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JIROの独断的日記
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2006年04月13日(木) 「NHK職員、カラ出張」←職員の不祥事はNHKに対する受信料不払いを正当化しない。

◆記事:NHK 職員がカラ出張 1762万円着服、懲戒免職に

NHKは11日、報道局スポーツ報道センターの大下哲史チーフプロデューサー=CP=(43)が、01年1月から今年4月までの約5年間に計242回のカラ出張申請を行い、

旅費や日当1762万円を着服していたと発表した。同日付で大下CPを懲戒免職処分にするとともに、警視庁に被害届けを出すことを検討している。

NHKは一連の不祥事や受信料不払い急増を機に改革に取り組んできたが、そのさなかに続けられていた不正だけに、視聴者の反発を呼びそうだ。

NHKによると、大下CPは00年6月から札幌放送局でスポーツ中継業務を担当、昨年6月に現在のスポーツ報道センターに異動となり、主にサッカーの試合中継を担当していた。

カラ出張旅費を申請する際、いったん航空券を購入して領収書を入手し、その後、転売するなどしていたという。今月初旬、東京から福岡、大分を経て東京に戻る日帰り出張の旅費申請。

不審に思った上司に追及され、カラ出張を認めたという。着服した金は服飾費や飲食費にあてていたが、全額弁済している。

また、NHKは理事2人と大下CPの当時と現在の上司計12人を出勤停止や減給などの処分にした。

NHKの橋本元一会長は同日、「視聴者の皆様の信頼を取り戻すため、全力で改革に取り組んでいる矢先に、信頼を再び損なう行為が明らかになったことは痛恨の極みで、心からおわび申し上げます」

などとするコメントを出した。(毎日新聞) - 4月12日9時41分更新


◆記事2:受信料不払いの罰則化容認 民放連会長、NHK改革で

日本民間放送連盟の広瀬道貞会長(テレビ朝日会長)は12日、共同通信の取材に対し、NHK受信料の支払い義務化を容認する姿勢を示し、「不払い者への罰則導入もやむを得ない」との考えを表明した。

広瀬会長は、NHKの受信料不払いが全世帯の約3割に達し、支払っている視聴者の間に不公平感が広がっていると指摘。

支払いを義務化して罰則を導入する場合には、NHKのチャンネル数を削減して受信料を引き下げるなど「全員が公平感を持って払う仕組みを作ることが重要」と述べた。

NHKの経営体制については「NHKの経営委員会には常勤の経営委員を置き、国会や政府に責任を持たせる必要がある」と語った。(共同通信) - 4月12日18時14分更新


◆コメント1:「またこれで、NHK受信料を払わない理由が出来た」とほくそ笑んでいる人がいるのでしょうね。

同じことを何度も書くのは疲れるものである。

昨年、NHK職員が放火犯だったことが発覚した時に、私は「<NHK記者逮捕>視聴者の不信感に再び火」←受信料不払いの理由にはなりませんよ。という記事を書いた。その時と全く論理は同じなのでご参照いただきたいのだが、それだけでは手抜きなので、もう一度書く。

「NHK受信料の支払は法律上の義務ではない」

「経営体質が納得出来ない」

「職員が不祥事を起こす」

ことは、いずれもNHK受信料不払いの理由にはならない。


◆コメント2:NHKはインフラ(社会資本)なのですよ。

NHKはインフラ(インフラストラクチャー。社会資本。道路・港湾・鉄道・通信・電力・水道など)である。民放も放送はできるが、全国津々浦々まで電波を届けることができるのはNHKだけだ。

緊急時に一斉に全国民に連絡するシステムを確保するためには、NHKが絶対に必要である。



昨日書いたばかりだが、郵政民営化と同様である。

日本の放送局が全て民放になったら、人口数百人の離島まで電波を届かせるために、施設を作る、などという不採算なことは絶対にしないだろう。

だから、受信料で運営するしかないのだ。

「受信料の支払は法律上の義務でないから支払わなくても良い」という人は、単なるケチで、払わなくても罰則が無いから払わないだけではないか。

ところで、受信料を支払わない貴方。NHKを絶対に見ないのですか?

トリノオリンピックで2月23日(現地時間)荒川静香選手が金メダルを獲得したとき、最高視聴率は31.8パーセントを記録した。

受信料を払っていない人、まさか、見たんじゃないでしょうね?

見て払わない人は、何故、自分が払わなくても見られたのか、考えただろうか?

何故かと云えば、視聴者の7割に相当する人々が真面目に払っているからである。


◆コメント3:インフラ(社会資本)なのだから、国民が平等に負担するのは当然である。

前段落で、受信料を払わない人はまさか、NHKをみていないでしょうね?と書いたが、実はそれは関係ないのだ。

「自分は車を運転しないから、高速道路建設に使われる分、税金を安くしてくれ」、という人はいないだろう。

「自分には子供がいないから、学校建設に使う分だけ税金を安くしてくれ」という人はいないだろう。

「自分は健康だから、保険料を下げてくれ」という人はいないだろう。

NHKとて同様である。税金じゃないから、罰則がないだけだ。


◆コメント4:「経営体質が不満」という方。具体的に指摘してください。

「NHKの経営体質が気に入らないから受信料を払わない」という人もおられる。

「経営体質」ねえ・・・。

そういう方々に伺ってみたいのだが、NHKがどういう経営体質ならば、払うのか?

A4のレポート用紙一枚に、要点をまとめて提出できますか?

経営体質と言ったって、色々な要素がある。

経理、資金運用の現状と計画、設備投資計画など(要するに財務ですね、)、人事(人事評価システム、給与体系など)、新技術開発の現状と計画、番組編成、番組内容、等々。

放送業界に関しては全くの素人の私でも、すぐにこれぐらいの項目を思いつく。

「NHKの経営体質が気にくわない」という方は、当然、これらを把握しておられる訳ですよね(知らないのに、気にくわないもへったくれもないはずだ)?

仮に、NHKの経営体質をよく研究し、知っていたとしても、人それぞれ思想が違うのだから、視聴者全員が納得する「経営体制」を構築することなど、出来るわけがない。

即ち、「経営体質が気に入らない」ことはいずれにせよ、受信料不払いの正当化事由には成り得ない。


◆コメント5:NHKにも国家権力は介入するだろうが、民放はもっと制約がある。核燃料再処理の例。

記事2を読んで下さい。民放連の会長まで、受信料不払いに対する罰則もやむを得ない、と言っている。

民放だけでは出来ないことをNHKがやっていることを理解しているからだ。

例えば、以前、テレビ朝日「報道ステーション」が、核燃料リサイクルの問題点を特集で取り上げようとした。

核燃料再処理、核燃料リサイクル、プルサーマル等という言葉を聞いたことがあるでしょう?

ところが「リサイクルだからいいことじゃないか」という単純な話ではないのである。

それに関しては、私も素人だが、以前「再処理政策継続の中間報告 15日に地元に伝達 」 再処理工場は原発より、危険なのですという記事でまとめたので、ご覧頂きたい。

さて、その危険性についてテレ朝が取り上げようとしたら、番組のスポンサーである有名電気関連企業から、猛烈なクレームが来た。

この会社は家電を作っているから誰でも知っているが、核燃料リサイクルの設備も手がけており、実現すれば大儲けなのだ。

だから、核燃料の再処理の問題点を国民に知らせるな、とテレビ局に詰め寄ったわけである。

何度も書くが、民放にとって「スポンサーは神様」であるから、逆らえない。特集はボツになった。

この話は某現職若手衆議院議員がメールマガジンに書いていたのだが、暫く経ってから彼のサイトを見たら、通常、メルマガのバックナンバーは全て載っているのに、この件について書いた稿は削除されていた。

(わかりますね?政党も大企業からの多額の献金で支えられているのです。)

勿論、NHKにも圧力はあるだろうが、民間企業をスポンサーとする民放よりは自由度が高い。


◆コメント6:個人の不祥事は、彼(又は彼女)が属する法人に対する債務を免除しない。

「こんな不祥事ばかり起こす会社にカネなど払えるか!」という人もおられよう。

しかし、NHKとの受信契約の相手方は、あくまでも法人たるNHKであり、不祥事を起こした職員ではない。

従って、個々の職員が不祥事を起こしたからと云って、NHKに対する債務が消滅するという論理は成り立たない。

それは、「<NHK記者逮捕>視聴者の不信感に再び火」←受信料不払いの理由にはなりませんよ。で例を挙げたが、もう一度書いておく。

「NHK職員が放火犯であったから(繰り返すがまだ無罪だが)、受信料の支払いをしなくても良い」という論理は、

「或る企業に属する人間が犯罪を犯したら、その会社から、財・サービスを購入しても、それに相当する対価の支払い債務は消滅する」という論理である。

すると、次のような主張をしても構わない、という結果になる。実際に存在する企業名を使わせていただいたが、あくまで仮定上の話である。

架空の名称を使うよりも、現存する固有名詞を用いた方が、分かりやすいからである。例えば、


  • 日産自動車の職員が通勤途中に痴漢行為をはたらいたら、日産自動車からクルマを購入して、まだ、ローンを支払っている最中の人間は、ローン残高の支払い義務が消滅する。

  • NTTの職員が女性のスカートの中を盗撮したら、電話料金は払わなくて良い。

  • 東京ガスの社員がひき逃げをしたら、ガスはタダで使いたい放題。
  • ソニーや富士通やNECや、IBMの職員が万引きをしたら、パソコン店から、それらの会社のパソコンを勝手に持ち出し、料金は一切支払わなくても構わない。

  • 石油元売り各社の社員が、酔っぱらって他人に怪我をさせたら、その会社のガソリンスタンドで、いくらガソリンを入れても、ガソリンは無料だ。



このように考えると、「NHK職員、カラ出張」→「受信料不払い」が全然正当な理由にならないことがお分かりになるのでは無かろうか。

今日は、NHKのエラい人が国会に参考人招致されて、散々虐められたようだが、これは日本独特の習慣だ。

不祥事を起こしたのは大人だ。横領がれっきとした犯罪であることを知った上で横領したのだから、本人が悪いのである。

NHKが悪いとすれば、経理上の監査が甘かったということであるが、それは二次的な責任である。

或る個人が犯罪行為に及んだとき、その責任は行為者本人に帰するのであり、彼の職場の責任ではない。NHKの上司が謝る必要は無いのだ。

それとも、日本の会社(NHKは株式会社ではないが、似たようなものだ)は、大学を出た新入社員に「犯罪を犯してはいけません」と、教え諭さなければいけないのだろうか?


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