殺されている悲惨な状況を伝えています。

もちろん、北朝鮮がどうでも良いわけではないけれども、世界の関心がこれほど中東に集まっているときに、

「そんなのどうでも良いから、北朝鮮に対する非難決議を早く決めよう」というと、顰蹙を買うと思います。

日本政府は元来アラブ・イスラエル紛争には介入しないことにしていますが、常識として、この問題の背景ぐらいは知っておいた方が良いとおもいます。


◆元来は国境紛争です。

パレスチナというのは地名です。昔から明確な境界線があったわけではないけれど、今は地中海の東部に面するイスラエル、ガザ地区、ヨルダン川西岸を指す事が多いようです。

パレスチナ問題の核心となる領土問題の中心は、この3つの地域を巡る争いです。





紀元前10世紀頃、まずユダヤ人がここに国を創ったのです。

「イスラエル王国」といい、今の用語で言えば「首都」として、「エルサレム」という街をつくりましたが、紀元前586年に新バビロニアによって、滅ぼされます。

そのときから、ユダヤ人はパレスチナ人は2500年近く、国を持たず、主にヨーロッパに拡散します。

キリスト教徒は教義により金貸しが出来なかったけれど、ユダヤ教徒は、金融業を営んでも良かったので、それで儲けたので嫌われました。

それは、シェークスピアの「ヴェニスの商人」を読むと明らかです。



また、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、同じ神様を信仰しているのです。

ユダヤ教の教典が旧約聖書、そこから派生したのがキリスト教で、その教典が新約聖書です。

イスラム教もこの二つから派生したので、元々は同じ神様を信仰しているのです。。

三つの宗教ともエルサレムを「聖地」としているから、エルサレムの「取り合い」もこの長く続く「揉め事」の原因の一つになっています。


◆追い出されてから2500年後、ユダヤ人が再びパレスチナに国を創ったのが現在のイスラエルです。

ユダヤ教を信仰するユダヤ人はキリスト教世界で、あまりにも嫌われるので、19世紀から「シオニズム」という祖国再興運動がユダヤ人の間で盛り上がります。

さらに第2次大戦では、ご存知の通りヒトラーによるユダヤ人のホロコーストがあったので、ますます、その機運が高まります。



第二次大戦後、1948年、パレスチナに強引に国を創ったのが現在のイスラエルです。

ユダヤ人がいない間に、パレスチナにはアラブ人(イスラム教徒)が住んでいたわけですが、彼らは、無理矢理追い出されてしまいました。

これがパレスチナ難民です。

「パレスチナ人」という人種がいるわけではなく、ユダヤ人がイスラエルを創った場所に住んでいたアラブ人をパレスチナ人と呼んでいるのです。


◆パレスチナ人にしてみると今更急にユダヤ人に割り込まれたので、穏やかではありません。

このように、歴史を遠く遡れば、確かにイスラエルはパレスチナに国を構えていたし、その後追い出されたユダヤ人は散々苦労させられたとはいうものの、

2500年を経て、ユダヤ人は、急に、そして半ば強引に再び「新」イスラエルを建国したのです。

しかも、パレスチナに住んでいたアラブ人(パレスチナ人)を追い出してしまったので、パレスチナ人としてみれば面白くない。

そこで、パレスチナの地を巡りユダヤ人(イスラエル)とパレスチナ人(アラブ人)との紛争が起きます。

パレスチナ問題の発端はここにあります。


◆中東戦争

中東戦争は大きく分けて、第一次から第四次まであります。

第一次中東戦争は、1948年、イスラエル建国直後、これに反発するアラブ諸国(エジプト、サウジアラビア、イラク、トランスヨルダン、シリア、レバノンなど)との争いで、

数の上ではアラブが圧倒的に有利だったのですが、イスラエルが巻き返し優位に立ちます。1949年、国連が停戦勧告を行い、イスラエルと各国との間で停戦協定が結ばれます。

この際、ガザ地区はエジプト領に、ヨルダン川西岸はヨルダン領にするということで、合意が為されたのです。

第2次中東戦争は、スエズ運河をエジプトが国有化しようとしたのに反発したフランスとイギリスがイスラエルを焚きつけて戦争を始めさせ、自分たちは仲介者の立場をとります。

(こう言うところは、欧米人は実に狡いのです。)

スエズ戦争といいます。アラブ=イスラエル紛争の本質とはあまり関係が無い、イスラエルが欧米人に利用された戦争です。



問題は第3次中東戦争です

イスラエルは第1次中東戦争の後、国連の提案を受け入れてかなり広大な土地を手に入れたのです。



これは、私個人の所見ですが、イスラエルがそれ以上の土地を求めなければ、今に至る戦争は起きなかったか、

紛争が起きたとしても、これほどひどくならなかったのではないか、と思うのです。



話を歴史的事実に戻します。

1967年、イスラエルとイスラエルから見て北東に位置するシリアとの間にある「ゴラン高原」を巡って、イスラエルとアラブ諸国の雰囲気が険悪になっていました。

イスラエルは6月5日、いきなり先制攻撃を仕掛け、ゴラン高原、(エジプト領の筈の)ガザ地区、(ヨルダン領の筈の)ヨルダン川西岸、ゴラン高原、

さらに、シナイ半島(アラビア半島とアフリカ大陸の間にある三角形の半島)をわずか六日間で占領します。



第4次中東戦争で、ゴラン高原はシリアが、シナイ半島はエジプトが奪回します。


◆現在もヨルダン川西岸とガザ地区が紛争の原因です。

イスラエルはガザ地区や、ヨルダン川西岸に「ユダヤ人入植地」と称する土地を広げそこにユダヤ人を住ませて、要するにイスラエル領にしたいのです。

しかし、この両地域には、ユダヤ人がイスラエルを建国した際にパレスチナを追い出された「パレスチナ難民」が住んでいる。

当然、揉め事になります。イスラエルは容赦なく、ガザ地区のパレスチナ人居住区を爆撃したり、住居をブルドーザーで破壊します。

その際婦女子まで殺害するので、アラブ世界の恨みを買っています。



我慢しきれなくなったパレスチナ人はイスラエルに反撃しています。

こうした動きが組織化されたのがPLO(パレスチナ解放戦線)ですが、もっと過激な人々も大勢います。

ひどくイスラエル人を憎み、武力攻撃をしたり、先に述べたように非戦闘員である、パレスチナの高校生の女の子までがイスラエル領に入って自爆テロをする。

血で血を洗う悲惨な状況がずっと続いています。

もはや、「悲惨」などと言う言葉では表現できないほどですが、日本人は無関心過ぎると思います。


◆今回のイスラエルによるレバノン猛攻は何が原因か。

レバノンはもちろんアラブ人の国で、イスラエルの北に位置し、国境を接していますから、小競り合いは従来から起きています。

レバノンのイスラム教シーア派民兵組織「ヒズボラ(神の党の意味)」という過激な集団が存在します。



6月にガザ地区から(これはイスラエル南部の話)パレスチナ武装集団がイスラエル軍を攻撃し、イスラエル兵1人を拉致しました。

そして、イスラエルに収監されているパレスチナ人の釈放を要求したのですが、イスラエルはこれを拒否しただけではなく、暫く止めていたガザ地区への攻撃を開始しました。


これを見ていた、レバノンの「ヒズボラ」が怒り、イスラエル軍に(今度はイスラエル北部の話です)かつて最大と言われる攻撃を行い、イスラエル兵2人を拉致しました。

イスラエルは何かされると必ず武力を用いて報復するので、今回もレバノンにすさまじい空爆を仕掛け、普通に暮らしていたレバノン市民が多数殺されました。

冒頭の記事の13人というのは、ごく一部です。これが毎日続いている。


◆このように何十年も殺し合いが続いている地域があるわけです。

パレスチナ問題(アラブ=イスラエル紛争)に関して私が最初に少し勉強したのは20数年前、まだ学生の頃でした。

今に至るまで、解決しません。

何度か中東に平和をもたらそうという合意が成されたことはあるのです。

しかし、結局、イスラエル人かパレスチナ人どちらかが、些細なことをきっかけに、すぐに相手に対して武力を行使し、報復され、結局「元の木阿弥」、という経過を繰り返すのです。

武力行使が平和の実現に全く役に立たないのは、パレスチナ問題を見れば極めて明らかなことです。


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2004年07月12日(月) 「『日本にはがっかり』 陸自活動にムサンナ州知事」サマワの宿営地には300億円以上の税金が使われている。
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