短いのはお好き? DiaryINDEX|past|will
そういえばこのごろ小さな人にあっていないけれど、なぜかこちらが会いたいと思うときには、必ず現れてくれたように思う。でも考えてみると実際は彼がちょうどうまい具合に現れてくれたのではなくて、ぼくの方が彼の周波数に合わせたということではないのだろうか、とぼくは考えた。 つまり、小さい人はいつでもぼくのそばにいるのであって、それが見えないのはぼくの方にこそ問題があるのだということに、うすうす気付き始めたというわけだ。 たぶん、ぼくが機嫌が悪いとき、つまり、不平不満を洩らし人を思いやる気持ちや笑顔を忘れている、そんなときには絶対ぼくには小さい人が見えないのだと思う。 小さい人って、やっぱり天使なんだろうか。 羽の生えてない天使か。 と、そこでボクは大きく目を見開いた! キッチンの隣りにある和室のフスマの陰から、猫のチャコの背に乗って意気揚々と現われたのは、まさしく小さい人、その人だった。 ボクの耳には高らかに鳴り渡るトランペットの音すら聞こえてくるようだった。 小さい人は、チャコの首の周りに太めのネックレスみたいにぐるりと生えているそこだけ色のちがう黒い毛を手綱がわりにして掴まり、チャコとなにやら会話しているようだった。 こんなに間近に、それもなんの遮蔽物もなく小さい人を見られるなんて本当に今日はラッキーだと思った。そういえばTVで今日のラッキーカラーは、黄色といっていたけど、小さい人は山吹色のちゃんちゃんこみたいなものを着ていた。ベストのようにも見えるけれども、前みごろのところでちょうちょう結びがしてあった。 チャコが足を止めると、次の瞬間小さい人は軽やかにリノリウムの床に飛び下りた。それからなんとぼくの目をまっすぐ見つめながら、こちらに向かって歩いてくるではないか。 ぼくは、思い切りfreezeした。なんて声をかけたらいいんだろう。 すると小さい人は、開口一番こういった。 「あのぅ、鼻毛が飛び出してますけど…」
|