ストッキングをかぶったウサギの大犯罪 長い耳は(そのために作られたように)完璧に奥まで納まり わずかなたるみも作らなかった そのあまりの完成度に 白昼行われた犯罪 大勢の目撃者にもかかわらず ウサギはらららと逃げおおせた +++++ 白い昼、 わたしの眼は潰れたのだろうか、 かげろうさんが横ぎる、 幻のような すみれいろの陰が 瞼のすみにおちる、 +++++ 永遠スキップにはもう疲れた +++++ リンドさん、 真昼のベンチで手を広げて 僕らを迎えた リンドさん、 僕らは毎夜 小花柄の夢にうなされる、 その柄は彼女のギャザ・スカアトとして 僕らの夢で繋がっている +++++ カモメが死ぬのは白い昼である。 +++++ 獏は、ほがらかに跳ねることを、もはや、やめてしまった +++++ 獏の夢見に関する物語 語りはじめる前に、 僕たちはまず「闘争」について思い出さねばならない。 次に、群青色の絵を思いうかべ そこから連想をはじめねばならない。 そして、過程がどうであれ、 最後には潮で錆びた城にたどりつかねばならない。 そのときようやく、僕たちは獏の、咳こむような寝息をきくことが出来る。 +++++ ウサギは両耳を大きく水平にして飛び降りた。 けれども僕らは、堤防に転がった彼の亡骸をカモメと判断してしまったのだ。
うみ + home
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