スカーレットの心のつぶやき
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去年父を亡くして一人暮らしをしている母の夕食にと思い、
豚汁を作って小さな鍋に入れて持って行った。
翌日、母は「美味しかったよ、有難う。これはおとみよ」と言って、
アーモンドチョコレートが一箱入った鍋を返してくれた。
「おとみ」という言葉は、
聞きなれない言葉だったので母にその意味を尋ねた。
母は、「人様から何かをいただいたら、お礼の気持ちで、
何かを添えてお返しをすることよ」と言った。
そういえば、昔は皆そんな付き合いをしていた。
私が幼い頃住んでいた家は、
戦後建てられた市営住宅で長屋だった。
そこに住んでいる人たちは、
まさに「遠くの親戚より近くの他人」の言葉の通り、
親密な付き合いをしていた。
お互いに調味料を貸し借りをしたり、
晩御飯のおかずをおすそ分けし合っていた。
そして、いただいたものへのお返しが何もないときには
マッチ棒を三本お皿の上に乗せて返したりしていたことを思い出した。
昔に比べると、
人との付き合いは随分希薄になり「おとみ」という言葉は死語になった。
でも昔のような人情味のある付き合いをしたいものだ。
スカーレット
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