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JIROの独断的日記
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2005年08月04日(木) 「原爆を投下したことを後悔していない」(原爆を投下した爆撃機の乗員)--BBC

◆記事:エノラ・ゲイ(広島に原爆を投下した、B-29爆撃機)の乗員「後悔していない」(BBC)


 原文は、

Enola Gay crew 'have no regrets'

http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/4743061.stm

です。



 【抄訳】

 広島に原子爆弾を投下した、爆撃機の未だ健在の搭乗員たちは、原爆投下60周年を機に、共同声明を発表した。

 現在もまだ健在な「エノラ・ゲイ」の搭乗員は、ポール・ティベット(パイロット)、セオドア・ヴァン・カーク(ナビゲーター、適切な日本語訳が分かりません)、モリス・R・ジェプソン(weapon test officer 兵器試験技官とでも訳すのか)の3人だが、彼らは繰り返し、謙虚に(訳注:humblyという単語なのです。こう訳さざるを得ない)宣言(proclaim)する。

 「原子爆弾の使用は、当時の歴史的局面においてやむを得なかった。我々は、後悔していない」

 彼らは、過去60年間、一貫して、その姿勢を貫いている。


◆解説&コメント:3人の本心は全く反対だと思います。

 

 最初に書いてしまうけれども、このいまだに生きている3人の言っていることは、彼らの本心じゃないと思います。

 エノラゲイの搭乗員で既に死亡した人もいるわけですが、いくら自分が軍人で上司の命令に逆らうわけにはいかなかったとはいえ、

 自分が犯した罪の大きさに耐えきれず発狂してしまった人。自殺した人もいるのです。

 この3人にしても自分たちが投下した原爆で24万人もの非戦闘員を殺したことに、過去60年間、一度も何の疑念も抱かなかったと言うことはあり得ないと思います。

 本当に、自然な感情として、あの行動は正しかったと思っているならば、さすがに忘れることはないにしても、あまり意識に上ってこないと思うのです。意識に上らなければ、声明など出さない筈なのです。

 それなのに、原爆投下からあと2日で60年という日に、わざわざ「あの作戦は正しかった」と、一見、日本人を挑発するようなことをマスコミを通じて発表するのは、、そのように自分に言い聞かせないと、自我が崩壊してしまうからだと思います。

 この発言は、一種の「自己防御機制」だと思います。つまり、自我(エゴ)を防御するために、わざと本心とは全く逆のことを声高に主張しているのだと思います。

 だから、このじいさん達の言葉をそのまま額面通りに受け取ってムキになる必要は無いとおもいます。


◆BBCは大変、真摯にこの歴史的悲劇を取り上げています。
 

 これは、日本のマスコミよりも余程真剣に作っていると言っていいぐらいです。

 被爆直後から現在に至るまで、広島の復興の様子を写真で載せています。

 これは、気持ち悪い写真はありませんから、ご覧になっても大丈夫です。

 1945年に完全に焼け野原となった広島と現在の広島を対比することによって、原爆の破壊力とそれがもたらした悲劇が良く表現されています。


◆ON THIS DAY(今日は何の日)の8月6日は殆ど全て「広島」に関する記事で占められています。

 

 当たり前じゃないかというなかれ。日本の新聞で、ここまでの紙面を作る社は無いでしょう。

 BBC ON THIS DAY | 6 | 1945: US drops atomic bomb on Hiroshima(1945年8月6日、アメリカが広島に原爆を投下)という書き出しから始まり、当時のトルーマン大統領が原爆投下を命ずるに至った経緯が詳細に記述され、その破壊力が如何にすさまじく、どれほど悲惨な結果をもたらしたか、について、まだご健在の被爆者やその子供、孫、の証言を引用しながら説明しています。可能な限り主観を排除して書かれています。

 英国は、勿論「連合国」です。つまり、戦勝国ですが、こういうところは、大変「フェア」だと思います。

 また、投書欄「核の脅威は小さくなったのか?」には、世界中の人々の意見が書き込まれています。

 ここは、どうしても賛否両論です。

 勿論、中には感情的に、「日本人は南京でもっと多くの中国人を殺したじゃないか」という類もあるけれども、全体としては概して、冷静です。

 あるロシア人は「いかなる、政治的、戦略的理由があったとしても、このような大量殺戮は断じて、永久に許されない。世界から、一刻も早く核兵器をなくすべきだ」という熱い書き込みをしています。

 アメリカ人のMilicさんは、「私は、原爆が日本に投下されたことを大変遺憾に思う。私が思うに、原爆が使用された目的は、とにかく早く戦争を終わらせること。それによって、ソビエトが参戦する機会を奪うことだった。殺された日本の人々は始まりつつある冷戦時代の犠牲になったのだ。私の意識の中では、原爆を開発して、それを実際に使ったという事実は、永遠にアメリカの歴史の汚点として残る」と書いています。

 とても率直な意見だと思います。


◆コメント:日本も核武装すべきだという日本人や、ブッシュ大統領には、是非広島の原爆資料館を訪れていただきたい。

 

 百聞は一見にしかずというのは、本当です。

 あれは、実に、言語に絶するショックを受けます。資料館だけで殆どトラウマに近い打撃を受けるのですから、実際に体験した方々の胸中は察するに余りあります。

 かつて、私が行ったとき、見知らぬアメリカの若者が「アメリカ人でいることが恥ずかしくなった」とうなだれていました。

 あまりにも気の毒なので、「君が生まれる前に起きたことに関して、君は責任はない。そう落ち込むなよ」と声をかけたのですが、彼は、まだ呆然としていました。



 このように、戦争を体験しなくても、情報を集める努力により、かなりその悲惨さは想像できます。

 西洋人にとって日本というのは、日本人が想像するより、遙かに遠いので、なかなか、一般の欧米人は広島の資料館にこられないでしょうが、せめて、BBCのサイトを多くの世界中の若者が見てくれると良いと思います。


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