DiaryINDEX|past|will
2004年06月11日(金) |
「三菱自元社長、部下の進言聞かず」 それでも日本の製造業かっ! |
◆記事:三菱自元社長、部下の進言聞かず
三菱自動車の元幹部らが車両の欠陥を隠ぺいしていた事件で、逮捕された河添元社長らは、 リコールについて「そんな事をしたら金がかかるだろう」などと言い、 却下していたことが 分かりました。
10日に逮捕された 三菱自動車の元社長、 河添克彦容疑者らは、1996年にリコール検討会という会議を開き、その際、部下から事故の発生予測について 具体的な数字を 示されていましたが、 リコールを見送っていました。
更に2000年には、 リコールについて「そんな事をしたら 金がかかるだろう。それより車が廃車になるのを 待ったほうがいい」 などと言って、 隠ぺいを決めていたことが 分かりました。
河添容疑者は調べに対し、「結果的に死亡事故を 起こさせてしまった」と、 一部容疑を認めている ということです。
一方、石原国土交通大臣は会見で、事件について 「走る凶器で 2人が亡くなった、 防げた事故だった」などと 話しました。 また、国土交通省はリコール隠しをしたとして、 三菱自動車に対して、 道路運送車両法の 20万円以下の過料を課するよう 裁判所に通知しました。(11日 10:32 )[11日20時45分更新]
◆コメント:公器としての製造業。
一連の三菱自動車のニュースを聞いていて、とても日本の「モノを作る会社」、それも世界に冠たる、日本の自動車産業の出来事と思えない。
事実なのだろうが、信じたくない。
車を作る人々の話をテレビのドキュメンタリー番組で見たり、本で読んだりしたけれども、共通するのは、技術者として少しでも良いもの、独創的を創りたいという情熱と、人が乗るものなのだから、という、製品の安全性への責任感である。
それは、いちいち口に出すまでも無く、どの会社のどの車を作るエンジニアも骨の髄まで沁み込んでいた大前提であり、少しでも安全に不安があるときには、最初から設計をやり直すのが当たり前なのである。
そして、良いものを創って、世の人々に喜んでもらいたいというのが、技術屋魂というものであった。
◆スバル360
話が少しそれる。電子書籍でNHKの「プロジェクトX」が一話100円で読める。スバル360という、富士重工の伝説的名車を作った人々の話を読んだときは、目頭が熱くなった。
50年近くも前に、わずか360ccのエンジン、車の長さが3mにも満たないのに、大人が4人乗って、80kmで高速を飛ばし、箱根の山を登り、10万km乗っても壊れない車を作った人々がいた。彼らは「庶民が買える安全な車を造ろう」と考えた。当初は絶対に無理だといわれていたのに、軽量化、独特のサスペンション、高性能エンジンの開発に成功したのである。
技術者の一人に、奥さんが脊椎カリエスという病気を患っていて、余命いくばくも無いだろうと言われていた人がいた。
しかし、奇跡的に、奥さんは回復した。奥さんはそれまで、背中の痛みのためにほんの少し外を歩くことしか出来なかったが、良くなったのだ。技術者は自分が作ったスバル360で病院に迎えにいった。
奥さんは生まれて初めて、自動車というものに乗り、これが夫が心血を注いできたものであることを理解した。奥さんは微笑んで、云った。
「車って、いいものですね・・・。」
◆渋滞が起きてはいけないから、と社葬をさせなかった本田宗一郎。
本田宗一郎は、周知のとおり、一代で、「世界のホンダ」を創った人で、あまりにもいろいろなところで語られているから、詳しくは語らないが、経営者としての、本田さんというよりも、とにかく車が好きで、好きで仕方が無い本田さん、の逸話が魅力的だ。
引退後、奥さんとハイキングに出かけて、本田さんは絵も描くからスケッチブックに写生をしていたら、かすかに、スターターを回すのにエンジンがかからない、トラブっている車の音が聞こえると、もう、いてもたってもいられないのである。スケッチブックを放り出して、車を探して走っていって、俺に任せとけ、といい、赤の他人の車のエンジンルームを覗き込む。そして、直してしまうのだ。
自分が、あの大ホンダの創業者だ、なんていうことはどうでもいいのである。
しかし、車を作る人としての、社会的責任は、十分に自覚していた。立派だったのは、死ぬ前に、自分が死んでも、社葬などするな。車を創ってきた人間として、交通渋滞を引き起こすかもしれないようなことを、させるわけにはいかない、といったことだった。
本田宗一郎さんがご存命でなくて、良かった。三菱自動車のこの不始末は、本田さんには同じ、車を作る人間がしたこととは思えないだろう。ものすごく嘆いたことであろう。
◆日本の製造業の顔に泥を塗るな
と、いっても、もうすでに塗ってしまったが。三菱自動車がやったことは、事故を引き起こしたという直接的な責任だけではない。「日本の製品は安くて丈夫で、安全だ」という、世界に冠たる「日本の製造業」。世界に日本を見直させた、「日本の製造業」の歴史に傷をつけたということなのである。
2003年06月11日(水) 「金融庁、監査法人の査定に介入か」小泉首相も知らぬフリをしてはいけない。