短いのはお好き? 
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2004年08月12日(木) The heart has a chip in the edge.











あの男の声が未だに頭のなかで木霊しつづけている。





「あなたには本当の自分と対峙する勇気がありますか?」





そう言われたぼくは、たぶん泣き笑いみたいなおかしな表情をしていたにちがいない。自分でもそれがよくわかった。




普段ならば滅多に感情を表にだすことなどなかったが、このときばかりはちがった。







勇気を奮ったところで鏡のなかの自分と対峙することなど、到底出来そうにないことはわかっている。







正視できるはずもないからだ。






それでも怖いもの見たさ? で、鏡のなかの自分を上目遣いでチラリと盗み見てみる。





案の定、そいつは、セーラー服を着ていた。それにプリーツのミニスカ。薄化粧。でも、口紅は唇から無残にはみ出し、いぎたなく滲んでいた。





本当にこれが自分なのだろうか。






すると、あまりにもオゾマシイ映像が金属的な音をたてながら、脳裏にフラッシュバックした。







あまりの惨めさに鏡のなかの自分に唾を吐きかけた。






不意に大きな鏡を粉々に叩き割りたい衝動にかられる。





周りを見回してみても叩きつけられそうなものは何もなかった。





やがて、ごく自然に頭を鏡に打ちつけはじめる。






意味もなく涙が頬を伝い降りてゆく。鏡が先に割れるか、額が先に割れるか、どっちに賭けようか…。









頭を打ち付ける鈍い音だけが、がらんとしたパウダールームに響いていた。








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