スカーレットの心のつぶやき
つぶやき 目次|過去|未来
| 2006年10月22日(日) |
もうひとつの男と女の話 |
一組の夫婦が居た。
傍目には他人も羨むようなカップルだ。
男は背も高く見た感じとても優しそうでハンサム、
女も美人でお似合いの夫婦だ。
しかし、男には女に言えない過去があった。
男の母親は中学生の頃に亡くなり
男の父親は再婚して新しい女が母親として家に来たのだ。
亡くなった母に比べて年の若い新しい母は
男にとって女と感じる存在だった。
男の子の思春期だった男は
いつの間にか新しい母のことが気になって仕方なくなった。
新しい母も自分よりも年上の夫より
若くて可愛い義理の息子の方に心が傾いてしまった。
男の父親は自営業でその仕事のために時々家を空けた。
男の部屋の隣で母が寝ている。
ドア一枚で仕切られた隣の部屋から聞こえる
母の寝息が男を苦しめた。
男は母が欲しくてたまらなくなった。
絶対にいけないことだと思いながらも
母を抱いた時のことを想像すると
夜もろくに眠ることが出来なくなった。
男にとってそれは拷問に近かった。
昼は中学へ行き勉強しないといけない。
でも、眠れない日々が続くと次第に集中力が落ち、
妄想や雑念にとり付かれると気分も落ち着かなくなり
学校の成績も落ちていった。
男の母はそんな息子の気持ちを分かってはいたが
やはり母として許されないことだと思い
男と二人の時間をなるべく持たないようにしていた。
男の父はそんな二人の気持ちなど考えたこともなく
新しい母親が息子にとって良い存在になっているのか?
息子は母親と喧嘩せず上手くやってくれるのか?
それだけが気になっていた。
傍で見ていると母親は義理の息子のことを丁寧に扱い、
気配りもしてとても良い母親ぶりを発揮しているように思えた。
一方、息子の方は無口で愛想はなかったが
母親に話しかけられると返事もするし
嫌そうな顔もしないで普通の母と息子の関係になっているのを見て
安心して外の仕事に出かけることが出来た。
たまたま、その日は台風が来ていて嵐になった。
父親は数日前に出張していて帰宅していない。
外の風の音、窓ガラスを打つ雨の音は激しく
大人でも不安になるほどの嵐の夜だった。
男はいつものように母のことが気になって悶々としていた。
母もまた台風が怖くて眠れない夜を過ごしていた。
母は息子のことが気にならとうとうドアを開けてしまった。
男は驚いた。
目を開けてみると母が自分のベッドの傍に立っている。
どうしたの?とも聞けずただ黙って母を見つめた。
母は「大丈夫?」と息子に聞きその手を息子の布団にかけた。
母にしては心配しての行為だったが
息子にとって心の引き金を引くきっかけになった。
そして、とうとう母と息子は一線を越えてしまった。
血のつながりはないにしても母と息子には違いない。
そんな二人が禁断の果実の味を覚えてしまったのだ。
その後の二人のことはここで書くまでのことはない。
父親の留守を狙って二人の関係はエスカレートしていき
男が結婚してからも母親との関係は続いてしまった。
外から見たのではどんな夫婦でも分からない問題がある。
その男の妻は自分の夫とその母親との関係を何も知らない。
男は妻にやさしく妻の母親が来ても歓待してくれる。
だから女は夫の優しさと愛情を信じている。
男と女の間には成人した二人の娘が居る。
一人は県外で一人暮らしをしているが、
そんな娘が引きこもりになり人間関係に悩み
仕事もやめてしまった。
そして自殺未遂をするようになって家に連れて帰った。
男はそんな娘が不憫でたまらない。
何故可愛い娘がこんなことをするようになったのか・・・
悩み苦しんだ。
原因が理解できなくて医者に相談にも行った。
そして、その医者から娘が小さい頃からの
家族関係を尋ねられて初めて気づいた。
自分と母親との関係、
自分と父親との関係、
そして夫婦の関係。
それらの集大成がこうして娘の症状に現れてきたのだと。
今、男は自分自身を振り返り、後悔の日々を送っている。
そして、自分の妻には言えない辛い過去を引きずり
一生重荷を背負って生きていくことが
娘に対する償いだと思っている。
神はこの男に罰を与えたのだ。
スカーレット
|