母のタイムスリップ日記
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利用者さん訪問出ようとしている時に オムツの配送があった。 出かける感じが伝わったのだろう…おじさんが「印鑑だけ貰えば勝手に置いて行くから…」と言ってくれた。 でもこの所 留守ばかりなので申し訳ないので直接受け取った。 おじさんもプレッシャーが掛かったらしく いつもスムーズに出す荷がなかなか時間がかかっていた。 「至急」はやっぱり良くないね♪ごめんなさい♪
利用者さんは お元気だった。 でも お友達と話した事で 気持ちが「どよ〜ん」としていらした。 先日 寄ってくださったお嫁さんの一言を零されたのだろう。 「適度の距離を置いて 良い関係と思いますよ」と先日同様 家族関係が良いと感じると伝えた。 「そうよね。みんな 家族なんか来ないと言っているもの」 「そうですよ 家族がいらしてくださるから つい 余計な事も目に付くだけで…素敵な関係と思いますよ」と励ます。 お話が大分長くなったが 一緒にお買い物に出た。 必要な物を買い求めて買い物終了。 今日は百円玉をちゃんと使っていらした。
「キッチンのお湯が出ない…」と言われたのでチェック。 操作を始めからやり直すとお湯が出た。説明もした。 「今 判るけれど でもきっとまた忘れてしまうわね きっと」と自信なさげ。「これは 特殊ですからね。判らなくなり易いですよ」と励ます。 事実 そうなのだから…。
活動を終えて 一目散に家に帰る。 片付け仕事をしようと思っていた。
が ご飯を食べた後「ふとDVD見ておかなくちゃ」と思った。 「フェスティバルにどうだろうか」と介護者サポートネットワークに提案した手前 必要に迫られての事だ。 普段 ビデオやテレビを観なくなっていて「ヨイコラショ」と言う感じだ。
それに この所DVDの調子が悪かった。 駄目なら娘のMacを使わせて貰うしかないか…と思いながら チャカチャカリモコンを操作した。 暫くして DVDが反応した。 ややや ひょっとしたら…動くかな?
感じた通り 動き始めた。
前置きが長くなったが…。 このDVDは 以前 触れた事のある方であるアルツハイマーの方の映像で有る。
現在79歳。4.5年前 アルツハイマー発症なさったと言う。 わらび座の創始者?横山 茂氏の映像である。
映像は ショーのリハーサルから写されていた。 1人で見ているのだけれど ドキドキしてきた。 ちょっと 病が見え隠れはするけれど 知らなかったら普通にいる高齢者と変わらない。
ロシア民謡が始まった時 つ〜と涙が零れた。 独特の旋律のせいも有るかも知れないが ロシア民謡を聞いただけで泣いた経験はないのだから 訴える響きがあったと思う。 それとアルツハイマーの何たるかも十分過ぎるほどわかっているので…本人や周囲の緊張感はいかばかりか…とも思う。
一曲目だから…と思ったけれど 2曲目も3曲目もずっと涙だった。 「病と言う理由だけでないな」と思った。 おそらく 横山氏のシベリヤ抑留時代の体験が彼の心の奥底から語りかけているからなのだ。 氏が抑留時代に覚えたというロシア民謡。。。 彼の胸に去来する思いが 響いてくるのだろう。
映像は「これでもか」と言うカメラワークはなくて 司会進行する方のドラマチックな語り方もない。横山氏の歌だけだ。 伴奏はピアノとアコーディオンといたってシンプル。
傍らで奥様ともう1人の方の支えが有るが それはタイミングを知らせる役目である。演じるのは彼1人。。
時折 譜面を触ったりの動作が彼が病だから…と思うが それも病そのものを知らなかったら気がつかないだろう。。。
彼の唄う姿に母の唄う姿が重なって来る。 今でこそ 母の歌詞も危うげとなっているが 以前は記憶の底から拾い上げて唄っていた。 歌って こういう作業がよいのだろう。。。 唄っている姿に「認知症」は感じられない。。。 今の母の姿を思い浮かべたら 胸を突かれた。
急変した訳ではない。ゆっくりとゆっくりと。。。 気がついた時 メロディーが怪しくなり 次には歌詞が…。 得意の筈の童謡の歌詞すら1人では思い出せなくなりつつある。
改めて 母の歌を真剣に聞いてくださったデイケアの職員に感謝の念が湧いてきた。1人1人の個性を尊重して拾い上げて下さったあのデイケアの場面が母にとって 何よりも貴重な場所であったと思う。 娘でさえ お手上げになっている時 心砕いてくださった職員。。。
あの場面があったからこそ 親子してここまで来れたのである。
さて DVDの後半で 介護なさって居られる奥様のお話があった。 彼のコンサートは 年9回ほど行っているが コンサートなくとも支度をなさりカバンを持って玄関に行かれるという。 「何処にお出かけですか?」と聞くと「コンサートに行く」と言われるそうである。「今日は ないのですよ」と言うと「わたしは 唄いたいのです」と。だから お家でコンサートなさるそうである。 しかし 聞き手が1人と言うのは やっぱり違うそうだ。
アルツハイマーであっても 出来る喜びを感じ 聞き手の感動も感じ取れているのだなぁ〜。ほんとに 教えられる事が多い映像だった。
彼の身にも 少しずつ病の進行が見られるとこのDVDを貸してくださったケアマネさんが言われていた。 どうか 少しでも長くよい状態が続きますように…と祈らずにいられない。
この歌声を多くの人に聞いて貰いたい…そう願わずにいられない。。。
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