「……爪が割れてしまったわ」 シェリーの呟きに、ブラゴは鬱陶しそうに答えた。 「爪ぐらいで文句を言うな」 「ぐらい、じゃ済まないことだわ。“ベルモンド家のご令嬢は爪の手入れも満足にできない”なんて言われてしまうのだから」 「フン、くだらん」 「…あら、あなたも丁度、爪が伸びているんじゃなくて? もともと鋭い爪だけど、それぐらいになるとそろそろ不便でしょう」 「構うな」 「削ってあげるわ、ブラゴ」 シェリーはくすりと笑った。 「いらっしゃい」 ブラゴはきまり悪そうに視線を反らして溜息をついた。 -- メモを発見した。
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