母のタイムスリップ日記
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2004年04月13日(火) お腹の中に人がいっぱいいる?

 2004.4.13日朝日日刊「伝える言葉」より
『人間は、思い込みと自分らのつくり出したものの機械となって突進する。
その勢いを、人間は誤まりやすいと自覚して、ゆるめようと努めるのが寛容。…』大江健三郎

これは、イラクの人質問題に触れてある記事の一部である。
この記事を読んで涙が出てきたのだが…。

最初のこの一言は、時折入り込む自分の様を言い当てている言葉と感じたのだ。つまり、私は不寛容体質で かなり意識しないと寛容になれない。
誤りやすいと自覚して、ゆるめようと努める作業は、時として自分の都合の良い方にゆるめがちになってしまう。
自戒を込めて、この言葉を心に留めておこうと思った。

母の所に出向くと母は着ているトレーナーの中に編み物を入れて窓辺に立ち上がった所だった。
「○○さんどうしたの?」と職員が母に声をかけた所だった。
振り返って私を見つけた母は、今にも泣き出しそうだった。
居室に連れて入り抱きしめるとウォンウォンと泣き出した。
「どうしたの?」と聞いても「何でもない」と言うばかりである。
「お腹痛いの?」と聞いても「痛くない」と言うばかりだった。
「寂しかったの?」「うん」
でも、こういう時は 排便の兆候のあるときだろうと思いトイレに誘導した。「お腹の中に人がいっぱい入っている」とお腹を撫でている。
「?」という感じでいると また同じ事を言うのだった。
こちらから「お腹の中に人がいっぱいいるの?」と聞き直してみた。
すると母は笑い出した。
「あのね。自分で今そう言ったのだよ」
「へぇ〜。おかしな事言ったんだねぇ〜」と言う母。

「ちょっと頑張ってみよう」と言うと母はいきんで排便できた。
職員に報告するとこの所出ていなかったそうで「良かった」と言っていた。

謎が解けたようでほっとした。
きっと排便痛でお腹が賑やかと言う表現だったのだろう。

おやつを外で食べる事にして外に出た。
「あの車は △△(故郷)に行くんだね」と言う母。
きっと思いは故郷に飛んでいるのだろう。
おやつを食べ始めるとだんだん落ち着いてきてちょっと離れても大丈夫になった。グランドでサッカーしている声が賑やか。
八重の桜が咲き始めているので一人傍まで行き見上げて 母の所に戻った。
「みんな、元気に練習していた?」とまともな話となりほっとした。
薬局で買い物して施設に戻ったが その頃には気持ちもすっかり落ち着いていた。


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