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JIROの独断的日記
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2005年08月09日(火) ディスカバリー無事帰還。←よかった。本当によかった。

◆記事1:ディスカバリー、エドワーズ空軍基地に無事着陸

 

 【エドワーズ空軍基地(米カリフォルニア州)=古沢由紀子】野口聡一さん(40)ら7人の宇宙飛行士を乗せたスペースシャトル「ディスカバリー」が、米太平洋時間9日午前5時11分(日本時間9日午後9時11分)、エドワーズ空軍基地に着陸した。

 シャトルの発着基地となっている米航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センター(フロリダ州)への帰還を目指したが、滑走路付近に雷雲が発生するなど、着陸を試みた8、9日とも天候が悪かったため断念した。

 今回を含めシャトルが無事帰還した計112回の飛行のうち、エドワーズ空軍基地への着陸は50回目。若田光一さん(42)が2000年10月に乗った時も、同基地に帰還した。

 ディスカバリーは、先月26日に打ち上げられた。2年半前のコロンビア空中分解事故後、NASAが講じた数々の安全対策を検証することを最大の任務とし、飛行中も機体に傷がないか点検を続けた。

 国際宇宙ステーションにドッキング後、野口さんと同僚のロビンソン飛行士(49)が3回にわたって船外活動に挑み、史上初となる宇宙での機体補修などを実施した。飛行時間の合計は13日と21時間32分で、地球を219周した。

 野口さんら7人は、身体検査などを受けた後、家族らが待つテキサス州へ向かう。ディスカバリーは、整備のため、ボーイング747に載せてケネディ宇宙センターへ空輸される。(読売新聞) - 8月9日21時25分更新


◆野口飛行士のメッセージ(昨日ディスカバリーから日本に向けて発したものを、私が文字に起こした)

 (注:メッセージの前に野口さんが、折り鶴を無重力状態で飛ばしてみたり、あやとりをしたり、子供の頃にしたであろう遊びをやって見せて、さらに「世界でたった一つの花」をキーボードで弾いた)

日本のみなさん、こんにちは。ディスカバリー号から野口がお伝えしました。

日本は夏休みですよね。特に日本の子供達に、将来、夏休みにどんな遊びが出来るのかな、というのを考えて貰いたくて、こういうビデオを作ってみました。

夏休みまだ続きますけれども、宇宙のこと、それからみなさんの未来のこと、自分の持っている夢のことを考えて、楽しく過ごしてください。

JAXAでも夏休みの間、色々と楽しいイベントがありますけれども、今年は日本でロケットの実験が始まってちょうど50年にあたります。

今回僕はこのモデルロケット(と言いながら、長さ30センチぐらいの小さいオモチャのようなロケットをカメラに向けながら)、えー、これはモデルじゃなくて本物のロケットなんです。

この50年前に本当に打ち上げられたロケットをお借りして、国際宇宙ステーションに持ち込みました。

大きな夢というのは、実現するまでにすごく時間がかかることがあります。

このロケットも50年前に初めて打ち上げられてから、随分長い時間をかけてついに宇宙ステーションまで来た訳ですけど、皆さんの夢も長い時間をかけて、いつか実現するように、祈っています。

それでは、近い将来、日本で直接皆さんとお話できることを楽しみにしています。さようなら。(笑顔で手を振る)


◆コメント:宇宙飛行士の皆さんはどうして、あんなに純真な心を持ち続けられるのだろう?

 

 今回のディスカバリーは、離陸直後に、前回「コロンビア号」が着地16分目に爆発、空中分解したときと同じように、耐熱タイルが剥がれたというニュースが伝わっていたので、大気圏再突入の時には気が気ではなかった。

 着陸のようすはNASAがインターネット経由で生中継していたので、私は着陸15分前ぐらいから、ずっと見ていた。

 次第にディスカバリー号の例の飛行機の形が明らかになったと思ったら、あっという間にタッチダウン(着地)した。思わず、目頭が熱くなった。

 昨日、野口さんのメッセージを聞いて、なんとしても無事に戻って欲しいと思った。

 野口さんのみならず、どうして、宇宙飛行士というのは、あれほどまでに、完璧に優秀で、しかも、いい人達なのだろう?

 優秀なのは、まだわかる。

 全員、もともと、一流の科学者である。つまり、皆大学の物理や化学やその他それぞれの科学的専門分野のドクター(博士)である(向井千秋さんはほんとにドクター(心臓外科医)だった)。

 ただでさえ優秀な人が、厳しい宇宙飛行士訓練生採用試験と、厳密な身体検査(500項目もある。水虫があってもだめ)に合格をしたわけで、それだけでも私のような浅学非才の凡人から見たら、神様のような人たちだ。

 そんな彼ら、彼女らが、さらに、厳しい訓練を経て、最終的に残って、初めて宇宙飛行士になれるのであるから、全く想像もつかないぐらいの才能や知力、強靱な精神力を持ち合わせた人々であることは、想像がつく。


◆子供の頃の夢を持ち続けた人々なのだろう。

 

 普通の人間社会では、これぐらい、群を抜いて優秀だと、必ず、鼻持ちならない人間がいるものであるが、宇宙飛行士の人々は本当に子供のような純粋な美しい心を持ち続けていることに驚く。

 聖人君子とは彼らを表現するために存在する言葉ではないかと思われるぐらいだ。

 初めて宇宙を飛んだ日本人は毛利衛さん(厳密に言うとTBSの記者だが、科学者ではないので、飛んだだけだった)である。

 毛利さんが、スペースシャトルから、紐とリンゴを使って、「何故、スペースシャトルや人工衛星は地球の周りにいて落ちてこないのか」という、初歩的な物理の「講義をしたのだが、そのときの、生き生きと輝く、毛利さんの声や表情から、その人柄を直感的に理解できた。

 「この人は、科学をするために、純粋に宇宙に行きたくて宇宙飛行士になったのだ」ということが、良く分かったのである。

 そこには、優越感も虚栄心も功名心も名誉欲もない。

 ただ、「宇宙に行きたい。」という夢があっただけなのだ。

 純粋な気持ちや心は、人を動かす。私は強烈な印象と感動を覚えた。良く覚えている。


◆みんないい顔をしている

 

 もっとも、毛利さんは初めての宇宙飛行士だったから、毛利さん個人が特別に素晴らしい人柄を持っておられるのかと思った。

 ところが違った。

 その後に続いた、向井千秋さん、土井隆雄さん、若田光一さん。そして、今回の野口さん。

 皆同じように聡明で、情熱的で、それなのに謙虚で、真面目で、優しい人たちなのだった。

 私は、彼らが日本に帰ってきて、子供相手の催しなどでも真剣に話しをしているときの姿をみて、同じような情熱、生命力、そして、「宇宙から地球を見た経験がある者にしか備わらない大きさ」を感じた。

  JAXA(宇宙航空研究開発機構)の日本人宇宙飛行士の皆さんのこの素晴らしい笑顔をご覧なさいよ。

 邪念を持っている人間は、絶対にこういう顔にはなれないのだ。


◆「宇宙からの帰還」という本を読んだことがありますか?

 

 20年以上も前に出版された、宇宙からの帰還という本がある。

 立花隆が、アポロの宇宙飛行士達に、非常に長い時間をかけて丹念にインタビューし、本にまとめたものだ。

 全ての宇宙飛行士が口をそろえて言うのは、宇宙から見た地球の美しさ、神秘的な美しさ、である。

 厳密に科学的思考の訓練を受けた科学者である宇宙飛行士達が、まず、「美しさ」に言及することは極めて、興味深い。

 ある飛行士は言った。

 

「宇宙から地球を見れば、地球は文字通りひとつなんだ。全体で一つなのだということが、一瞬にして分かる。そして、人間同士が領土や宗教やイデオロギーを理由に殺し合うなどと云うことが、どれだけ下らないことか、身体で分かる。それは大げさではなくて、本当に文字通り、腹を抱えて大笑いするほど滑稽なことだとわかるんだ」


 この言葉は強烈だった。 また、月面に降り立った飛行士の何人もが神の存在を確信して、科学者から宣教師になってしまったというからおどろく。


◆日本人宇宙飛行士の皆さんもきっと同じような体験をされたことであろう。

 

 野口さんは、帰還前の最後の交信(スペースシャトル乗員全員が画面に映り、NASAのスタッフと話す)で、「宇宙ステーションでの活動をしてみて、世界中の人が平和のために協力することができると確信しました」といっていた。

 野口さんや、今まで飛んだ日本人宇宙飛行士の皆さんも、きっと、美しい地球を見て、感ずるところが有ったのだろう。

 とにかく、野口さん、ご苦労様でした。良かった。


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