「んで、無事お友達になれたワケです。ちゃんちゃん♪」 「そりゃ良かったな」 唄うように言葉を締めくくった千石に視線をやる事すらなく、南は相槌を打った。ノートにシャーペンを走らせて文字を綴っている彼は、自分の前の席で延々と自分の作業の邪魔をするような行動をとっている千石に対して冷たい反応を返す事に決めていたのだ。 しかしそのつれない態度に千石はムッと表情を曇らす。 「何、リアクション薄いね……さすが地味'Sの片割れなだけあってリアクションも地味だ」 「失礼な事さらりと言うなよお前……別に、俺は興味ないだけ」 「えッなんで! 俺が殴られたらどうしようとか、そういうのはないわけ?」 か弱いキヨたんが亜久津に襲われたらどうしてくれるの!と再びテンションを高めたように高い声をだして抗議する千石に、南は思わず手を止めて彼の顔をまじまじと見た。 「……お前が?」 「……その視線はどういう意味…?」 「……そういう意味…つーかお前さっさと練習行けよ。さぼんなよな、エースのくせに」 そして書く事をやめたシャーペンを手の上でくるくると回しながら、南は深く溜め息をついた。 「南だってさぼってんじゃん」 「俺はお前とは違って日直日誌のために部活の時間を割いてる」 「……やだなーもう冷たい!南ったら最近つめたい!」 「お前は最近拍車をかけて近寄りたくなくなったな」 「……どういう意味?」 「そういう意味」 「…………ッ南のいじわる!お前なんか死んじゃえ!」 「ぐだぐだ言ってないでいい加減部活行け!」 捨て台詞のように叫んで走り去っていった千石の後ろ姿にむかって、南は思いきり叫んだ。千石の返答は聞こえなかったが、恐らく部活には出るだろう。 静かになった教室内で、南はもう一度深く溜め息をついた。 * 恋愛〜の。もう千石と亜久津親子ぐらいしか出ない話にしようと思って没。
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