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2004年05月21日(金) |
「京都議定書批准を急ぐ ロシア大統領が言明」遅いのだよ。皆、分かっていない。 |
◆記事1:京都議定書批准を急ぐ ロシア大統領が言明
【モスクワ21日共同】ロシアのプーチン大統領は21日、地球温暖化防止のための京都議定書批准を急ぐ方針を明らかにした。モスクワで開かれたロシアと欧州連合(EU)の首脳会談後の記者会見で述べた。
具体的な批准の時期は不明だが、ロシアが実際に批准に踏み切れば、「死に体」となっていた京都議定書は息を吹き返して発効が可能となり、遅れていた温暖化ガス排出削減への国際的な取り組みがようやく動きだすことになる。
EUとロシアはこの日、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟に関する2国間交渉で合意、加盟条件などを定めた議定書に署名した。ロシアはEUとの交渉で、WTO加盟を京都議定書批准の前提条件と位置付けており、加盟問題の進展を受け、議定書批准に前向きな姿勢に転じたとみられる。(共同通信)
[5月21日22時11分更新]
◆記事2:小池百合子環境相のホームページより、抜粋。
温暖化対策も資源問題という点では同じだ。
日本はもてる高い技術力によって温室効果ガスの削減目標に近づけることができる。そのためにも“環境ショック”による“環境革命”を起こす必要がある。
すでに日本には、環境に絡んだニュービジネスが続出している。
環境保護に関するNGO,NPOも、おびただしい数を数える。かつては3K的な扱いだった環境ビジネスだが、いま環境は“カッコいい”ものと考える人が多くなった。カッコいいものは流行るとすると、環境ビジネスを発展させ環境革命を起こすには、それこそ“環境”が整ってきたのではないか。
◆記事3:地球環境概況2000「地球温暖化対策は、恐らくすでに手遅れ」
抜粋。
【地球環境の現状】
● オゾン層破壊 : フロンによるオゾン層破壊の進行
これまで放出されたフロンガスなどにより、2010〜20年に最大3分の2が破壊され、本格的な被害はこれから(NASA)。
・ 今後、有害紫外線Bが増加し、皮膚ガン、免疫の低下、白内障などが増加。農作物・漁獲も減少。
● 地球温暖化 : 石油などの大量消費で、1990年代後半の大気中の二酸化炭素濃度は過去最高に。
・ すでに温暖化が始まり、異常気象、洪水、干ばつなどが頻発。
・ 先進国の温暖化ガス削減目標を決めた京都議定書の達成は難しく、地球温暖化防止はすでに手遅れ。
● 化学物質汚染 : ダイオキシン、環境ホルモン、農薬、有害廃棄物などの汚染が深刻
・ 世界で年間500万人の急性農薬中毒が発生、さらに空気、水、食べ物、土にも汚染が広がり、ガンや生殖異常などが増えている。
・ このままでは2050年には環境中に出る有害物質の量は現在の3倍以上になる。
● 森林破壊 : 乱開発、商業伐採によって世界の原生林は80%が失われ、熱帯林の破壊はすでに取り返しのつかない状態。
・ 森林破壊や過耕作、過放牧などで世界中の土地で劣化が進み、世界の20%の土地で砂漠化が深刻、農業が困難となり10億人の生活に影響が出ている。
● 生物種の絶滅 : 開発や森林破壊によって、ほ乳類の25%、鳥類の11%が絶滅の危機にあるなど、現状の生物多様性を保つことさえ既に手遅れ。
● 食料危機 : 農業の生産力は水不足や農薬、化学肥料による土の劣化ですでに頭打ち、農地も人口増化、都市化によって減少している。
・ 地球温暖化、森林破壊などで、今後農業の生産力はさらに低下、食糧が不足する。
・ 漁獲量も乱獲によって頭打ち、2050年には需要が倍増し、不足が避けられない。
● 水資源の不足 : 農業や工業、都市化で水が大量に消費、多くの河川が枯れるなど各地で水不足が深刻しており、このままでは2025年に人口の3分の2が水不足になる。
【今後の予測】
・地球温暖化、森林破壊、砂漠化、水資源の不足などほとんどの環境問題はすでに取り返しがつかない。
・今後50年で人口は30億人増加、このままでは資源消費が増大し21世紀には環境問題はさらに悪化。
* このままでは、資源の枯渇、環境破壊、食料危機は避けられない。―→ 資源、エネルギー、食料を大量に輸入している日本は最も危険。
◆コメント:皆、のんきすぎる。環境問題というから軽く見る。人類滅亡問題というべきだ。
地球環境概況2000の概要を読むと、冷や汗が出てくる。専門家によって組織された国際機関が発表したあらゆる種類のレポートのなかで、これほど絶望的なレポートというのは、皆無であろう。
地球温暖化の影響については、上のリンク先を読んでいただくとして、各国の中枢にいるやつらの、認識の甘さには、唖然とせざるを得ない。
ロシアのプーチンは、去年の秋に、「地球温暖化は、ロシアではオーバーがいらなくなって都合が良い」と、一国の指導者としては、恐るべき無知ぶりを晒して大恥をかいた。
今回、急にロシアが、京都議定書を批准すると言い出したのは、地球温暖化の本当の深刻さを正しく認識したからではない。WTO(世界貿易機関)に加盟したくてしかたがないからだ。
自由貿易の世界に入れば、貿易関係において、他国から最恵国待遇をうけられるのである。そして、WTOに加盟する条件には、環境問題に取り組んでいることが含まれているのだ。プーチンは今でも、地球温暖化が何をもたらすか、知らないに違いない。
日本も、しかし、あまり他国のことを笑ってはいられない。日本が排出するCO2はアメリカ、中国、ロシア、よりもずっと少ないのだが、京都議定書を採択した国家として、現状を正確に把握しなければならない。
ところが、小池大臣の文章を読むと、絶望的だ。
「いま環境は“カッコいい”ものと考える人が多くなった。カッコいいものは流行るとすると、環境ビジネスを発展させ環境革命を起こすには、それこそ“環境”が整ってきたのではないか。」
あのねえ・・・・。カッコの問題ではない。人類が滅亡するかもしれない、という問題なのだ。
マスコミも似たようなもので、今日の日経を読んだら、春秋というコラムには、「そろそろ、地球温暖化に本気で取り組む時期かもしれない」と書いてあった。全身の力が抜けていくような感覚に襲われた。国連が5年前に地球温暖化対策が既に手遅れといっているのを、この大新聞の論説委員は知らないのである。
イラク戦争がたとえ終わったとしても、アラブイスラエル紛争が奇跡的に解決したとしても、北朝鮮に拉致された日本人が全員無事に戻ってきたとしても、日本経済が、回復したとしても、人類の存続が危ういのでは、何の意味も無いでしょう?
あと、21年で、世界中の人間の3分の2は水不足に苦しむのですよ。人間は、直面する問題が深刻すぎると、そのことを考えるのが恐ろしいから、無意識下に抑圧してしまう。だから、なかなか、対策が進まない。
しかし、生きていたいのなら、環境問題は全人類の最優先、極超緊急課題なのだ、ということを正確に理解すべきだ。
2003年05月21日(水) 「松浪議員「暴力団と知らず」=給与肩代わりを陳謝、辞職は否定−政倫審」知らない訳が無いだろう。