母のタイムスリップ日記
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2004年01月21日(水) お母さん、ありがとね

母の所に向かってトコトコ歩いていたら…川面に白い鳥が…。
「あ〜今年も来たんだねぇ〜」とちょっと道から川辺りへと降りてみた。
数日前迄入れておいた双眼鏡だけど重いからと取り出してしまった事を後悔した。もっと近くで…と欲が出て数メートルの所まで寄って見たら…気配を感じられて離れたところに飛び立ってしまった。
川面の白い鳥は、ミコアイサという鴨である。

母はホールにいた。私を見つけて「おいでおいで」をした。「なぁ〜に?」と傍に行くと「ちり紙頂戴」と言った。テーブルを見るとジュースが少し零れていてちり紙でそれを拭いた。
濡れてるから拭くという事 覚えているんだねぇ〜。
いや、でもいつもは 汚れても居ないテーブルを手で撫でて拭いている母なんだけれど…。ちり紙を下さいって言えたんだよね。
でも考えれば…。
在宅の頃、ティッシュで拭くという事 嫌がっていたんだよね。
「台布巾を使いなさいよ」って行ってたなぁ〜。
もう、ちり紙で拭くという事 当たり前になってしまったか?
いや待てよ。これも 学習してるって事なのだろうか。

それでも、この動作が きょうのヒントになった。

外出する前に 軽く居室の掃除をした。タオルで床や畳を拭いたのである。
いつもなら家に持ち帰って洗濯するタオルを母に洗ってもらった。
洗面台に石鹸を付けたタオルを置いて水を溜め込み母に代わった。
「冷たくない?」「嫌じゃない?」幾度も母に聞きながら「なんとも無いよ」と言う返事を得ながらである。
母は、泡をいっぱい立てて洗っていた。
そこに職員が「○○さん、ネコちゃんお借りできますか?」とやって来て
暫くネコを挟んでおしゃべりしていた。
が、母は「すみません ちょっと…」と直ぐにタオル洗濯の仕事に戻った。
おそらく、タオルを洗う事を仕事として意識して張りを持って取り組んでいたのだろう…。
仕事を終えた母に「有難うございます。大変助かりました」と言うと「いいえ、これしきの事…」と。そう、これが聞きたかった。

そんな訳で、家に来てからも昼食後の食器洗いをしてもらった。
勿論、綺麗に洗うという事は今の母には出来ない。
だから、全て洗い終えた物をお湯に漬けておき、お湯を出して母にバトンタッチ。お湯で濯いで水切り籠に移してもらった。
水切りに移すのだって母には出来ない。
だから 隣で別の仕事をしながら濯ぎ終えるのを見計らって「あっちにね」と声をかけるのである。
これも、全て 完了。「有難う」と言うとどういう訳か「こちらこそ…」と返ってきた。

働いた…という場面 記憶には残らないだろうけれど…せめてもねぇ〜。

と言うのも、トイレで不思議な言葉を聴いたのだ。
「小さい頃ね。こうやって紙を上にやってね…いたずらした事がある…」と。どんな事をしたのか私には全く想像も付かないのだけれど…きっと母の中の記憶に留まっているのだろう。つまらない事だから子供の私に話す事もなかっただろう…。
こんな風に 母の心許ない記憶のどこかに「仕事をした」と言う満足感が埋め込まれるかも…と思ったのである。


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