母のタイムスリップ日記
DiaryINDEXpastwill


2007年09月07日(金) 「置いていかないで!!」


朝 サイレンの音で目覚めた。
一瞬火事かと思ったが ガタガタと雨戸の震える音で台風が来ていたことを思い出した。 崖崩れか 増水なんだろう。

家が揺れるような風が吹いて 雨も降って...台風情報を聞きながら寝入ってしまった。
娘は 早めに家を出ると言っていたことを思い出して起き出す。

新聞を取りに出たが 外は緑の葉っぱが散らかっている位で特に大きな変化はなくホッとした。

母は風が嫌いだ。とても怖がる。
昨夜 ちゃんと寝られただろうかと気になった。
何だか 母の母親みたいだな!

家人を送り出して 洗濯機を廻しながら 風が止むすきまに門前の葉っぱを掃除。
昨日室内干しした物をベランダに干しなおした。
まだ風が強いので 洗濯バサミでしっかり留めて。

昼食を摂ってから 川べりに自転車を飛ばして銀行に向かう。
こちらの岸から向こう岸まで濁流が流れている。
鉄橋の橋げたの下をみると濁流が渦を巻いていて凄い勢いで流れている事がわかる。
普段は 中洲が広がって緩やかな川なんだけれど...。

銀行に立ち寄ってから 母の所に向かった。
いつもよりずっと遅め。
母は浮かぬ顔でソファーに座っていた。
職員のお話では 昨夜 殆ど眠っていなくて 起床も大幅に遅れて 起床後もソファーで眠っていたという。

居室のぬいぐるみが動いており 深夜母と共に過ごしてくれたのだろう。

トイレ誘導したが 出ない。
昨日から これまで排便はなかったらしい。
しかし 母の表情は辛そうだった。
無理と判ったので 散歩に誘って外出。

散歩に出るとそれまでモヤモヤとしか話さなかった母にはっきりと
意思を伴った言葉が飛び出す。
公園の小山を上ろうとすると「あそこは 嫌だ」と。
小山を避けて歩くと歩いている人を見つけて「誰か来る」
歩く意思は十分にある。
橋の上のベンチで休息。水分補給。
みかんを剥いて渡すと「全部食べて良いのか?」と聞かれた。
「いいのよ」と言うと 嬉しそうに自力で食べていた。

ひとしきり休んでから また歩き出す。
途中で「歩ける?」と聞くと 聞き間違えたのか「また置いていくの?」と言われ ぎょっとしてしまった。
確かに母にしてみれば 面会の度に置いていかれているんだ。
「一緒だよ!」と言い訳がましく返事してしまった。

またゆっくりと歩き出して...公園で小山を上って降りて 施設に戻った。帰路の小山の前でも大きくため息をついた母だが「頑張ってみよう」と声をかけたら 頑張って上って降りられた。
「頑張ってくれてありがとう」と言ったら こっくりと頷いた。
ついでに「可愛いねぇ〜」と言ったらまた頷いた。
「頭もいいね」と言うとまた頷いた。

以前は 褒めると謙遜していた母。
「頭がいいね」と言えば「頭の形がね」と言い換えるのだったけれどねぇ〜。

施設に付くと 早い人は食事が済んでいた。
遅れてしまったので 職員に御願いして居室で食事する旨を伝えた。
先にトイレ誘導 排尿のタイミングはバッチリだったが 大の方は未だだった。
ゆっくりと食事開始。
しかし 今日は 口の中にモグモグいつまでも残っている。
お魚コロッケ?茹でキャベツ。おから煮。漬物。味噌汁。ご飯。
茹でキャベツはちょっと硬かった。
コロッケの形をしているけれど実際は 練り物の魚ぽかった。
どれもこれも母にとっては 飲み込みにくそうだった。
時折 みかんのひと房を口に入れて 酸味と水分とで少しでも飲みこめるように工夫した。
トマトっぽいゼリーは最後まで残して 汁物 お茶も飲んでもらいながら食べて貰った。
食べ終えて 口の中を見ると大体綺麗に飲み込んでいた。

施設に着いた時 母の口には昼の食事の食べかすが大分残っていて口を濯いでもなお残るほどだったのだ。

一時間以上の時間をかけて食事が済んだ。
全量摂取できた。
口の周りを綺麗に拭いてから 「ありがとうね」というとニッコリ笑いかえしてくれた。
ようやく気持ちも身体も落ち着いた様子だ。
最後に歯磨きをした。
クチュクチュペーもちゃんとできた♪

やっと この数日の借りを返せた感じがした。
母が絵本を手に取ったので そうっと施設を後にした。
チャリを飛ばしてスーパーによって買い物をして家に着く頃には 星が光っていた。
電動自転車の電気が切れて 坂道をヒイコラヒイコラ上って家に着いた。


はな |MAILHomePage

My追加