恋愛なんてただの言葉だ。 そんなものに命をかけたりなんて絶対に出来ないと思う。 かけられるほうが、馬鹿なんだ、と思う。 そんなのどうせ遊びだろ。 「ね、亜久津はどうおもうのよ?」 「何が」 「俺と、キスしたりヤったりするのを」 「…………どういう意味だかわかんねー」 「……幸せ?嬉しい?嫌?」 「…………………わかんねーよ」 「えーそんな事ないでしょ?自分の事なんだから。」 「……大体てめェがいつも押し切ってるんだろう?」 「そうだけど」 彼は煙草をふかして言った。 少年は彼の背中から、腕を回して抱きついている。 彼はうっとおしそうに少年とは反対の方向に顔を向けている。 吐き出した煙草の煙が、気味の悪いぐらい晴れた空にに溶けて行く。 「…………テメェ、はどう思ってンだよ」 「……幸せだよ」 「…あっそ」 「…………でもわかんないな」 少年は彼の首元に埋めていた顔をあげて、正面を見て言った。 「俺、亜久津の事好きかわかんない」 「…そうか。」 彼はどうでもよさそうに言った。 冷たい反応を無視して、少年は続ける。 「俺ね、好きだって言ったの。色んな人に。おかーさんとかおとーさんとか。女の子達に。……ペスに。」 「ペス?」 「死んじゃった犬」 「ふーん」 「ていうか殺しちゃった犬」 「………………は?」 「たぶんね、一番好きだったの、ペス。でも、」 少年は『殺した』という言葉に反応して自分のほうを見た彼に、言葉を続けて笑いかける。 「殺しちゃった。好きだから。」 楽しそうに、笑う少年を見て、彼はうんざりした顔で少年から顔をそらした。 「………お前そんなのばっかりな」 その横顔に少年は軽く口付けをした。 「ね、俺さ、亜久津の事殺したいって思うのね。」 「…物騒な事いってんじゃねーよ」 「…ごめんね、本気なの。けど、多分ね、俺の中ではこれが『好き』なんだと思うんだ。」 「………こえーな」 「えへへー…でも…殺したりできないかもしれないなー…好きすぎて。亜久津いないと寂しくて俺も死んじゃうかもー…」 「馬鹿か」 好きと言うのは、どんなものか知らない。 だから見下したり、馬鹿にしたりできる。 愛なんて言葉はむずかしすぎてわからない。 だからこれも必要ない。 きっとこれも、ただの遊び。 恋愛なんてただの言葉だ。 そんなものに命をかけたりなんて絶対に出来ないと思う。 かけられるほうが、馬鹿なんだ、と思う。 『そんなのどうせ遊びだろ。』 それは俺が言った言葉なのか、それとも彼が言った言葉なのか、もう良く判らなかった。 ++ 関係ないけど非婚家族、好きです。 むしろ真田氏が好きなのです。ただたんに。 タブロイドでも同じようような事を言っていた記憶が。 というかゴクアク書き易い。 キャラクター捏造しやすくて(それはゴクアクではない) というかそもそも私の書くものはゴクアクなのか。 ……下手するとアクゴクかもしれない。 精神的には、多分アクゴクくさい。 …や、ゴクアク色のほうが濃いと思うけど。
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