血の色が見たかった訳じゃない。 そんな訳じゃ無かった。 ただ、彼を殴り殺してしまいたかっただけだった。 拳骨が頬骨にあたってミシ、と骨が軋むような音をたてた。しかし千石は気に留める事無くもう一度その顔を殴った。左手で、同じようにさらにもう一度。 骨の軋むような音と感触、口の中を切ったらしい彼の唇から垂れた一筋の血液に、千石はひどい興奮を覚え、舌舐めずりをして、ニィと唇の端をあげて笑みを浮かべた。 「ねぇ、わかんないの?いいかげんわかりなよ、亜久津」 最後に呼んだ名前は、千石が思った以上に冷たい声音になった。 -- 以前言っていた路上生活者とゴクアク。 次はコレ。多分コレ。 書けたら更新するけどいつになるのやら……さっぱりだ。
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