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2005年11月17日(木) |
「組織的詐欺」と慰謝料も=外為証拠金業者に賠償命令−東京地裁 素人が外国為替に手を出してはいけません。 |
◆記事1:「組織的詐欺」と慰謝料も=外為証拠金業者に賠償命令−東京地裁
少ない資金を元手に多額の外貨を売買する金融商品「外国為替証拠金取引」で損害を被ったとして、
千葉県の女性(76)が業者の「サンユートレックス」(東京都中央区)に約183万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は14日、全額の支払いを命じた。
原道子裁判官は「虚偽の説明で取引を開始させるなど、取引全体が会社と従業員らによる組織的詐欺で違法」と非難。
精神的苦痛を受けたとして、女性側が求めた50万円の慰謝料も認めた。 (時事通信) - 11月14日20時1分更新
◆記事2:外為証拠金取引業 破綻急増 規制強化で今年20社
少ない元手で多額の外国為替取引ができる外為証拠金取引を手掛ける業者の経営破綻(はたん)が、今年に入り二十社に上ったことが、帝国データバンクが十五日発表した調査で分かった。
七月の金融先物取引法の改正で電話による勧誘が禁じられるなど規制が強化され、当局による監視も厳しくなったことが影響したとみられる。
調査した平成十二年から今年十月まででは二十二社が破綻、負債総額は四百五十二億円に達した。
帝国データバンクは「個人からお金を集めながら、実際に運用していたかどうかすら怪しい業者も散見される」として、今後も同業者の破綻は続くとしている。
帝国データバンクの調査では、外為証拠金業者のほか商品先物業者なども含めた資産運用関連企業の破綻は、
十二年から今年十月までに四十五社、負債総額は二千百四十億円に達した。
形態は破産や清算が多く、投資した個人にはお金が返ってこないケースがほとんどとみられている。
このうち負債規模で四位、今年七月に破綻したジェスチオン・プリベ・ジャポン(東京)の債権者は富裕層の個人が多かったとされており、
帝国データは「カネ余り、資産バブルの兆しが見え始めている」と指摘している。(産経新聞) - 11月16日3時11分更新
◆コメント:要するに丁半バクチなのですよ。
為替(外国為替)に限らず、株でも債券でも同様ですが、素人が相場にのめり込んではいけません。
何故、私が偉そうなことを言えるかといえば、詳しくは書けませんが、そういう世界に十数年いたからです。
記事に載っているようないかがわしい会社ではないです。
東京外国為替市場という概念があります。
概念と言ったのは、株式取引を行う東京証券取引所は実際にそういう空間、バーチャルではなくて、場所があるのに対して、
外国為替市場というのは、専用の通信手段(一番初めの頃はテレックス、次いで、専用電話回線、
そして、ロイターディーリングシステムというものが出来ました)で世界中に張り巡らされたネットワークの総体を指すのです。
東京中歩き回っても、「東京外国為替市場」という建物はありません。
そして外国為替(以下、外為(がいため)と書きます)の主な参加者は銀行、証券会社、生保、損保などの金融機関の他、
商社、自動車会社、石油会社など、輸出入を行う事業法人などですが、24時間、世界中の国の同様の連中が相場を見ているわけです。
巨額の資金を動かす欧米のヘッジファンドと呼ばれる投資(というか、投機会社ですね)などは、
交替勤務で、アメリカやヨーロッパの真夜中でも、誰かが東京を見ていますから、海外からの大口注文で東京外国為替市場が大混乱することもあります。
通貨を売り買いする人を為替ディーラーと言いますが、専門職で、ずーっと、一日中朝から晩まで、相場を見ているのです。
帰宅してからも相場が分かるように、ポケットロイターという、相場水準をリアルタイムで見ることが出来る小さいモニターを肌身離さず持っています。
外為は、ですから、本質的にプロの世界です。 銀行が一番活発に行うのでインターバンクマーケットといいます。
彼らはそれぞれ、独自の「情報源」を持っていて、ヘッジファンドが巨額の売り、又は、買いをやりそうだ、とか、
アメリカの財務長官がこんな発言をしたとか、普通の人より早く知ることが出来るのです。
こういう事は、バクチと同様でして、向き不向きがあります。
長くやっている人はそれなりに実績があるから、続いているわけで、損ばかりしている人は、すぐに辞めさせられます。
日本の会社ならば、他の部署の移るだけですが、外国の銀行とか投資銀行、ヘッジファンドのディーラーはもうからないと、
本当にクビになるのです。失業するのです。 ですから、気合いの入り方がちがう。
そういう人たちですら、毎日利益を出せるとは限らないのです。 為替ほど予想が難しいものはないのです。
もし、「自分はディーラーで今まで損をしたことがない」、という人物が現れたら、絶対に嘘をついていますから、信じてはいけません。
どんな天才的ディーラーも、大損を被って真っ青になることがしばしばあるのです。
ただ、或る期間を通して最終的には利益を出している、ということです。
記事に出ている、外為証拠金取引は、先物市場といって、厳密に言えば別の市場ですが、現実には、今まで述べたプロのマーケットに連動しています。
こう言うところに素人が手を出してはいけません。
何せ、株に比べて、値動きの速さが比べものにならないぐらい速い。
プロでさえ、ほんの数秒、注文を出すのが遅れただけで、何百万円、何千万円の損失を生ずることも全然珍しくないのです。
◆外為証拠金業者、毎日のように潰れていますよ。
記事1の「千葉県の76歳の女性」はついている方です。全額取り戻せた上、慰謝料まで取れたのですから。
これは、たまたま、被告となった会社が潰れていないからです。運のいい人です。 しかし、非常に例外的です。
記事2にも破綻例がありますが、金融庁のサイトにある報道発表のページを見て下さい。
ここ10日間だけを見ても、これだけ潰れているのです。
- 平成17年11月17日 「株式会社ワールドサクセスに対する行政処分について」
- 平成17年11月17日 「コスモエフエックス株式会社に対する行政処分について」
- 平成17年11月15日 「T.A.M株式会社に対する行政処分について」
- 平成17年11月11日 「株式会社シーズ・ファイナンスに対する行政処分について」
- 平成17年11月9日 「ジェイテック株式会社に対する行政処分について」
- 平成17年11月9日 「ユニバーサル・アセット・マネジメント株式会社に対する行政処分」
- 平成17年11月8日 「IFC投資顧問株式会社に対する行政処分について」
- 平成17年11月8日 「株式会社ネクサスに対する行政処分について」
行政処分にも色々ありますが、これらは全部「業務停止命令」です。
そもそも、これらの会社は既に破綻しているのです。
お客さんから集めた「証拠金」という、いわば「元手」の資金でこの会社自身が外国為替取引=ディーリングをやって、失敗して大損。
債務超過になり、潰れている。判を押したように同じパターンです。
一般のお客さんは最初に「証拠金」を何十万円、何百万円という単位でこれらの会社に預けるのですが、
潰れられたらカネは戻らないわけです。業者は債務超過で潰れているのだから、損害賠償請求しても、無駄です。
つまり、一般の方にとっては、外国為替で自分自身が儲けること自体が難しいばかりではなく、
外為証拠金業者が倒産することにより、証拠金も取り戻せない、という非常にショッキングな状況に追い込まれる可能性が高い。
「俺は、しばらくやっているが、もうけてるよ」という方もおられるでしょう。稀にあります。
しかし、続けていたら、必ず、真っ青になるような経験をすることになります。殆ど断言したいほどです。
とにかく、止めておいた方がいいです。
2004年11月17日(水) 「自衛隊を占領軍と規定 イラクのサドル師派」 これでも自衛官を戦地へ赴かせるのか?
2003年11月17日(月) 「テロの脅しに屈しない=小泉首相」←屈しないで、国民を守れるほど、日本はセキュリティが強固なのかよ。