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■ エーシーオー沖縄『与那覇家の食卓』パンフレット掲載文
演出の戯言「つづけていくこと」
復帰50年企画の最後を飾る伊波雅子作「与那覇家の食卓」、
エーシーオー沖縄は、この一年八面六臂の活躍、13本の公演からりっかりっかフェスまで開催し、「カタブイ、1972」では東京で今年度一番面白かった作品にも選ばれ（すごい！）、エーシーオーに関わったキャストスタッフさんたちの受賞も続いている（すごいすごい！）。
拙作も「島口説」に「はてしない物語〜オキナワでゴドーを待ちながら〜」と脚色・演出の機会をもらい、「与那覇家の食卓」の演出で企画の最後を飾る。なんとめでたい。
しかし忘れてならないのは、復帰50年企画はこれで終わるけれど、結局のところ、沖縄は復帰50年より後も、問題のるつぼのまま「続いていく」ということなのだ。何もかわらない現実がそこにあるからこそ、「命の薬」である物語の効用も必要とされる。本土でも今年度は「ちむどんどん」をはじめブームのように沖縄モノが扱われ、良くも悪くも脚光を浴びた。しかし「かわらないおかしなこと」をちゃんと発信し「続けていくこと」が第一義であるなと改めて思っている。継続は力なり―
今回の座組の豊かなモノづくりを体感しながら、「継続」することの大切さと貴重さを感じている。多様性がいわれる世界でも、キャストスタッフ出自も専門も年齢も経験も各々まったくちがう面々で、お互いを認め尊重し、微に入り細に入りこだわれるクリエーションは「継続」してきた「信頼」の上にこそ成り立つものなのだ。様々の縁でこの機会をいただけていることに改めて感謝します。
さあ、一筋縄でいかない与那覇家の食卓で起きる一筋縄ではいかない人物たちによる一筋縄ではいかない珍騒動、イズミ、ノブ、そしてオキナワの行く末やいかに⁉
どうぞ最後までお楽しみください。
藤井ごう
2023年03月30日(木)
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