亜久津と喧嘩した。 「………クソ…」 殴られた頬が(というよりも体全体)やけに痛い。 そんなに派手な喧嘩じゃなかった。 ただ、殴りあって、蹴りあっただけ。 口元を切った所為で、血の味がする。 白い制服も、所々血が垂れたりした血が滲んでいる。 それは千石自身の血か、亜久津のものなのかはっきりしないが、もう生々しさは薄れ、黒ずんできていた。 屋上のフェンスに寄り掛かって、ズボンのポケットに手を入れ、煙草とライターを取り出す。 空を煽ぎつつも、火をつけた煙草をくわえ、ゆっくりと吸い込む。 そしてゆっくりと煙を吐き出す。 吐き出された煙は徐々に暗くなってきた空に溶けて、消えて行く。 「………あーあ」 ――…マズイ事をした。 やっぱり、原因は、俺であって、悪いのは全部俺だけど。 完全に拒絶されてしまった。 --- 「………クソ…ッ…ふざけやがって…」 いら立ちをぶつけるように、側にあったゴミ箱を蹴る。 中でガシャリ、と缶がぶつかる音がした。 もうすっかり夜空になりかけている中で点灯している自動販売機の光がやけに目に痛く感じる。 亜久津は無言のまま、自販機の缶コーヒーのボタンを押す。 ガシャリ、と音を立てて缶コーヒーが取り出し口に落ちてきた。 それをすこし屈んで取り出し、プルタブに指をひっかける。 ホットのコーヒーは、いつもよりも暖かく感じられた。 喧嘩の痛みなんて大した事は無い。 これぐらいの傷は日常茶飯事だ。 だが痛みはそれだけによるものではなく。 「………ッ」 胸が痛む。 心が痛い。 苦しい。 泣きたいと思うぐらいに。 ――…まさか強姦されるとは思っても見なかった。 だが、それは事実で。 それは今、亜久津の体の痛みが事実だと証明していて。 +++ な…シリアス……になったね…(元からネタ的にどう考えてもシリアスだろうが) 関係ないけど鉄拳さん(お笑い芸人)素敵すぎるよね…+
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