母のタイムスリップ日記
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朝 電車に乗り込む。 昨夜の電車の風景が過った。 混雑を避けて女性専用車両に乗った。 帰宅ラッシュで座れない事は判っていたので 壁にもたれかかり後方に過ぎていく景色でも見ていこうと思っていた。
隣の列に車椅子の方が並んだ。 隣の列とは 後発電車の列。だから 次の電車に乗るのだろうと思っていたら駅員さんが「次の駅で降りますので入り口付近開けて下さい」と乗客に言うのだが そ知らぬふり…。 丁度通路の真ん中に止める形となった。 「次の駅で降りられるのですよね。出口に近いほうが宜しいでしょう」と大きな声で話しかけた。 するとようやく 入り口付近を空けてくれた。
車椅子の方は次の駅で 当たり前のようにスィと下りていかれた。 ふ〜む 当然の権利を主張と言う訳か…と複雑な気持ちとなる。 電車の乗り降りをする時 ちょっとどいてくれたら さり気無く頭を下げる私には ちょっとした驚きだった。
その人が何処の駅で乗られたのか 全く覚えていないのだが…。 ふと気が付くと通路の片隅に座り込んでいる人がいた。 近くにいた人が「大丈夫ですか?」と声を掛けていた。 始めは「これが娘の言う 酒飲んで気持ち悪そうにしゃがみこみ席譲れアピールする人か…」と思った。 でも よく見ると妊婦さんだった。 「疲れて居られるのだなぁ〜 」と思ってチラチラ見ていると時に辛そうな表情をされた。その内にぺターッと床にお尻をつけてしまった。 再度近くの方が「大丈夫ですか」と声をかけたら 座っている人がザワザワして初めて席を譲ろうとする方も出た。 その気配を車掌さんが察して 出てきた。 「電車が揺れている中の移動は危険です。妊婦さんのようですから…」と伝えると車掌さんは 妊婦さんに声をかけて 直ぐ次の駅に電話をしていた。 近くの人が冷えてはいけないと自分が纏っていた大判のスカーフを膝にかけてあげていた。 駅に着くと 駅員さんが 担架を準備してホームに待機していた。 ここでも 不思議に感じる事があった。 妊婦さんは ドアから離れた所に座り込んでいるのに 担架はドアの所での待機だった。 妊婦さんは 立ったり座ったりを繰りかえす事になったのだ。 担架は車内に入れないと言う規定でもあるのだろうか?
運ばれる担架に そうっとスカーフをかけてあげた人がいた。 車内にいる時から ずっと声をかけていた方だった。 担架の上から 両手を合わせて「有難う」の意思を示されていた妊婦さんだった。
とても暖かな風景だった。 スカーフは 大事な物だったのではないかと思われた。 何となく気になって 手にしている買ったばかりのお菓子を渡そうかと思い悩む。でも 食べ物って渡すのに微妙だ。 見知らぬ人からの貰う食べ物は…。さりとてそれに変わる何かも持ち合わせて居ない…。 妊婦さんを救ったと言う思いが支えになってくれる事を祈りながら 次の駅で電車を降りたのだった。
実は 座り込んだ妊婦さんの直ぐ隣に 若い体格の良い娘さんが座っていた。一度目の「大丈夫ですか?」の声にパッと目を開けて 直ぐ目を閉じられた後は ずっと知らん振りだったのだ。 若しかしたら 疲れていたのかもしれない。見かけで判断するのは良くないけれど…。その方が私と同じ駅で降りた。 元気そうにパッパッと歩かれていかれた。 同じ所に住んでいる人か…と思ったら ちょっと寂しかった。
女性車両のヒトコマである。 娘からは 良く聞いていたが…。 女性車両の人は 病弱な人が多く「緊急です」と言う方も乗り合わせる確立が高いそうだ。 中には ズルでそういう人もいるというし…。 だから 皆 そ知らぬふりが多いという事だった。
あの妊婦さん 無事でありますように…と電車に乗る前に祈った。
用事を済ませてトンボ帰りをして 午後は家族会。 今日は いつもより参加者が少なかった。 嫁ぎ先のお義母様と 離れて過ごすお母様の介護をなさっている方が「今 母のところです。緊急の通院で…」と朝電話を下さった。 心配していたら 夕方 再度電話 「夕方家に戻って来ました。明日また ふるさとに行き通院となりましたので また 出かけてきます」という事だった。 お義母様は 今日から家に戻る筈だったが 日延べしてもらったと言う。これから どうなるか判らないので また日延べしなくちゃ…」と言われていた。双方の親の介護もなかなか 大変です。
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