2017年11月12日(日) |
土井善晴『一汁一菜でいいという提案』★★★★☆ |
土井善晴『一汁一菜でよいという提案』
土井先生に感謝。 これならやれそう、やりたい、やってみようと思える愛情いっぱいの著書でした。
以下心に残ったところ。
「暮らしにおいて大切なことは、自分自身の心の置き場、心地よい場所に帰ってくる生活のリズムを作ることだと思います。その柱となるのが食事です。一日、一日、必ず自分がコントロールしているところへ帰ってくることです。 それには一汁一菜です。(p9)」
「一汁一菜とは、ただの『和食献立のすすめ』ではありません。一汁一菜という『システム』であり、『思想』であり、『美学』であり、日本人としての『生き方』だと思います。」(p10)
「日常の料理では手を掛ける必要はありません。家庭料理は手を掛けないもの。それがおいしさにつながるのです。」(p22)
「素材を生かすには、シンプルに料理することがいちばんです。」(p23)
「調理の基本である下ごしらえを手間とは言いません。泥を落とさずに生のまま大根をかじることはできませんから、泥を洗い、食べやすく切って、火を入れる。この基本的な流れにあるものは手間ではありません。当たり前の調理です。 家庭料理、日常の料理は、こうした当たり前の調理以上にはそもそも手をかける必要はない、というのが本当です。」(p25)
「今では外の仕事のほうが重要視されるようになってきて、暮らしがおろそかになっている。でも、幸せは家の中、暮らしの中にあるものと思います。」(p31)
「淡々と暮らす。暮らしとは、毎日同じことの繰り返しです。毎日同じ繰り返しだからこそ、気づくことがたくさんあるのです。その気づきはまた喜びともなり得ます。」(p31)
「自分自身を大切にしたいと思うなら、丁寧に生きることです。一人暮らしでも食事をきちんとして欲しいと思います。そうすることで、自分の暮らしに戒めを与え、良き習慣という秩序がついてくるのです。」(p39)
「台所の安心は、心の底にある揺るぎない平和です。お料理を作ってもらったという子どもの経験は、身体の中に安定して存在する『安心』となります。」(p42)
「一汁一菜というスタイルを守りながら、和洋折衷でよい。家では『あるものを食べる』ということでよいのです。」(p77)
「家庭料理に関わる約束とはなんでしょうか。食べることと生きることのつながりを知り、ひとり一人が心の温かさと感受性を持つもの。それは、人を幸せにする力と、自ら幸せになる力を育むものです。」(p82)
「人間の暮らしでいちばん大切なことは、『一生懸命生活すること』です。」(p85)
「和食の調理は濁りを嫌って、きれいに澄むことが大事です。」(p114)
すみません。 から、 すみました。 へ。 日本語、って面白い。
「ハレとケを区別して、ケの日常は慎ましく、必要最小限の食事で暮らすことが心身ともに心地よいことを、身体は知っていたはずです。」(p140)
「毎日手に触れるもの、毎日見るものは、いいものが良いのです。よそ行きのものよりも、毎日使うものを優先して、大事にしてください。人間は、道具に美しく磨かれることがあるのです。」(p150)
「人間は、道具に美しく磨かれる」
ものもだし、使う言葉もそう。
磨けるものを大事にして、自分を磨いていきたい。
土井善晴『一汁一菜でよいという提案』
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