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JIROの独断的日記
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2003年10月22日(水) <科学技術予算>ニュートリノ研究は最低評価 総合科学技術会議←実利をもたらさなくても大切な研究なのだ。

◆記事:
 国の総合科学技術会議は17日、各省から提出された科学技術分野の来年度概算要求(198項目)について、優先順位付けをした結果を公表した。財務省が行う来年度予算案の編成に反映される。最優先すべきSランクには、国際熱核融合実験炉(ITER)や高速増殖炉「もんじゅ」の改造工事など32件が選ばれた。なぞの素粒子ニュートリノを人工発生させて性質を探る文部科学省の計画など16件は「見直しが必要」な最低のC評価を受けた。

 評価は、S評価を最高に、A、B、Cの4段階でランク付けする。

◆所感:ノーベル賞を取ってしまった研究に用は無いということか。

 ニュートリノという素粒子は地球の内部からも出ていて、珍しい存在ではないけれども、超新星が爆発するときにも放出される。小柴名誉教授がカミオカンデを作っていたおかげで、17万年前に爆発した超新星から飛んで来た、つまり他の天体から飛んで来たニュートリノを人類史上初めて観測することに成功した。それが、小柴教授が昨年ノーベル賞を受賞した理由である。

 小柴教授はニュートリノから宇宙を研究する「ニュートリノ天文学」の創始者であり、文字どおり、世界的権威である。現在は教授の弟子や孫弟子たちが研究を推し進めていて、さらなるノーベル賞受賞も十分あり得る。

 とにかく、日本はこの分野において世界のトップレベルにいるというのに、科学技術予算において、最低ランクに位置付けされるというのは、まず、小柴教授に失礼だ。既にノーベル賞を取ってしまった研究に用はない、といわんばかりではないか。そして、基礎科学はすぐに市民生活の役に立たないから、予算をやらないというのであれば、「日本人は金に結びつくことにしか投資しない」、と軽蔑されても仕方が無い。

 カネにならないこと、役に立たない事でも、人間に必要な事はたくさんある。役に立たないというなら、音楽も、美術も、映画も、文学も役に立たない。そういうことには見事に背を向けるのが、日本政府と木っ端役人どもの基本的な姿勢である。

 小泉内閣総理大臣は、演説の際にしばしば昨年のノーベル物理学賞、化学賞受賞に触れて「日本人は素晴らしい」などといい、今年の8月にはスーパーカミオカンデを見学しているが、この研究の意義が全然わかっていないとみえる。こんなことは、首相の鶴の一声で、「ニュートリノ研究はSランクにせよ」といえば済む。

 小泉という人はそれぐらいの機転も利かない人物なのである。


2002年10月22日(火) 「・・・だから、清の墓は小日向の養源寺にある。」

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