母のタイムスリップ日記
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2007年10月14日(日) ある予感…


 施設に着いて静まり返っているホールに入ると母と目があった。
母は「ここだよ!」と言わんばかりに手を挙げ 立ち上がろうとした。直ぐそばに行くと 手を上げた訳が直ぐに判った。
手を引いて トイレへ直行。
お尻をポンと叩いて「ここだね」というと頷いた。

既に出た後だったが あと1.2分前に着いたらグットタイミングだったなぁ〜。もう少し 早く出れば良かったと反省。

母の機嫌は 少し落ち込み気味。
私が動く度に 気にしている。

いよいよ 気温が下がってきたので 秋物の衣類に入れ替えた。
薄手のジャンバーも出しておいた。
衣類の入れ替えをしている所を母は ずっと見ており服が出されるとどこかなつかしげにみていた。
時折 言葉を出すのだが 意味は不明。
「…かちゃかちゃくちゃ」と言ってから「かちゃくちゃだって…」と笑いだした。言い間違いに気がついたのだ。それも おかしいと笑った。
それでも 言いたかった言葉は出ない。

入れ替えが済んで 洋服を厚めに着せた。
丁度 おやつになったのでみんなとおやつを食べる。
この所 自力で食べる事がなくなり おやつすら自力で食べようとはしない。
おやつのお皿を口元に運んで食べようとしたので「あれれ」とお煎餅を手に持たせた。
すると自分で食べ始めた。
でも次に続かない。一口食べ 口の中が空っぽになっても 手にしているお煎餅を口には運ばない。
「自分で食べようね」と母の手を口に持って行くと思い出したように食べる。

食べる事が大好きだった母が少しずつ変化してきている。
お茶も時折噎せる。
喉がいがらっぽいせいなのか それとも嚥下力が落ちてきているのか まだ判断が付かない。
噎せると苦しいので飲むのを少し躊躇っている。
「下を向いて飲んでみてね」と頭を後ろから気持ち押して 少量づつ飲んでもらうと噎せない。
すると 自分から飲もうとし始めた。
自分の状態に気がついているんだと感じる。

この1.2ヶ月 母の様子から悪い予感がしている。
打ち消そうとしているが 症状をみながら自分の腹を決めつつある。
急激に変化して行く事はないだろう。

今日も その気配を感じながら これから先の事をぼんやりと考えた。
噎せることとは関係ないことなのだけれど…。

おやつを食べてから お散歩に出た。
少し早く歩いたら「わたし はやい…」というので気持ちペースをダウン。
でも 普通の速度。結構歩ける。動悸は聞こえない。
遠くに人姿を見つけて「あそこ」と視線を向ける。
3.40分歩いて休息。小山を上って下りて…。
母の疲労は暑い夏ほどではなく 余力が残っている。

施設に戻ると少し嫌な表情。
「判っているんだ。もっと 一緒に過ごしたいと思っていること。
でも あとちょっと待って」と自分に言い聞かせた。
居室に入ると 何時目の前から消えるのかと気にしている母の視線を感じた。

トイレ誘導 手洗い後 ホールへ移動しテレビを見てもらう。
荷物をまとめてそうっと施設を後にした。

秋の風が 母と私の心の隙間にそうっと入り込んできた一日だった。


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