たとえば亜久津は俺を千石とかお前としか言わないが、たまにキヨとか呼んでくれる。でもそれは一時の事で、ふ、とその言葉を聞いたかと思うと、次はいつもどおりに戻っていたりする。 そしていつもその言葉の残り香に、俺は寂しさを覚えるのだ。 もっともっともっと呼んで欲しい。 もっと俺を必要として、もっと俺の名前を呼んで。 もっと俺を見て。 もっと傍にいさせて欲しい。いて欲しい。 変わらないで変えないで。 けれどもそれはなかなかむずかしいもので。 たとえば今日亜久津の機嫌が良くても、俺がその気分をくずしてしまったりとか、そういう所でも実感する。 現状維持とはむずかしい。 だから今日の君との関係をいつまでひきづれるかなんて検討もつかないし、明日には違う関係かも知れない。 時は連続していく過程で誤差が生じるものだ。 恋人だったり親友だったり他人だったり師弟関係だったり、予想なんかつきやしない。 現状維持なんかできない。 そんな事はむずかしいし、くだらない。 定まらない明日には希望がある。夢が生まれる。望みが生まれる。 現状維持では何もない。変わらない。 それがいい状態でも、悪い状態でも、維持するだけでは進めない。 それはただの言い訳かも知れないのだけれど。 -- また微妙なものを…これは一体何なのか… もうしわけなひ。 明日はまだまとも…だと思うよ、下書きあるし。
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